Ro.57は単座の双発高速迎撃機として1936年に試作されたRo.53の発展型であり、1939年1月の空軍の要求に従って製作された。設計主任はジョバンニ・ガラッソが務めている。
試作機はRo.53(MM.340)を改造して製作された。改造の要点は動力艤装で、発動機を液冷V型のイゾッタ=フラスキーニ・アッソXI RC40から空冷星型のフィアットA74 RC38に換装するというものである。出力は左右合計で200馬力ほど低下するものの、大幅な軽量化によって速力と上昇力の改善を図ることが目的であった。
完成を急ぐ必要性があり、また試作の方法として止むを得なかった面はあるとはいえ、Ro.57の構造は1939年式の新型機としてはやや旧式の感を免れない。主翼は鋼製桁に木製構造、胴体は鋼管骨組に軽金属薄板張りとなっている。また、1930年代半ばのイタリア単葉機の常として、構造強度はやや過大の気味があった。
また、武装はブレダSAFAT12.7mm機銃わずかに2挺と、当時の単発単座戦闘機と全く同等のものでしかない。
気持ちとしてはおそらく英国のワールウィンドと似たようなことを考えてはいたのだろうが、今ひとつ本機をどのように使うつもりでいたのかよくわからない。
ともかくも、試作機(MM.407)の製作そのものは非常に順調に進行し、早くも1939年5月にはアルド・リガボーの操縦で初飛行を果たしている。
試作機にはこれといって大きな問題はなく、若干の改正を施すのみで空軍の領収を受けた。
ギドニア実験場での審査は1939年11月19日に開始され、速度が思ったほど出ないという点を除けば、予想よりも良い成績を挙げたとされる。
裏を返せば、空軍はもともとあまりRo.57には期待していなかったものとも取れ、それを裏付けるように審査は1940年初には完了していたにもかかわらず、生産発注は出されなかった。
また、他の性能では予想以上とは言っても、本機のコンセプトとして最も肝心な速度性能で期待を裏切っているのだから、それも仕方のないことだったという見方もできそうである。何しろ、MC.200と同じエンジンを2つも使っていて速度が同等、それでいて武装も同じというのではわざわざ作る意味がないとされても当然ではあろう。
それでも1941年になると、戦局上強力な戦闘爆撃機を必要としていたイタリア空軍はRo.57をその母体として使用することを思い立つ。
Ro.57は新たに攻撃機として改設計されることとなり、20ミリ機関砲と500kgの爆装、及び急降下爆撃のためのダイブブレーキの装備が求められた。
この発展型はRo.57bisと呼称されることとなった。Ro.57からエンジンが変わっていないために飛行性能はかなり低下していたが、設計案は空軍の承認を受け、いったんは200機の量産が発注されたが、すぐに90機に減らされた。
生産は1942年からナポリのI.M.A.M工場で始まり、まず第1ロットの55機が製作された。
しかし、Ro.57bisは地上攻撃機として製作されていたにもかかわらず、配備先はローマ近郊チアンピーノ基地に展開する防空戦闘機隊である第97グルッポであった。
まあ、1942年後半の段階で、20ミリ機関砲を積んで空戦機動が可能な機体といえば、イタリア空軍にはドイツから若干数を供与されていたBf110以外には存在しなかったというのも確かではあったのだが。つまり、Ro.57bisはRo.58の試作不調の影響をかぶってしまったのである。
第97グルッポは1943年2月に機種改変を開始した。とはいえ、もちろん第97グルッポでは上昇が遅く、上昇限度も低く、機動性も鈍重なRo.57bisの評判は芳しいものではなかった。
しかし、Ro57bisにトドメを刺したのは発動機の過熱問題である。ギドニア実験場では問題にならなかったものが、部隊配備となるとオーバーヒートが頻発し、収まる気配がなかった。戦況逼迫の折から、問題を抱えた低性能機を無理に生産する必要はないとされ、以降の発注は全てキャンセルとなった。また、I.M.A.Mの工場はナポリにあり、北部よりも爆撃を受けやすいという判断もあったと見られる。
第97グルッポは首都防空の迎撃戦闘隊から哀れにも地上攻撃部隊に格下げ(?)となり、南イタリアのクロトーネに移動して出撃を重ねたが、目立つ戦果を挙げないまま、7月13日にシチリア攻略作戦に伴う米軍の航空撃滅戦により残存可動機の全てを地上で撃破されて解隊となった。
Ro.57 | Ro.57bis | |
全幅 | 12.50m | 同じ |
全長 | 8.80m | 同じ |
全高 | 2.90m | 同じ |
翼面積 | 23.00m2 | 同じ |
自重 | 3,110kg | 3,490kg |
離陸最大重量 | 4,055kg | 4,990kg |
武装 | ブレダSAFAT 12.7mm機銃*2 | モーゼルMG151/20 20mm機関砲*2 爆弾最大500kg |
発動機 | フィアットA74 RC38 空冷星型14気筒 840馬力 | 同じ |
最大速度 | 516km/h(5,250m) | 480km/h(4,750m) |
巡航速度 | 389km/h | 不明 |
着陸速度 | 125km/h | 不明 |
実用上昇限度 | 9,300m | 7,800m |
上昇時間 | 6,000mまで7分06秒 | 6,000mまで9分30秒 |
航続距離 | 1,200km | 1,200km |
乗員 | 1名 | 同じ |