高速をめざし横に2基連結したエンジンを胴体中央に搭載し機首の大直径プロペラを 駆動するという大胆な発想を実現した機体。 ハインケル社では高速に強くこだわった爆撃/偵察機を計画しました。 その形態はDB601を横に2基連結したDB606を胴体中央に搭載し、そこから 長い延長軸を延ばして機首の大直径プロペラを駆動するというもので、さらに空気抵抗 を減らそうと操縦席は段なしの一体型で、プロペラ延長軸はなんと並列の操縦席の間を 貫通していました。また、さらに空気抵抗を減らすべくラジエーターは主翼上の 表面冷却としていました。 1937年夏に初飛行した実機は、当時としては驚異的な500q/hを越える高速を 示しましたが、、その後の全ての同様の動力方式を採用した機体がそうだったように横に 連結した双子エンジンのトラブルが絶えず、また、表面冷却方式も冷却不足を露呈した ため、途中から機首下面に引き込み式のラジエーターを追加しました。 この機体、水上機速度記録を狙って双フロートを装着した型も作られましたが、しかし、 ドイツ空軍は興味を示しませんでした。日本が研究用に2機購入しています。 この機体は操縦席に代表されるように配置も相当凝っており、通信員は胴体中央部に 乗り、そことエンジンの間に爆弾倉を配置、その爆弾倉には250s爆弾3発が積める ようになっていました。それにしても、操縦席といい、通信席といい、こんなので本当 に前や外が見えるのか心配してしまいます。 |
諸元 | V6 |
全幅(m) | 15.91 |
全長(m) | 14.80 |
翼面積(u) | 50.05 |
空虚重量(s) | 5,200 |
全備重量(s) | 7,565 |
エンジン | DB606A−2 液冷倒立2V型24気筒 2350馬力 |
最大速度 |
590q/h(海面上) 590q/h(4,500m) |
巡航速度 | 425q/h(海面上) |
航続距離 |
2,700q(海面上) 3,120q(6,000m) |
上昇時間 | 6,000mまで6.4分 |
実用上昇限度 | 8,500m |