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対戦車ライフルは第二次世界大戦が始まるとどの国でもすぐ廃れてしまった、と聞いていますが、旧ソ連軍では大戦中ずっと(もしかしたら戦後まで?)対戦車ライフルを活用していたようです。なぜでしょう?ソ連軍は他国が気づかなかった特殊な使い道を見出したのでしょうか。 茶封筒 |
- 41年以降は市街戦の支援火器として使用されていたようです。
また、パルチザンが列車攻撃に使用したという話もあります。
対戦車兵器としては多少は使用していたのでしょうが、ソ連では対戦車ロケットの開発が遅れていたため、しかたなく使用されていたのだと思います。
それでも火炎瓶などに比べればまだマシなわけですし・・・
Gew254
- 別に仕方がなく使ってるわけでも、特殊な使い方を発見したわけでもありません。
ソ連軍の一般の歩兵部隊の場合、対戦車砲の質と量が比較的良好であることに加え、師団砲(野砲)にも対戦車戦闘任務が付与されており、そしてその野砲が高名なラッチュ・バムだったのです。つまりソ連軍歩兵は他の国と比較して、ずっと対戦車用火砲の援護を受けやすかったので、対戦車ライフルの非力さが問題になりにくかったのです。
これに加えて、ソ連軍の対戦車ライフルは第二次大戦で用いられた同種火器としては最良のものと言っても過言ではない代物で、またドイツ戦車は比較的弱装甲だったので、対戦車ライフルは十分に効果的な威力を発揮できたのです。大戦中盤以降のドイツ戦車はシュルツェンを装備していますが、これは対戦車ライフル対策で、いかにドイツ戦車がソ連軍対戦車ライフルに苦しめられたかという証拠ですね。
大戦後半になるとドイツ戦車も重装甲化やシュルツェン装備で対戦車ライフルの有効性はかなり低下しますが、火砲や戦車の数で圧倒しているので、始末に困るという程でもなかったのです。
SUDO
- 対戦車ライフルが対戦車砲(速射砲)や歩兵の肉薄攻撃と組み合わせることで威力を発揮する兵器であることは世界各国共通です。
例えば、クルスク戦でソ連軍は野砲のPAKフロントの側面に対戦車ライフル隊を展開させ、PAKに対して車体正面を向け、しかも応戦のために移動速度の鈍るドイツ戦車
の側面を狙わせる配置をとり、パンツァーカイル後方外側の突撃砲や3・4号を散々な目に遭わせています。
もともと対戦車ライフルは第一次大戦にドイツのT-Gewが登場して以来、必ずしもそれだけで相手をノックアウトすることを期待される性質の装備ではありませんでした。
そのなかでも、ソ連軍の14.5ミリ対戦車ライフルは弾頭の重量と初速のバランスが優れるので、よりツブシがきいたのでしょう。
2号戦車、あるいは偵察部隊の装甲車や装甲擲弾兵の兵員輸送車に対しては十分な貫通力を保持していますし、3号・4号戦車や突撃砲に対しても、シュルツェンなしなら側面装甲を近距離正撃で確実に貫通することができます。パンターであっても、D型・A型のエンジンルーム側面に一部ある垂直面と車体側面下部は貫通を期待できます。
また、初速が高くて弾道が良く伸びるので命中精度がよく、しかも弾頭に重さがあるので、たとえばキューポラのビジョンブロックを狙撃して車長の頭部を負傷ないし射殺したり、バイザーを開いていれば同様にドライバーを狙う、またあるいは起動輪(ドライブスプロケット)を狙ってホイールのボルトをかっ飛ばすなどの手段を用いることで、ドイツ戦車にスキを作らせたり動けなくさせたりすることで肉薄攻撃や対戦車砲兵の仕事を容易にし、シュルツェンつきの戦車はもちろん、ティーガーやパンターなどに対しても十分に役立つ働きをすることが可能でした。
対して、例えばドイツの7.92ミリは初速は恐ろしく速いのですが弾頭が軽いので、貫通力はそこそこあっても破壊力に欠けますから、バイザーの防弾ガラスを命中衝撃で吹っ飛ばすとか、ボルトをかっ飛ばすというような芸はできません。
イギリスのボイスやアメリカの.50口径M2など13ミリクラスは、対戦車火器としては中途半端に過ぎ、威力不足という点では7.92ミリと大差がありません。合格点が100点のとき、7.92ミリは60点、M2は70点、ボイスは85点くらいはあったでしょうけれど、不合格という点ではどれも同じだったわけです。
九七式自動砲やゾロトーンなど20ミリクラスの対戦車ライフルは榴弾も撃てるので歩兵戦闘での汎用性も高いという強みこそありますが、反動や本体重量の制約から、弾頭重量に見合うほどには初速を速くできないので貫通力に欠け、また弾道の伸びもあまりよくありませんので、目標戦車の弱点を狙撃するといった用法にはやや困難が伴います。
まなかじ