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元自衛隊陸将補である松村励氏が海軍は大洋のど真ん中のブルーウォーターから沿岸近くのブラウンウォーターで戦う方向に回帰しつつあり、軍艦は、再び火力、機動力、装甲防御力を均衡して持つという本来の路線に戻ると 予測しています。 となると、かつての戦艦や重巡洋艦のような巨大な火力を持った艦艇が 今後、建造される可能性はあるのでしょうか? 日比谷 |
- 遠い将来に武器やらなにやらの雰囲気が変れば、その可能性も有るでしょう。
現代の技術と方向性からは無いと思います。
火力面は誘導砲弾等の採用で強化されると思いますが、超大火力は航空機やミサイルの分担分野ですから、艦船に多数の巡航ミサイルを積むといった事で対処され、火砲を多数搭載するというようなものは無いと思われます。
SUDO
- >SUDO氏
>艦船に多数の巡航ミサイルを積むといった事
その究極形態がアーセナル艦やキーロフ級といったとこでしょうかね?
>日比谷氏
現在米海軍はトマホークを対地攻撃の主流としていますし、
ハープーンも対地攻撃能力を獲得するに至っています。
ロシアのSS-N-26オニクスの実戦配備が秒読みに入り、
SS-N-21も戦術通常弾頭ミサイルへの転換をほぼ完了している
と思われる昨今に、艦艇の砲撃による対地制圧は考えられないでしょう。
いくら噴進誘導砲弾にしたところで、
巡航ミサイルの射程や火力には到底敵いません。
あくまでも「ミサイル戦を前提とした」火力・機動力・装甲防御力の最考慮を
する必要があるということです。
漣(Saza-nami)
- 現在の艦船用砲が、主に対空射撃を目的としているため、陸砲に対して著しく非力なのは確かです。
そのため、せめて同程度の火力を持たせようとの動きは思い出したように試みられています。
艦砲での支援の場合、ミサイルより安価なことが前提になると思いますので、かつての戦艦なみの砲を新規開発ということは、
本末転倒になり、ありえないかと思います。ただし、陸砲の改造程度ならありそうです。
特に、米軍の場合、敵前上陸(いまどきあるのか?)を行う海兵隊から、砲壁支援の要望が出ていると聞きます。
キック
- >敵前上陸(いまどきあるのか?)を行う海兵隊から、砲壁支援の要望が出ていると聞きます。
米軍の次期主力駆逐艦であるDD(X)には155mmAGSを2門搭載予定です。ミサイルに比較し安価に大量の砲弾を降らせて地上制圧をするのが主目的ですが、ロケット推進併用により射程は185kmになっています。スペックでは毎分12発で、1門辺りの砲弾は750発となっています。
DD(X)自体も駆逐艦とは言え12000トン以上と大型のものになっています。
しかし、ブラウンウォーターネービーに回帰しつつあるとは、何を刺しているのでしょうか。畑違いとは言え同じ元陸将補の発言なので、何らかの根拠に基づいているとは思うのですが。
富士見町
- 皆様、真摯な回答ありがとうございます。
攻撃力強化といっても結局、巡航ミサイルを主としたもであり、艦砲は
副次的なものになるのですね。
個人的には大口径の艦砲を持った軍艦の復活を願ってるのですが(笑。
ブラウンネイビー回帰論ですが、松村氏の著書、「戦争学」(文春新書)に
記載されております。
ここのサイトのレスにもありましたが、フォークランド紛争や湾岸戦争で、
陸地からのミサイル攻撃を受けた時に、電子機器搭載優先の為、装甲防御力を犠牲にしてきたブルーネイビー形の艦艇はその弱点をさらけだしたため、
再び、装甲、機動力、火力を均衡に備え持つ方向に回帰するとのことです。
日比谷
- >ブラウンウオーターネイビー
世界最大の戦力を誇る米海軍が沿岸域作戦能力重視(というか海洋から陸上域への戦力投射能力の重視かなあ)の方向に進んではいます、ただ、それが装甲、機動力、火力を均衡に備え持つ方向にすぐ回帰するのかっちうと?が付きますが。
(装甲=防御力とは限らない訳で)
>艦載砲の長砲身/大口径化
米海軍のMk45やOTOブレダの5インチ砲が長砲身化の方向に進んでいるのは、ご存じかと思います、また、6インチクラスの砲としても前述のAGSの他にドイツの自走砲の砲塔部分を流用した砲の試験も行われてはいます、ある程度の砲撃による対地制圧能力強化の方向に進んでいるのは、本当のようです。
ooi
- >個人的には大口径の艦砲を持った軍艦の復活を願ってるのですが
レールガンが実用化されたら、どうなるんでしょうね。
National Navy EM Gunの要求仕様によると
発射体重量20kg
初速2500m/s
射撃速度毎分6-12発
砲身長10m
となっています。砲身長10mとなると「巨砲」と言えないこともないのでは。
それはともかく、このような高速飛翔体に対して、装甲による有効な防御ができるんでしょうかね。
富士見町
- その通りに実用化されたらね。
レールガンのダイナミックスから考える限り、大重量小加速という用途には向かないカラクリです。
因みに、発電、蓄電及び送電効率が100%、デューティ50%充電、砲固定状態、システム冷却用電源は別と仮定すれば1門あたり実用最大出力が13万馬力程度のシステムで稼働可能ではありますね。
もっとも、研究開発レベルであっても10発も撃てばレールのホーニング加工を行わなければならないのですが。
>このような高速飛翔体に対して、装甲による有効な防御ができるんでしょうかね。
防御はせずとも、そのようなプラットフォームに対する「対処は可能」です。
砲である限り相手が見えてなければどうしようもありませんから。
低伸弾道ならば特に。
sorya
- Soryaさんありがとうございます。
>大重量小加速という用途には向かないカラクリです
Navy EMのスペックって、普通の大砲でも実現できそうなものですよね。SDIの頃はもっと小質量の飛翔体を超高速で射出するようなものだったと記憶しているのですが。
もちろん、大気中では小質量飛翔体では空気抵抗による減速や大遠距離での精度(あまり小さいと誘導装置自体も組み込み不可でしょうし)等問題はあると思いますが、この方向での研究はなされていないのでしょうか。
近未来戦小説には出てきますけどね。
富士見町
- レールガンという代物は小重量(数g〜数百g)高加速(6000mps以上)に向く加速方法であり、世界的にもその傾向で研究開発をしています。
それでも静止状態からの加速ではレール材(電車のパンタグラフに用いているようなCu-W系が未だ主流)が大きくえぐれてしまうため、He/H(〜5000mps程度)もしくは火薬(〜2500mps)を用いた初期加速をした後にレールガンに投入する多段加速方式を何処の国、何処の研究機関も採用しています。
sorya
- >世界的にもその傾向で研究開発をしています。
だとすると米海軍が違った方向に向いている訳ですね。レールガンを検索していてこのスペックを見つけたのですが、自分のこれまでの理解が大幅に間違っていたのかと思いました。
富士見町
- 脱線しまくってるのでこれでお終いにします。
取りあえずお手並み拝見というところですね。レールガンは良くも悪くも原始的・シンプル過ぎるので、ダイナミックスを記述するに必要なパラメータが非常に少なく、そして弄ったところで現象感度が鈍いので、チューニングのし甲斐が全くありません。どうしても初期加速が要りますし。
普通、(比較的)大重量低加速に向く電磁加速方式として電磁式同軸加速装置(マスドライバーとかと言われてるモノ)という、速度0からの加速でもシステムにダメージを与えにくいものもありますが、こいつはこいつで砲身にびっしりとコイルを巻かなければならず、結局砲身の取り回しに苦労しそうです。でも、この方式は戦前から実績があるため(例えば旧日本軍の海軍研究所(?)において、フライホイール型直流発電機を使用し、重さ5kgの鉄パイプを500mps付近まで加速させていたりします)、レールガンに比べ実装は難しくなさそうです。実用可能かどうかはともかくですが。
sorya
- 著者の名前は、松村『劭』ですね。
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