主として海外植民地での沿岸哨戒に用いる目的の単発小型水上機を求める、フランス海軍が1930年に出した仕様書に応えたものである。
先行して製作が進んでいたGL-810三座水偵の複座化バージョンとして用意されていたGL-830を基礎として、機体規模を更に縮小し、エンジンはイスパノスイザ9Qdr(350馬力)から同9Wa(250馬力)に出力を下げる方向で試作機が準備された。
構造は鋼管骨組に羽布張りで、GL-810と同じくトラス構造の抵抗の大きそうなフロート支柱と、矩形で翼弦長の大きい主翼を持っていた。水平尾翼の取付位置は尾部胴体下面という他にあまり例のない位置にあるのが特徴である。
試作機はGL-831と呼ばれ、1931年12月23日に初飛行し、サン・ラファエル海軍飛行実験部で審査に入った。
結果、航続時間改善のため、より燃費の良いイスパノスイザ9Qbに換装することと、艦載機としても使用するという追加仕様が加えられたため、翼の折りたたみとカタパルト射出に備えた装備と補強を施した上で採用されることになり、名称はGL-832に変更されて、1933年に22機が発注された。1935年に8機が追加され、最終的な生産数は30機となった。
量産1号機は1934年12月17日に完成し、最終号機は1936年2月12日に完成した。
予定通りに海外部隊から配備が始まったが、巡洋艦のデュゲイ・トルーアン級とエミール・ベルタン、それにカタパルトを持たない通報艦にも搭載されることになった。
旋回機銃はフランス機としては珍しい7.7ミリのヴィッカーズであるが、海外派遣用装備であることが理由である。また、実際にはほとんどの場合で機銃は搭載されずに運用されていた。
本機は使いやすく整備も容易であったことから長く使われ、いわば九三式にあたる旧式機であったものの1939年9月の開戦時には中小艦船艦載機の親玉である7S4飛行隊、マルティニーク島駐留の8S2飛行隊、レバノンのタラブルス(トリポリ)駐留の8S4飛行隊で配備にあり、休戦時まで任務を続行している。
ラモット・ピケ、アミラル・シャルネ、デュモン・デュルビルの艦載機隊としてインドシナ艦隊に派遣されていた7S4飛行隊所属機にいたっては1942年にもまだ現役であった。
全幅 | 13.00m |
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全長 | 8.74m |
全高 | 3.48m |
翼面積 | 29.50m2 |
自重 | 1,100kg |
全備重量 | 1,700kg |
武装 | 7.7mmヴィッカーズK機銃*1 |
発動機 | イスパノスイザ9Qb 空冷星型9気筒 230馬力 |
最高速度 | 196km/h(SL) |
巡航速度 | 158km/h |
実用上昇限度 | 5,000m |
航続距離 | 590km |
乗員 | 2名 |