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フィアットCR.30

 全面的な改設計を行ってはいるものの、基本的にはCR.20のエンジン換装による性能向上型で、設計者も同じくチェレスティーノ・ロザテッリである。
 1932年に初飛行し、当初は試験用の研究機の扱いであったが、その高性能ぶりから空軍は既発注のCR.20の調達を振替えるというかたちで採用することとした。
 本機はCR.32の母体として紹介されることが多いが、本機自体も1933年中に156機(試作機と先行量産機を含めると176機)が生産されて12個のスクァドリッリアが装備していた主力戦闘機のひとつであり、期間こそ短かかったが空軍の曲技チームの装備機にもなっている。
 CR.32の配備が進むとともに本機は徐々に練習戦闘機または高等曲技練習機として飛行学校に移り、最終的に1940年頃まで使われた。
 配備中の改良としては機銃を12.7mmに強化したものがあり、また飛行学校で使われた機体にあってはエンジンの生産ライン更新に伴い、CR.32と同じA30 RA、ないしはA30 RA bisに逐次換装されている。
 練習戦闘機は武装を残しているが、高等曲技練習機としたものは非武装で、非公式にCR.30Bとも呼ばれた。
 また、オーストリアに6機が輸出されており、うち5機は併合後にドイツ空軍で練習機として短期間使用された。

(文章:ダリオ・マナカジーニ)


一見したところではCR.32とほとんど区別はつきませんが、垂直安定板が小さいのが識別点。

諸元
全幅10.45m
全長7.87m
全高2.78m
翼面積27.05m2
自重1,345kg
全備重量1,895kg
武装7.7mmブレダSAFAT 機銃*2(12.7mmブレダSAFATに積換えた機体もあり)
発動機フィアットA30 液冷V型12気筒 600馬力
最高速度351km/h(3000m)
実用上昇限度8,350m
航続距離850km
乗員1名

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