ジェット博物館屋外展示場の様子
左から順に MiG-15, F-86H, F8U, F-102, F-84E, RF-84K, P-80。この距離ではわかりにくいですが、どれもかなり傷んでおりスクラップ寸前です。
RF-84K サンダーフラッシュ
リパブリック RF-84 は F-84F「サンダーストリーク」を改造した偵察機ですが、これは機首に独特のフックをつけた "FICON" 計画の生き残りでたいへん珍しい機体です。FICON は Fighter-Conveyor の略で、航続距離の短い当時のジェット戦闘機の弱点をコンベア B-36 爆撃機に合体させることで補おうとした計画でしたが、その後空中給油技術の実現によってキャンセルされました。
F-104G スターファイター
ロッキード F-104 スターファイターは私の大好きな飛行機です。G型は西ドイツを中心にヨーロッパで多く使われた改良型で、これはベルギー空軍の機体です。左に見える三角の尾翼は F-102A のもの。
F-104 の主翼
F-104 の主翼は異常なまでに小さく薄く、一番厚い部分でも数センチしかありません。またその前縁は刃物のように鋭く、本当にここまで薄くする必要があったのかどうか疑問に思うくらいです。なお、写真右端に見える穴は翼端タンク接続時の燃料パイプ貫通口です。
どのくらい鋭いか…(QV10 画像)
指と比較してみてください。これが模型じゃなくって本当にマッハ2のジェット戦闘機の翼ですよ!大根くらい簡単に真っ二つにできそうです。
F8U-1 クルセイダー
ボート F8U クルセイダー、「ラスト・ガンファイター」と呼ばれた挌闘戦向きの名機です。これも「飛行機エッセイ」に書きましたね。新谷かおる氏の「エリア88」で主人公が最初に乗っていた機体であり、飛行中に翼をたたむエピソードでご記憶の方も多いかも知れません。機首インテイクの赤帯はシャークマウス(サメの口)ではなく、「空気取り入れ口につき危険」の標識です。
F-102A デルタダガー
コンベア F-102 はアメリカ初の全天候(つまり夜間でも戦闘可能な)超音速迎撃機です。統合兵器管制システムを搭載したため大柄なサイズとなり、同じ超音速ジェット戦闘機でもコンパクトな F-104 とは対照的です。
ジェット博物館ハンガーの様子
ゴチャゴチャしていますが、真ん中の機体は FR-1 ファイヤボール(飛行不可能)、右の尾翼はグロスター・ミーティアです。左側には各種エンジンやミサイルの模型が展示してあります。
FR-1 の心臓部
推力 1,600 ポンドのゼネラル・エレクトリック J-31 ジェットエンジンです。
ミーティア Mk.IV
グロスター・ミーティアは世界で二番目の実用ジェット戦闘機(一番はドイツのメッサーシュミット Me262)で、大戦中はドイツの飛行爆弾 V-1 迎撃に参加していました。コンパクトな Me262 にくらべ、軽爆なみの大柄なサイズが目立ちます。
YP-59A エアラコメット
ベル P-59A エアラコメットはアメリカ初の実用ジェット戦闘機で、世界では三番目です(ちなみに四番目は日本の特殊攻撃機「橘花」)。この機体は試作型の YP-59A で、機首に高官用の体験飛行席を設けた特別仕様。現在飛行可能な状態へと復元中で、「経験豊かな板金工求む!」の張り紙がありました。
N9MB フライング・ウィング
N9MB は「全翼機の鬼」ことジャック・ノースロップが全翼爆撃機 B-35 の研究用に作った各種実験機の一機で、B-2 ステルス爆撃機直系のご先祖にあたります。1994 年に修復が完了したばかりのピカピカで、もちろん飛行可能な状態です。
ヴァンパイヤ Mk.III
デハビランド・ヴァンパイヤは戦後イギリスのジェット戦闘機です。一般の人には今一つマイナーな機体ですが、改良型の「ヴェノム」と合わせて世界各国に輸出された初期ジェット戦闘機のベストセラーです。この角度ではわかりにくいですがジェット機には珍しいビーム双胴形式で、エンジン排気口をはさんで細長い後部胴体が二枚の垂直尾翼と水平尾翼を支えています。
FJ-3 フューリー
ノースアメリカン FJ-3 はアメリカ海軍初期のジェット艦載戦闘機です。同時期に設計された空軍 F-86 セイバーそっくりですが一回り大きく、脚が長くて地上姿勢が異常に高いことが特徴です。写真左の赤い尾翼は MiG-17。何故か F-4 ファントムのノーズコーンが置いてあるのも見えます。
F9F-5P パンサー
グラマン F9F はアメリカ海軍初期のジェット艦載戦闘機で、朝鮮戦争では主に戦闘爆撃機として活躍しました。"-P" は写真偵察機の意味で、機首の機銃を外しカメラを搭載しています。左から突き出した主翼は F-86。
D558-2 スカイロケット
ダグラス D558 は史上初めてマッハ2を超えた超音速実験機で、三機作られたうちただ一機だけの生き残りです。向こうに見えるオレンジの機体は映画「ザ・ライト・スタッフ」で有名なベル X-1 ですが、実機が事故で失われたためレプリカ(映画に出演した機体そのもの)が展示されています。
宇宙開発の展示もあるけど…
ハンガーの片隅には宇宙開発の展示もありましたが、今一つ活気に欠けました。どこの航空博物館でもそうなのですが、展示品は模型やレプリカばかりだし、「宇宙開発」と言われても何だか遠い世界の出来事…という気がするせいでしょうかねぇ。