VL セースキ

 正しくはSääskiと書く。
 フィンランド初の国産軍用機で、空軍育成のための初等練習機として、1928年の国営工場設立と同時に試作が開始された。ベルガー技師とニエミネン技師の設計により、早くも翌年に試作機は完成、初飛行にこぎつけた。
 主翼、胴体とも全木製の構造に羽布張り、主翼にスタッガーなしの複座軽複葉機である。本機もフィンランド複葉機の常として、車輪と浮舟、橇のそれぞれの降着装置に互換性を持つ。
 試作機はセースキIと呼ばれ、SÄ-95とSÄ-113の2機が作られた後、生産型のセースキIIが10機(SÄ-117〜126)、更に一部改正したセースキIIAが22機(SÄ-127〜148)発注され、1931年までに全機が納入された。
 これらは1929年から任務に就き、1941年まで空軍の練習機として働いた。所属全機が除籍されたのは1943年である。
 また、これらとは別に5機のセースキIIが民間向けに製作されている。このうちの1機はノルウェー初の女性飛行士ギズケン・ヤコブセン嬢の愛機Måsen号となった。

 
(文:まなかじ)

フィンランド航空博物館に現存するセースキII(SÄ-122)

諸元(Sääski II)
全幅9.90m
全長7.40m(陸上機)
全高2.40m(陸上機)
翼面積24m2
自重609kg
全備重量陸上機:850kg 水上機:913kg
最高速度145km/h(海面)
上昇時間2,000mまで14分30秒
上昇限度4,500m
航続時間3時間30分
武装なし
発動機ジーメンス・ハルスケSh12-118Hk 空冷星型9気筒125馬力
乗員2名

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