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フィアットG12

 戦前の欧州は民間航空の発展期にあった。未だ実体は伴わないものの、国際線の旅客機が近代的なターミナルから飛び立ち、長距離路線を大型旅客機が飛び交う世界が雑誌の口絵にも紹介され、一般市民の間に於いても予感される時代であった。
 フィアットG12も、そうした時代の雰囲気の中で登場した機体で、今だ羽布張りの構造を持ちながらも、上昇限度を8,500mと高く持ち、アルプスを越えて北欧への航路に就航する予定の国際線旅客機として計画されている。
 コンドルにせよユンカースJu90にせよ、こうした機体は第二次世界大戦の勃発によって軍用機として輸送任務に、あるいは簡易爆撃機として攻撃任務に就く運命にあったが、このフィアットG12も例外ではなく、途中から軍用機としての開発に切り替えられている。840馬力三発エンジンにも関わらず、このG12は搭載量が大きく、それ故に様々な開発型が生まれることとなり、1941年には航続距離を標準型の2,300kmから5,800kmに延長した機体が生まれ、更に翌年には7,000kmに達したG12GAも出現した。そして低高度型としてエンジンを換装したG12RT及びG12RT bisは更に航続距離が長く、G12RT bisに至っては航続距離は9,000kmを達成している。
 どこに飛んで行くつもりだったのかは、今後よく考えたい事柄のひとつである。
(文章:キソッタ・ホラスキーニ)


諸元
全幅28.6m
全長20.1m
全備重量12,800kg
武装7.7mm 機銃*2
発動機フィアットA74RC42 800馬力 三発
最高速度390km/h
実用上昇限度8,500m
航続距離2,300km

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