サヴォイア・マルケッティ SM.83
 三発雷爆撃機として有名なS.M.79の8座席旅客型SM.79Tを基礎として、10座席の高速旅客機とした機体である。
 短中距離線用に開発したもので、1937年11月19日に初飛行している。
 胴体部以外の構造はSM.79と共通のもの。
 装備エンジンも同じアルファ・ロメオ126RC34(750馬力)で、座席数こそ少ないものの当時としては破格の高速旅客機であった。これまでイタリアの航空各社の使用していた機材よりも巡航速度で80〜100km/hも速かった。最大速度ともなれば「ブッちぎり」であった。
 1938年までに試作機1機を含む43機が製作され、このうち13機は空軍の発注によるものであった。
 主要ユーザーはリネ・アエレエ・トランスコンチネンターリ・イタリアーネ(LATI)航空で、23機を購入し、特に本国〜リビア〜東アフリカ植民地路線の特急便の切り札として投入している。
 他のユーザーはベルギーとルーマニアである。
 ベルギーでは国営航空が4機を購入し、ベルギー領コンゴの要人輸送機として就航させた。
 ルーマニアはやはり国営航空が3機を購入した。
 イタリアの参戦と同時にLATIの保有機も軍の管理下において運行されるようになっていたが、特に8機が政府専用機として直接徴用された。残りの機体は独立第615グルッポに編入され、高速人員輸送機として大戦期間を通じて任務に就いていた。

(文章:ダリオ・マナカジーニ)


LATI航空のSM.83

諸元
全幅20.12m
全長16.15m
全高4.20m
翼面積59.80m2
自重7,890kg
離陸最大重量11,500kg
武装なし
発動機アルファ・ロメオ126 RC34 空冷星型9気筒 750馬力
最大速度445km/h
巡航速度378km/h
実用上昇限度6,800m
航続距離1,200km
乗員4名 乗客10名

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