爆撃機そのものを爆弾に見立てその上部にのった戦闘機で誘導すると いった形態をとった前代未聞の親子飛行機。 元々は爆撃機が戦闘機を曳航して攻撃地まで飛行すれば遠距離でも護衛戦闘機を つけることができるのでは?という発想に端を発しています。DFS(ドイツ滑空機 研究所)ではこの形式を1940年から研究していましたが、さらにそれが本ミステル 構想に発展しました。 1943年春に航空省が興味を示して、Ju−88A−1の上にBf109Fを搭載 するタイプの実験を命じ、同年10月にはDFSで実験に成功しました。その後、19 44年4月には1,725sの弾頭を積んでの暑さ18.5mのコンクリート壁を破壊する 実験に成功、1944年6月24日から実戦で使用されました。 基本形態としては、ユンカースJu88を子機として、その機首に大量の爆弾を 搭載し、その上部に結合された母機となる単発単座戦闘機に乗ったパイロットが 目標近くまで誘導して切り離して目標に突入するというものを採用していました。 最初の−1では母機にBf109、次の−2,3ではFw190が選ばれていました。 また、実戦で使用するものは写真のような弾頭を装着していましたが、使用の直前 までは通常の機首をしたものを練習型として使用し、これはそれぞれS−1,S−2, S−3と呼ばれていました。 しかし、機動性の著しく低下するこのような形態の飛行機では、目標到達前に敵 戦闘機に補足されたら助かりようがないため、敵の制空権下ではほとんど使用できず、 最終的な戦果は橋梁などの建造物を少数破壊しただけにとどまりました。 |
諸元 | 3C(Ju88G-10 & Fw190F-8) |
全幅(m) | 20.08 |
全長(m) | 18.54(弾頭先頭部まで) |
翼面積(u) | 72.8 |
弾頭重量(s) | 1,725 |
最大離陸重量(s) | 23,600 |
最大速度 | 550q/h |
巡航速度 |
320q/h(海面上) 340q/h(4,000m) |
命中速度 | 595q/h(15度降下時) |
最大航続距離 | 4,100q |