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戦艦大和の設計者の方が戦艦大和はあの船体なら50口径のほうが適しているが重クなるため45口径になったという話しをされているのを記憶していますが重くなっても射程が延び初速も速くなったほうが良いのではないですか 516 |
- 大砲が重くなると砲塔も重くなり、重くなった砲塔を支えるために船体も重くなり、船体が重くなると速力を保つために機関も大きくなり、機関を大きくすると燃料も増え、そうなると船体は更に大きくなるので装甲範囲も増えるので更に重くなるわけで、結局7万5千〜8万トンの戦艦になってしまうでしょうね。
ていうか、そもそもアレより強力で同時に丈夫な機関は手に入らないわけで、すると中央軸を増して5軸にする必要があるかもしれず、そうすると幅も長さも更に増えることになって、より防御や船体重量が嵩んで9〜10万トンとなり、実質的に建造不能になってしまうかもしれません。
最大速度が18ノットくらいで、防御を一部16インチ対応に限るならば、50口径砲を積んで6万トン級で収めることもできるかもしれませんが、45口径で実力28ノット強、18インチ対応防御の戦艦と、どっちが強いでしょうか?
まなかじ
- 50口径にすると、砲身素材となるインゴットが作れるのか?とか、それを鍛えられるのか?とか、命数が短くなるとか、水平装甲の貫通能力が低下するとか、そのような問題もあったようです
金剛の主砲選定の際、命数と命中精度の両方に優れた45口径砲を選択したという事実がありますね
セミララ
- 単に大砲だけとっても、戦艦主砲は高初速だから良いというものでもありません。
軽量弾を高速で撃ち出す長砲身砲というのは砲身命数が短いですし、弾道性能も終速近くでは不安定で散布界が広がり、弾の落角が描く軌道も遠〜中距離での砲戦に向きません。
45口径並みの肉厚で軽量砲身にすれば、砲身自体の自重による垂れ下がりや発砲衝撃による砲口のブレが無視できないものになり、散布界は更に広がってちっとも当たらない砲になってしまうでしょう。
つまり、日本海軍はそういう砲はちっとも欲しくないわけです。
日本海軍が必要とする弾道性能を50口径で得るには、より太くて頑丈な砲身とより重い砲弾が必要であり、単に45口径砲を2.3メートル長くすれば済むというものではありません。
太くて頑丈な砲身というものは重いですから、>1で書いたように艦全体の重量を増してしまいます。
重い砲弾というのは即ち大きい砲弾です。従って、弾庫の容積が同じならば、45口径のものよりも携行弾数が減ることになります。更に、発射それ自体には45口径のものよりもずっとたくさんの火薬が必要となりますから、火薬庫の容積は否応なしに増さねばなりません。
つまり、45口径と同じ数を搭載するとしたら、弾薬庫全体の容積は45口径砲よりもずっと大きくなるわけです。
しかも、1発あたりの値段(砲弾+装薬)もうんと高くなりますから、砲弾の生産備蓄にかかる費用も増すことになります。
まなかじ
- 重量増の問題が大きいことは既にまなかじさんが書かれていますが、日本海軍の試算だと50口径砲は45口径砲に比べても射程も威力もさして増大しないので、50口径化しても重量増に比べて得る物が少なく不利益が大きい、と判断されたことも50口径砲の不採用に大きく影響しています。
大塚好古
- 疑問が氷解しました。有り難う御座いました
516
- 上を補足。日本海軍の試算だと45口径砲と50口径砲で同じ砲弾を使用した場合、50口径砲の方が弾道特性が良く命中界が若干広いため、全般的に命中確率がやや高くなり、また近距離側での威力は若干向上することになっています。しかしこれらの能力向上が見込まれる項目についても45口径砲に比べて劇的に性能が向上するわけでは無く、逆に遠距離側での威力は落角が浅い分45口径砲より減少する面があるなど、50口径砲の方が威力面で不利な面もありました。
更に50口径砲を搭載した場合、砲塔の重量は1基当たりで500トン以上増大することが見込まれましたが、これを支える船体の大型化による重量増や機関の強化、また建造予算の増大に比して、得られるものが少なく不利益の方が大きい、と判断されることになったことが、50口径砲不採用の大きな要因となっています。。
大塚好古
- 昭和9年の検討計算によると、45口径砲は初速770m/s、砲身重量160〜177トン程度(つまり実際に作ったのと同じぐらい)で、50口径だと初速830m/s、砲身重量186〜205トンと見積もられていました。
SUDO