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何かの本で、「日本が殺人光線のような兵器を開発していた」とありました。しかし、個人的には空想上のものでしかないような気がします。実際はどれくらいのものだったのでしょうか。 PBY |
- 陸軍登戸研究所(兵器行政本部第九技術研究所)の第一科で研究されていました。
当時、く号兵器の秘匿名称で開発され、通称では怪力電波、怪力線、怪力光線などと呼ばれていました。
パラボラで指向性を持たせた電波(マイクロ波)を対象に照射しようというもので早い話が開放されている電子レンジのようなものです。
人馬の殺傷、更にはうんと大出力にして発動機の点火系統を攪乱して撃墜するという発想もあったといわれます。
30メートル離れた位置からの固定した動物への照射実験では、ネズミ(ラット)で2分、ウサギで4分かかって斃死に至らしめることができたとされています。
まなかじ
- 終戦時には配備間近だったそうです。ミリタリークラシックスに書いてありました。
イ式重爆
- >2 それは間違い。配備どころか実験結果自体が不振なのです。
殺人光線兵器は陸軍だけでなく海軍側にも構想があり昭和18年3月には「18年度以降研究実験事項に関する件協議」別冊「作戦上特に緊要と認むる研究実験要望事項」として様々な新兵器と並んで「搭載機銃に代わるべき殺人光線発射装置」が挙げられています。もちろん実用化の見通し等は無く、単にそのようなテーマの研究が要望されていたに過ぎません。
BUN
- 半世紀もたって実用化していないあたりが、まあ答えといえば答えですね。いわゆるトンデモの類です。研究自体はやっていたようですが。
ちなみに「太陽(or竜巻)砲」とか「奇想天外兵器」とかで検索かけますと、その手の「誰が考えたんだこんなもの」的な兵器がけっこうヒットしたり。
その昔、狂科学ハンターREI…だったかな?…とかいうB級ライトノベルにちらっと登場してましたが、作中ではフランケンシュタインが実用化された扱いでしたから、まあつまりそれと同クラスの扱いかと。
シートン
- 当時の陸海軍がそれを要望したのは何故なのかを考えてみるべきでは。今の視点から「珍兵器」だの「駄っ作機」だのと言うのは簡単ですが、それらの研究が要望された背景こそが本当に面白いのではないでしょうか。
BUN
- ミリタリークラシックスってガセネタが多いんでしょうか。
イ式重爆
- その本だから間違っているのではなく、間違いは間違いであるだけで、それを他人に平気で紹介するような真似をするとその本よりも本人の責任と見識が問われます。
読者が鵜呑みにしなければ良いだけの話です。
BUN
- BUNさん、貴重な事を教えて下さって有り難うございます。
イ式重爆
- やや私的な話なのですが、
高校時代の物理の恩師がこの研究に関わっていたそうで、
「ねずみを殺すにも随分時間が掛かった、これではダメだという事になった」
と話しておられました。
当時私は登戸研の事も知りませんでしたが、誇張された話をする方でもなく、そのまま信じております。
ばり
- 余談になってしまいますが。
例えば、核爆弾を空中爆発させて電磁波で電子機器を破壊する大規模EMP兵器が実際に研究され実用可能レベルに達しています。
また、一種のラジコンに電磁波発生装置を乗せて車から発進させ、追跡先の車の下で作動させ、プラグのスパークや搭載コンピュータを麻痺させて車を止める機器も実験では成功するレベルで研究されています。(確かアメリカの警察用です)
太陽光を鏡で集めた熱によって蒸気発電をする太陽砲モドキの様な発電施設も、コストの問題で一般稼動はしていませんが、実験レベルでは十分な結果を得られています。
B-747にレーザー砲を乗せて飛翔体を撃墜する実験なんて物もありました。
これらは予備知識が無ければ笑い飛ばしたくなるような物ばかりではないでしょうか?
過去に有った物が、発想その物が本当に間違っていたのか、ただ単に投入する資金資源が足りないだけだったのか、その時既知であった技術知識に不足があっただけなのか、その辺りは謙虚に良く考えて見る必要がある点だと思います。
だーくまたー
- なるほど、空想の産物に過ぎないと思われる物も、立派な兵器になりえるということですね。解答してくださった皆様、ありがとうございました。
PBY