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第2次世界大戦中のイタリア軍の軽機関銃を教えてください。 ogawa |
- 主力としては、ブレダM1930LMG 口径6.5mm×52 全長1239mm 銃身長520mm 重量10.2kg 装弾数20発 初速610m/s 発射速度475発/分 製造エルネストブレダ社(後フィアットに吸収)
1979年床井雅美著『世界の銃器』より。
但しこの本辺りは、この本の発刊期以前の近代軍用銃の基礎的資料です、お近くの都道府県立クラスの図書館なら概ね閲覧可能ですから、これを元にご自分で少し調べて見られることをお奨めいたします。
退役老少佐
- イタリア軍では軽機のことをFucile Mitriagliatoriと呼びます。
Breda modello 30は退役老少佐さんの示された通りの銃ですが、銃身長520ミリはフラッシュハイダー兼用リコイルブースターを含む値で、実質的には450ミリです。
http://212.84.179.117/i/Breda%20Model%2030.jpg
こんなような外観です。
で、この銃を褒めている記事というのは全く見たことがありません(w
我が陸軍の十一年式軽機と同じく小銃用の5発クリップを使って装弾する方式で、塗油装置を持っていることも十一年式とよく似ています。もちろん、北アフリカの砂漠で塗油装置などは致命傷で、単なる集塵装置と化しています(ぉ
銃の真ん中あたりにあるのが固定式の弾倉で、これに5発クリップを4つ込めます。十一年式軽機よりもなお悪いことに、弾倉の蓋は前方に回転させて開ける方式で、射撃しつつの注ぎ足しは更に困難でした。
作動はショートリコイル・ストレートブローバックという機関銃としては珍しい方式を採用しています。銃身が反動で後退することで遊底を後座させて抽筒装填、遊底はバネで復座してクローズドボルトで発射、銃身をブローバックで復座させるというなかなかユカイなものです。
しかし、この作動方式を満足に回転させるにはイタリアの6.5ミリ弾は威力不足で、なんでもないところでしょっちゅう射撃停止を起こしました。
これに塗油装置がらみの不調、つまり埃まみれの弾薬、または埃を嫌って全く油を塗らない弾薬が加わればもはや機関銃としての用を為さないまでになったと言われます。
また、搬送用のグリップが全くないため、前進にあたっては銃を抱きかかえるか、射撃して熱くなってしまっている場合は二脚架をたたんでそれを持つしかありませんでした。
7.35ミリにボアアップされたBreda modello 38は弾薬の威力が増したため、多少作動の確実性が増し、1939年から量産に入りました。
しかし、開戦によりイタリア陸軍の歩兵小火器更新計画は実施のまさに直前で頓挫し、生産ラインは38から30にわざわざ戻され、イタリア陸軍歩兵部隊は休戦に至るまでmodello 30を使い続けなければなりませんでした。
ちなみに、生産してしまっていたmodello 38の一部は既に開戦前に北アフリカに送られており、大量の7.35ミリ弾薬と共にベンガジの倉庫に積まれていたのですが、それはコンパス作戦の過程でイギリス軍の手に落ち、回りまわって蘭印のオランダ軍の装備として日本軍と戦うべく支給されるという結果になります。
まなかじ
- そうそう、
もし快調に撃てたとしても、発射速度が低いにもかかわらず命中精度が悪いので使い勝手はどこからどう見ても良くない、
部品点数が多くて分解組立、つまり手入れがとても面倒である、
また低発射速度、故障頻発で兵器として威力がない割には価格が高い、
という感想もあります。
まなかじ
- http://www.tarrif.net/wwii/img/techs/breda1930_main.jpg
こっちの画像の方がいいですね
樋状に銃身を支える特徴的な前台がよくわかります。
まなかじ
- 更に補足
http://www.municion.org/pintes/bredaG.jpg
このような、クリップを使わずにバラ弾20発を一気に込めるストリッパも一応用意されていますが、供給量は多くありませんでした。
まなかじ
- >2.〜5. WW1当時から継続使用された、Fiat Revelli Mod. 1914 (小銃用クリップ給弾、ディレイド・ブローバック作動方式)と混同されている部分があるのかもしれません。
Breda Mod. 24/30の給弾は、5.でまなかじさんが紹介された20発用の給弾クリップから固定式の弾倉に装弾するもので、弾薬手はこの20発用の給弾クリップ15ヶ、計300発を収めた弾薬箱を携行します。小銃用の5連クリップから弾倉への給弾も可能ではありますが、不便です。 もちろん、Fiat Revelli や 十一年式軽機とは異なり、クリップごと弾倉に収めるものではありません。
また、作動方式に関して、まなかじさんの仰るようにブローバック作動とした書物、あるいはWeb上の文章を多く見かけますが、Breda Mod. 24/30は、ラインメタルMG15等と同様の、バレルとボルトを回転運動で結合するロッキングカラーを有しており、ロッキングカラーの解除はバレルが9.5mmのストロークを後退する際に、レシーバー上のカムによって励起されるものです。
従って、Breda Mod. 24/30の作動方式は反動利用式であり、遊底開放の初期動作が薬莢の吹き戻しによらない作動方式を、ブローバックと呼ぶのは不適当です。
(では、何故Breda Mod. 24/30がブローバック作動であるとの説が流布したのか。実は1943年に初版が出た権威あるSmall Arms of the worldの、新旧著者が共著している1960年頃(第9版)の記述を見ると、初版から残るWW2時の対戦国のマニュアルの抜粋・解説には「反動利用式」、後段に現れる国毎の解説部分(新著者が担当)には「ブローバック」とされ、1983年の第12版では古い記述が一切削除された為、「ブローバック」のみとなりました。 Web上に見られるその他関連文章の殆どは伝言ゲームのようなもので、影響の強さが伺えます。)
もう一点、Breda Mod. 24/30が塗油機構を必要とする理由について、これもBreda Mod. 24/30の作動方式が「ブローバック」であるかのごとく誤解された理由の一つと思われますが、これはロッキングカムの開放が急激に起こりすぎることに起因する、設計上の問題です。
みなと
- そういえば少しは褒めましょうか。 開発当時、銃身交換を容易に行える設計は斬新でした。
みなと
- づあー、だまされてた(ぉ
まなかじ