VL コトカ

 複葉複座の偵察、哨戒、軽爆を兼用する機体として、1928年の空軍の要求により国営工場が試作した。
 主翼、胴体共に全木製構造に羽布張り(主翼より前の機首部は薄鋼板張り)という建具屋万歳な機体である。
 武装は機銃2挺に爆弾300kg、森と湖の国だけあり、要求には車輪と浮舟に互換性を有することが明記され、また冬季には車輪と橇との互換性も求められていた。
 初号機は1930年11月17日に初飛行し、試験の結果成績優秀と認められ、ほぼ原型のまま5機(!)の量産発注が下達された。なにしろド貧乏な田舎空軍のことでもあり、原型を含めたった6機に3種類のエンジンが使われている。これらの機体は1931年6月20日から12月19日までに順次納入された。
 就役後は主に沿岸警備の任務に就き、冬戦争には作戦機として、継続戦争には練習機として参加、損耗無しで1945年に全機が退役している。
 とはいうものの、冬戦争時のソ連空軍の撃墜スコアには、生産数をはるかに上回る数のコトカが含まれているのだが(笑
 分解状態でKA-147が現存しており、ベジベヘマー空軍基地でレストアを待っている(2003年現在)

 
(文:まなかじ)


諸元
全幅12.70m
全長9.70m フロート装着時10.25m
全高3.55m フロート装着時3.80m
翼面積50.0m2
自重1,380kg フロート装着時1,580kg
全備重量2,380kg フロート装着時2,520kg
最高速度225km/h(3,000m) フロート装着時204km/h(1,500m)
上昇時間2,000mまで11分54秒(フロート装着時)
上昇限度5,600m
航続距離650km(フロート装着時)
武装前方固定:ヴィッカース7.7mm機銃*1 後席旋回:ルイス又はL-33/36 7.7mm機銃*1 爆弾300kg
発動機KA144&145:ブリストル・ジュピターIV 空冷星型9気筒420馬力
KA146&148:P&W R1690-Bホーネット 空冷星型9気筒575馬力
KA147&149:ライトR1820-Eサイクロン 空冷星型9気筒575馬力
乗員2名

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