フィアットCR25
1930年代後半の各国空軍に伝染した熱病である双発戦闘機のイタリアでの症例といえる機体。使用できるエンジンは同じくフィアットのA74RC38 840馬力。一流の性能を持つ双発戦闘機としては初めから馬力不足が明白だったが、要求に対して真面目なのか、設計というものに不熱心なのか理解に苦しむことに、出来上がった機体は機首に12.7mm二挺の武装を持ち、爆弾倉さえ持った、姿かたちも日本機で言うなら一式双発高等練習機のような美しいバランスの取れた双発機であった。また性能面でも、低馬力のエンジンにもかかわらず、460km/hの最高速度と2100kmの航続距離を持つそこそこの機体でもある。
こうしたいわば健全な双発機に戦闘機を名乗らしめたことの是非はさておき、いい飛行機ではあったようで、戦闘機としてほぼ不採用となった後、細々とテストは続行され、邀撃機としての可能性を試されたりしているが、結局残せた実績としては、連絡輸送任務に使用されている。計画の当初から実態に合致した高速輸送機として名乗っておけば、名機になり得たかもしれない、「戦闘機」である。
(文章:キソッタ・ホラスキーニ)
諸元
全幅 | 16.0m |
全長 | 13.56m |
全備重量 | 6,525kg |
武装 | 12.7mm 機銃*3 |
発動機 | フィアットA74RC 840馬力 |
最高速度 | 460Km/h |
実用上昇限度 | 9,600m |
航続距離 | 2,100km |
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