219 戦闘機用のレーダーなどは対空目標と対地/対水上目標の両方に使えるようですし、艦船に搭載している対水上レーダーはシースキマーミサイルの探知
に仕様されています。
同じようにP−3CやSH−60などに使われているレーダーも対空目標探知に使用することが出来るのでしょうか?
そもそもこれらのレーダーにはどんな違いがあるのでしょうか?
IAI

  1.  最大の相違は電波を放射する角度です。
     戦闘機のレーダーは機体の上下左右に広がる円錐状に電波を放射します。だから下側にある目標をも捉えることができるし、自分よりも上に位置する目標も捕らえられるわけです(この円錐の角度はレーダーによって異なります)
     一般的な航空機搭載の対水上レーダーは、上方向には電波を出しません。単純不正確に述べるなら斜め下方向に電波を出してます。ですから、その電波放射範囲内に航空機が存在したならば、映る可能性があります。
     以上は目標に電波が向かうかと、目標が反射した電波をレーダーのアンテナが拾えるかという話です。
     ここをクリアしても、次にその反応が何であるかが判らないと、探知にはなりません。
     例えば、一回見えたからといって、それでよしとは出来ません。これだけではある距離に一瞬何か映っただけで終わりです。
     ある程度の時間をおいてもう一度見ると。たぶん位置が違うけど、似たような反応があるでしょう。この二回目の探知をさっき見たのと同じ目標であると仮定して、移動速度等を計算します。でも、この繰り返し探知を行うときに、二回目の探知が何十秒も後だと、さっき見つけたのと同じ飛行機なのか判らなくなります。つまり速度等を算出できません。船等なら速度が遅いのでまず問題ありませんが、飛行機のような速い目標には、映ってるけど、検出できないという問題が生じます。
     ここらは検出プログラム(アルゴリズム)や、繰り返し探知の頻度等で変わってきます。当然ですが、全然違う目標を結び付けて頓珍漢な検出結果を出してしまう事だってありえます。
     以上から、各種のレーダーはなるべくマルチな機能を持つようにはしていますが、物理的な制約や、メインとなる任務目的に適したアンテナや周波数や出力で作られてますので、そのほかの用途に十分な対応が出来るとは限りません。特に哨戒機の対水上レーダーはかなり任務特化型ですので、そのまま対空警戒に転用するのは困難な面があると思われます。
    SUDO

  2. 以下の資料にP-3Cのレーダーの対空探知について記述があります。

    航空・鉄道事故調査委員会のWebサイト

    http://www.mlit.go.jp/araic/

    トップページ−>航空事故調査インフォメーション−>重大インシデント報告 と進み
    検索画面で「発生年」を「2003」として検索し、

    「2003/10/07 東京都八丈島上空の西南西約8.3nmの海上上空」の報告書(公表をクリック)

    本報告書の「2.1.3 (3)」「2.12.2」にP-3Cのレーダーの対空探知について書かれています。
    だいたいの位置がわかっている航空機の探知がせいぜいで、捜索は無理ですね。

    KR


Back