227 旧日本陸軍において地下足袋の使用例を文献で目にすることがあるのですが、地下足袋を使用するメリットはあったのでしょうか。

へろほろ

  1. まず、いわゆる編上靴というのは重い革靴で底に鋲を打ってあります。
    これに対して、地下足袋はごく軽い布製でゴム底です。
    ほとんど対照的に特徴が異なりますから、従って軍靴では都合の悪い場面とは概ね地下足袋が活躍できる場面であると考えられます。
    また実際に地下足袋が活躍した場面としては、困難な地形を踏破しての行軍、足音を立てたくない斥候や夜襲、陣地構築や架橋その他の土工作業、短距離で往復回数の多い荷駄人足作業などがあります。
    対して、軍用としての地下足袋の欠点としては底が軟らかすぎる&薄いので長距離行軍ではかえって疲労しやすいこと、耐久性の点で大きく劣ることが挙げられるでしょう。
    まなかじ

  2. 近年まで、あるいは現在でもボッカ(山小屋などに荷物を運ぶ人)、鳶職、沢登り、岩登り等
    ある意味で歩く、足を使うプロが愛用する(した)地下足袋はメリットが十二分にあったと理解した方が自然だと思います、具体的な例などをあげると、とんでもない長文になりそうで抽象的で申し訳
    ありません。
    すずき

  3. まなかじ様、すずき様回答ありがとうございます。
    昔、ビーチレッド戦記なる映画をビデオで見たとき、戦死した日本兵が地下足袋を履いているのを見て米兵が馬鹿にするシーンがあり、いくら日本色を出す為の演出でも戦場で地下足袋はないだろう。と思った記憶があったのですが、案外書籍で地下足袋を履いて行軍、作業した等の記述を散見するので、そんなにもメリットがあるのかな?と思った次第です。ちなみに私は普段安全靴を履いて仕事しているので底の薄い作業靴を履くとすごく疲れます。(足も冷えますし)
    へろほろ

  4. >3. 高温多湿のジャングルでは革の軍靴は足がムレてしまううえ、革も湿気と塩分を吸ってすぐボロボロになってしまったそうです。米軍も戦訓を取り入れてキャンバス布地の熱帯用軍靴を開発しています。

    >底の薄い作業靴を履くとすごく疲れます
    地下足袋は足裏の保護が充分ではなく、くるぶしのサポートもないので足を挫きやすい欠点があると思います。まなかじさんも書いていますが、軽装でちょっとした作業に就くならともかく、重量物を背負って長距離の行軍をするときに地下足袋では相当足に負担が来るでしょうね。
    ささき

  5.  上陸時などにも地下足袋はよく使われたようです。また非戦闘時にも重い軍靴より地下足袋を愛用する兵士も多かったようです。

     靴になれた現代の日本人と異なり、戦前の日本人(特に農村の一般庶民)は、ぞうり・わらじあるいは下駄に足袋という足回りの方になれており、大正末期に地下足袋が発明されて後は、農作業や土木建築作業では地下足袋が愛用されていたという事も、地下足袋が使用の大きな理由だったでしょう。

    参考 地下足袋の普及について
    http://www2.ktarn.or.jp/~syoukei/web/document.html

    参考2 米軍の日本軍解説書には地下足袋について「Tabi(split-toe sneakers) are issued all climate.」と記述しております。全天候スニーカーなのか。http://www.digi-hound.com/army/7.html
    カンタニャック

  6. 陸亜普第七号「運動用被服ニ代へ略帽防暑略衣袴地下足袋ヲ代用シ得ルノ件陸軍一般ヘ通牒」
    昭和19年1月6日 陸軍省副官
    首題ノ件当分ノ間左記ノ通代用シ得ル如ク定メラレタルニ付依命通牒ス

    この陸亜普第七号よりも前から地下足袋は軽作業用や運動用、患者用、編上靴を支給されない軍属向けの代用靴としてなど補助的に用いられていたようです。
    実際に支給されていた地下足袋がよく目にするようなものなのか、あるいは林業関係者が使うような「山足袋」と呼ばれるより頑丈なものであったかはわかりません。この「山足袋」を愛用していたことがありますが、「各自棒状の物を持って目立たない服を着て行う山歩き」では十分ブーツの代用になり得るものでした。

    BUN

  7. 「左記」の内容を書かないといけませんね。

    左記
    運動帽ニ代へ      略帽
    運動衣袴 運動帯ニ代へ 防暑略衣袴
    運動靴ニ代へ      地下足袋

    以上です。
    運動靴の代用として地下足袋を用いる、ということですね。
    BUN

  8. 地下足袋自体はゴム長などと同様に、それ以前から一般に各部隊に作業用として交付されていたものですね。
    各部隊はそのような形で一定数を保有していました。


  9. 現在も自衛隊に支給。
    数年前の雑誌『丸』のグラビア写真で地下足袋を見たことがあります。施設部隊の架橋演習の写真でした。地下足袋が使いやすいので、自衛隊の施設部隊にだけは、現在でも地下足袋が支給されているとの記事でした。

    過去の記憶で嫌悪されている。
    何の本だったかは忘れましたが読んだ記憶があります。日本の農業技術者が技術援助でフィリピンに派遣されました。その人は地下足袋が使いやすとして愛用していました。しかし、地元の人から「地下足袋を使わないで欲しい」と言われたそうです。地下足袋姿を見ると、第二次世界大戦中の日本兵を思い出してしまうとの理由です。そう言われて以降、使いやすくて便利なのですが、地下足袋を使うことはしなかったそうです。
    霞ヶ浦の住人

  10. >自衛隊
     少なくとも今夏、第4施設団の新隊員教育隊の舟艇訓練では使用されていました。黒いゴム底(さすがにオレンジはまずいのか?)がつけられた普通の「地下足袋」で、おそらく市販のものでしょう。
     また、七八年前にレンジャーの水路潜入でも使用したという話を助教から聞きました。施設部隊「だけ」ではないと思いますが、水周りに関する部分では多いようです。水はけがいいから、あるいは泳ぎやすいからでしょうか。

     高温多湿の熱帯雨林を歩くならば、普通の半長靴よりも地下足袋のほうがむいているのではないかとも思います。
    居眠り将軍

  11. 地下足袋の利便性のみではなく、当時の日本軍全般の軍靴の脆弱性も地下足袋を陸海軍で多数使用した一因と思います。とくにひどい製靴会社も一社あったようです。
    フジクラ001

  12. ささき様、カンタニャック様、BUN様、片様、霞ヶ浦の住人様、居眠り将軍様、フジクラ001様回答ありがとうございます。返礼遅れまして申し訳ありません。
    地下足袋もなかなか使い勝手がよいアイテムであるということが理解できました。
     ところで、ベトナム軍が使用していたサンダル(ホーチミンサンダル?)も似たような用途だったのでしょうか。(軽い、一般に広く普及している、資材の節約等背景が似ていると思うのですが)追加の質問で申し訳ないのですが、よろしければご教授ねがいます。
    へろほろ


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