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お初にお目にかかります。 Ans.Qの過去ログで旧日本海軍の96式25ミリ2号機銃の性能緒元を検索したところ、「450mで60mm装甲を射貫」というものがありました。 これは一式48口径47ミリ戦車砲(徹甲弾を使用した場合)の射距離100mで55mmの均質圧延装甲板を貫徹可能というスペックと比べてもかなり勝るのではないかと考えます。 そこで皆様に質問させて頂きたいのですが、この両者の貫通力の差は何が原因となっているのでしょうか? シベリア超特急 |
- これでしょうか。
http://www.warbirds.jp/ansq/4/D2000938.html
25mm 通常徹甲弾で 500m レンジだと貫通力 30mm 前後が普通ではないかと思います。tomo 氏の情報源が判らないので何とも言いかねますが、450m/60mm という数字は何かの誤記ではないかと思われます。
また 47mm 戦車砲については、学研歴史群像「戦車と砲戦車」に寄せられている国本康文氏の記事によると、距離 800mで M3 軽戦車の 40mm 前面装甲を試射 6 発が全弾射抜いているそうですから、100m/55mm という数字は非常に少なく見積もられているのではないかと思います。
(同書には 1 式 37mm 戦車砲の貫通力が 250m/51mm とも示されています)
ささき
- 完全に記憶モードで再確認していませんが、25mm機関砲を陸戦用に着目した日本陸軍が海軍より以前にこの機銃に興味を持ち、実際に試験も行っているようです。
この時のホチキス社のセールストークによれば、強装で、タングステン徹甲弾を用いた場合、大したことのない材質の鋼板相手ならば、概ね質問にあるような威力を(実弾射撃結果はもっと悪いですが)発揮する可能性はあったようです。
また既に#1でささきさんが述べられているように、47mm砲の威力は、何故だか知りませんが、55mmとかそういう威力が喧伝されてますが、必ずしもそういう威力ではなかったと思われます。
少なくとも、同じ弾丸を同じ初速で発射する一式機動47mm砲の威力は、もっとずっと上の数字が「概説」に記されてますし、技術本部の試験及び計算数字は更にもう少し上です(端数になるので、概説では5mm単位で、概ねこのぐらいと記してます)
よって、ほとんどいんちきに近い宣伝文句と、勘違いかなにかとしか言いようの無いイイカゲンな数字を比較して、前者が非常に優れてるように感じたというだけの話です。
SUDO
- 上記でささきさんがあげてる「戦車と砲戦車」の中に、実際に試験に供されたM3の写真が載ってます。
その写真からは車体下部を800m及び1000mで抜いてることが確認できます。
M3の車体下部は44mmですので、確実に抜けるというわけではないでしょうが、
1000mで44mmは抜くことがあり800mならば確実に抜けると見ていいのではないでしょうか?
しかし100mで55mmとは、いったいどこの数値を引っ張ってきたのでしょう?
P-kun
- 回答ありがとうございます。
すなわち、25ミリの貫通性能はセールストークなどをもとに過大に評価されている可能性が高く、47ミリの性能は過小評価されている可能性が高いということのようですね。
ちなみに47ミリの貫通性能については下記のサイトを参考にしました。
http://combat1.cool.ne.jp/97SHIK-K.htm
また別のサイトでも100メートルで60ミリとの表記を見た覚えがあり、大体そのあたりなのだろうと考えた次第です。
シベリア超特急
- >1. 誤記がありましたので訂正します。「距離 1000m で 6 発中 3 発、800m で 9 発中 6 発が M3 軽戦車の前面装甲を貫通した」です。
ささき
- 試製一式機動47mm砲の研究報告から
・初速 830m/s
・威力
タングステン鋼蛋形弾
第一種鋼板 200m-80mm / 500m-70mm / 1000m-55mm / 1500m-45mm
第二種鋼板 200m-55mm / 500m-45mm / 1000m-30mm / 1500m-25mm
弾丸鋼第一種丙蛋形弾
第一種鋼板 200m-65mm / 500m-65mm / 1000m-50mm / 1500m-45mm
第二種鋼板 200m-50mm / 500m-40mm / 1000m-30mm / 1500m-20mm
これは直立した鋼板に対しての限界値をベースにした概説ですので、100%抜けるというものではありません。おおむねこんなもんですという能書きです。
また、恐らく、殆どの弾丸は弾丸鋼第一種丙で作られてると思われます。タングステン弾はドイツのPz.Gr.40みたいな高性能弾ではなく、普通のPz.Gr相当の材質です(タングステン含有率は数%という代物です)
47mm戦車砲も、この速射砲と同じ弾丸を、ほぼ同じ初速(約810m/sなのでちょっと落ちる)で発射しますから、威力はほぼ同じで、M3軽戦車に対する実射結果も、この速射砲の概説の威力とは矛盾しないと思われます。
SUDO
- なるほど。
やはり47ミリ砲の貫通能力については私が考えていたより大分高いのが実情のようですね。
「25ミリの性能がこれだけ高いのなら、何故戦車や航空機に大々的に搭載されなかったのだろう?」という疑問が氷解いたしました。
たくさんの回答を頂き、本当にありがとうございました!
シベリア超特急
- はいはい、25mm機銃の貫通力について書いたtomoでございます。遅くなってすいません。
これの元ネタですが、
http://www.warbirds.jp/ansq/41/D2001278.html
これで紹介している佐山二郎氏の記事です、確か。
申し訳ないのですが、元の本は現在部屋の本の山に埋もれておりまして、すぐに発掘出来ない状態なので確認取れないのです。すいません。
その代わりと言っては何ですが、参考までに、同じくホチキス社の25mm対戦車砲の貫通力を挙げておきます。どんな装甲版を使ったかにもよりますが、この数字を基準にすると、そう無理はないんじゃないかと。
初速950m/s、徹甲弾重量320g、600mで50mmの装甲版を貫通。
(グランドパワー1996年1月号P16より)
tomo
- >8
んーまあ、それがセールストークというか、かなり誇大宣伝だったわけで。
http://www.freeweb.hu/gva/weapons/french_guns1.html
幾つかのソースでは、こんなもんだという説もあるようで(ドイツ軍の計測のも混ざってるようですが)
またこの表の13.2mmのは、日本陸軍による同機銃の鋼芯実包の貫徹威力の概略とも合致するようですな(日本軍のよりも良いですけど)
SUDO
- ありゃまあ本当、こんなデータもあったのですね。前述の数字を鵜呑みにしてました。お恥ずかしい。ありがとうございました。
tomo