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フィアットCR.33

 CR.32のエンジン換装による性能向上(回復?)を目指した型で、設計者も同じくチェレスティーノ・ロザテッリである。
 1935年の、空軍のフィアットに対するCR.32の重量増大による性能低下に対応することを求める内示に応えたもので、CR.41、CR.32quaterと並行して試作が進められた。
 新型のフィアットA33 RC35を装着し、また上翼のアスペクト比を大きくし、面積もわずかに増すというのが改良の内容である。
 試作1号機(MM296)は1935年中に早くも完成したが、新型エンジンは初期不良に悩み、特に新たに装着された過給器が絶不調で、最大速度は345km/hと予定の430km/hには遥かに届かない有様であった。
 また、1936年には空軍の次期戦闘機調達は単葉機とするというR計画が採択され、いったんはCR.33の命脈は潰えたかに見えた。
 だが、折からのスペイン戦争でCR.32の大活躍が伝えられると再びCR.33に注目が集まり、また発動機もフィアット航空エンジン部門の必死の改良作業が続けられて何とかなりそうな見込みになってきたこともあり、1937年に改めて2機(MM297・298)が発注、製作された。
 しかし、1937年に来年度(1938年)の新戦闘機要求に複葉戦闘機を含めることが内定すると、フィアットとしては新戦闘機は全面新設計(CR.42)で臨むことに決定し、一転再びCR.33は放棄されてしまうことになる。
 エンジンが予定出力を発揮すれば422km/hを実際に発揮することは確認されたものの、その信頼性はなお十分でなく、仕様書の内容と要求の背景からA33発動機の採用は不利と見て取ってのことであるが、この決断は後のCa.165との競作において重要な意味を持ってくることとなる。

(文章:ダリオ・マナカジーニ)


CR.32と比べると機首オイルクーラーや排気管の位置関係が異なります。

諸元(MM296)
全幅9.80m
全長7.57m
全高2.61m
翼面積22.40m2
自重1,360kg
全備重量1,910kg
武装12.7mmブレダSAFAT 機銃*2 7.7mmブレダSAFAT 機銃*2
発動機フィアットA33 RC35 液冷V型12気筒 700馬力
最高速度345km/h(3000m)
実用上昇限度10,500m
航続距離700km
乗員1名

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