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戦記などで「防水蓆」という物がときに出てきます。船の喫水線以下に穴があいた時に外部からそこへあてがって浸水をくい止めるか減らすためのムシロかマットレス様の物のようです(全然違う意味でも使われるようです、農業とか河川の水防とか)。これがどういう材質・構造でどれくらいのサイズで、どうやって使うかとかを知りたいので教えて下さい。今も使われているのでしょうか。 Yp |
- いわゆる帆布です。
場合によってはタール・重油等を塗って防水・耐水性を高めたものもあり、往時の艦艇ではそういったものを用いるか、もしくは毛布やマントレット等をばらすなりして用意しました。
SUDO
- ありがとうございます。そうすると常備品では無く、穴が出来たり出来そうになったりしてから帆布を切ったりして使うんですね。張る時はどうやるのでしょう。
Yp
- 破口次第ですが
重し等を使って舷側から垂らし、破口部に当てます。潜水作業等で行う事もあります。
可能ならば反対舷側から引っ張る等で位置を固定します。
破口には水圧がかかるので、上手くすれば張り付いて簡単にはズレませんので、これで何とか応急処置になる訳です。
SUDO
- 何枚か重ねて縫い合わせたりして使うんですよね。10枚くらいとか?
Yp
- 単に防水シートだと思っておけばよいものだと思います。
帆布たって帆に使ってあるものではなく、要するにキャンバスシートだと。
つまり、運用科の備品として艦艇船舶に備えつけの防水シートで、足りなくなれば毛布やハンモックも動員するということです。
サイズは艦によってさまざまです。大型艦艇の備品になっているものは魚雷破口にも対応できるような大きいものもありますし、中小口径の砲弾貫通口ならば毛布サイズでも間に合うと。
まなかじ
- ああ、そうだったんですか。自分はまたもっと強いものかと思ってました。だって破口の周縁はギザキザしていることが多いだろうし。10cm以内の穴が幾つも開いている状態だったら帆布でもいいんでしょうけど。
Yp
- 帆布てえらく頑丈ですよ?
帆布製バッグとか見たことありません?
まなかじ
- ありますよ。小伝馬町の片桐(元帆布店)でテントしつらえたことあるもんね。関係ないか。
Yp
- 大変失礼、小伝馬町じゃなくて御徒町でした。ゴンゴン。片桐製でないけどキスリングも持ってました。
Yp
- てか、つまりは浸水量は、水圧と破口面積と時間で、それが時間あたりの排水ポンプ力量よりも少なければ許されるんです。
で、浸水量を削減するためには、破口にあてものするだけでも、思い切り改善される訳です。別に完全に直すためのものでも何でもなく、とりあえず、出血死を先延ばしにする為の処置なんですから、無いよりははるかにマシなんです。
また魚雷の破口なんぞには普通は当てません。
その裏の区画も含めて広範囲がグチャグチャなわけで、この場合は破壊された区画の近辺の区画を封鎖して水防します(でも、歪んだりしてるので、アチコチに隙間が出来て水が噴出してくる)この場合は、隙間等に詰め込んだりして水止めをするわけです(角材等でハッチにつっかえをしたりするのも併用します)
また魚雷被害では、被雷部以外の船体外板にもクラックや皺が寄って隙間が生じて浸水が始まる事が良くあります。こういった時にもキャンバスを其処に当てることで浸水拡大を抑制し、爾後の対応を考える時間を稼ぐ事ができます。
応急処置とは時間稼ぎなんです。大概、被弾でポンプ等も死ぬし、様々な混乱が、起こり、被害を拡大させます。
時間が稼げれば、被害集計も排水も出来る訳で、その時間を稼げれば、先ずは充分であり、その観点ではキャンバスというのは入手性や取り扱い性からみても最善のモノの一つだといえるでしょう。
SUDO
- ありがとうございました。
Yp