195 ソ連の、ラッチュバムことZIS-3野砲は1100kg台と非常に軽量で
九五式野砲や改造三八式野砲と同程度の重量ですが、
この軽さの秘密は何なのでしょうか?

元小学生

  1. http://sus3041.web.infoseek.co.jp/contents/gun_db/zis-3_76fg.htm
    SUDO

  2. ありがとうございます。
    赤軍では師団砲兵に馬匹牽引や人力での運動性が求められたためこのような仕様になったのでしょうか?
    砲としての性能を維持しつつ運動性を向上させた点は、日本の九五式野砲と対照的だと思います。
    元小学生

  3. M1936/1939と比較するならば、野砲としての性能は維持されていません。
    長射程時の散布界が広くなっていますし、仰角が小さいことから着弾角度が浅く、やはり長射程時の砲弾の危害半径が狭くなっています。
    つまり、最大射程近くで撃つ場合の威力は以前の型より段違いに落ちてます。師団の砲兵連隊の持つ砲数は変わりませんから、特に敵の砲兵と撃ち合うような場面に遭遇すれば大きく違いが出るはずです。
    これでも良いのは、76ミリ野砲は前へ前へと出る、出していく砲なので、1万メートル超えの射程を使う場面はそうそうあるものではない、またそれが必要な場面では122ミリ加農や152ミリ榴を呼べばよいし、またそれを必要な場面で配当するのが軍司令官の役目であるという見切りがあるからです。
    そもそも弾薬筒はM1936以来共通ですし、また対戦車戦闘に限らず敵を照準器に直接捉えて撃つ機会が多いので高初速は望むところ、長い射程はその高初速の副産物でしかない。
    つまり、それまでのM1936/1939が常識的な「普通の」野砲であるとするなら、ZIS-3は赤軍砲兵の用法により特化した野砲と言えるでしょう。
    http://www.warbirds.jp/sudo/red_army/c2_5.htm
    http://www.warbirds.jp/sudo/red_army/c6.htm
    http://www.warbirds.jp/sudo/red_army/c7_1.htm
    http://www.warbirds.jp/sudo/red_army/c8.htm
    対戦車戦闘も積極的にやる、遭遇戦に際しては先頭に立つ、攻撃でも防御でも、とにかく師団砲兵は戦線の進退に沿って動き続け砲撃し続ける、そうした任務には非常によく適合しているし、逆に言えばそれ以外の任務をこなせるようには造られていないわけですね。

    しかし、赤軍砲兵監クーリク元帥とその一派が拘ったのは全射程域での射法を選ばない高精度の射撃であり、それが生産禁止の原因にもなりました。
    とにかくM1936/1939はよく当たる砲だったらしく、味方の野砲兵連隊で敵の師団砲兵をアウトレンジできるというのは、教本に載っていない使い方とはいうものの確かにとても魅力的なものではあったのでしょう。

    そしてまた、日本陸軍も同じく全射程域での高精度を強く要望しています。
    つまり九五式野砲はむしろ野砲として性能よりもその機能をできる限り維持したかった「普通の」砲であり、だからこそ九○式野砲の重量を減らすにあたって精度を下げるわけにはいかなかったので射程が下がったのです。(野砲校の「射程は1万あればよい」という意見もかなりの材料にはなったようですが)
    まなかじ

  4. ZIS-3と九五式野砲の間に運用思想の違いを見る前に両者の登場した背景の違いに注目すべきではないでしょうか。
    ZIS-3も九五式も軽量化野砲ですが、九五式の場合は既に大量配備されている改造三八式を急速に代替するために製作された砲で、改造三八式の運用される条件を崩さずそのまま移行できることを目標にしています。
    そのために低初速に甘んじて射程を縮め、改造三八式に比較しても目立つ射撃精度の低下も問題視されてはいますが、上記の緊急な目的から放置されています。
    九五式開発の背景には改造三八式という至急代替すべき旧式砲改造の暫定兵器があり、その要目を満たす事が第一とされてることは審査の過程で明確に打ち出されています。暫定旧式砲の代替用である低性能な九五式の開発に特別に注目すべき運用思想は介在しません。
    九五式とZIS-3、両者に見られる特徴はそれぞれの理由で軽量野砲を製作しようと試みた際、理想的野砲をベースに低初速に甘んじて軽量化を試みた日本に対し、その数年後に中口径対戦車砲架を利用できたソ連との違いでしょう。
    BUN

  5. 軽量化に魔法は無いわけですね。
    ありがとうございました。
    元小学生


Back