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ここにして良い質問かどうか自信がないのですが、他に聞けるところも無いもの で、よろしくお願いします。 え〜先日、サブマリン707Rという潜水艦モノのアニメを観たのですが、その 中で単座の小型潜水艦が登場します。母艦となる潜水艦から切り離されて、昔の 艦載水上機のように偵察に使用されるようなのですが、これが気になって。 たとえば大戦中の甲標的は、母艦となる伊号潜より速度も遅い可潜深度も浅いで すから、とても偵察には使えませんね? 現代あるいは近未来なら、母艦よりも高速な小型潜水艦を(必要かどうかはおく として)可能にする方法があるのでしょうか? もう一点。 作中では、その小型潜水艦(ジュニアと呼称?)は母潜水艦と無線のようなもの で会話できるのですが、水中では電波は飛ばないですよね? イルカのように音波で圧縮されたデータを送るのかとも想像しますが、それじゃ アクティブソナーなみに目立ちすぎるような・・・ 原作者の小澤さとる氏の著作は「黄色いゼロ戦」しか読んでないのですが、NH KのBSマンガ夜話で「青の6号」をとりあげたさい、小澤氏を「機械に詳しい ヒト」と評してましたので、あるいは上記の疑問点にはすべて(書いてないだけ で)説明できる技術背景があるのでしょうか。 そりゃマンガだろ、と言われればそうですが。 バット隊 |
- >そりゃマンガだろ、 というのは正に正解とは思いますが・・・。
まず、小澤さとる氏の「サブマリン707R」と言う作品は、昭和30年代の「サブマリン707」と言う作品のリメイクである、と言う事を抑えていただきたいと思います。
このときの設定では、「ガトー級との競作として建造されたもの」だったと思います。
つまり、「707号自体が水中高速型潜水艦ではない」という事なんだと思われ、これに「水中高速型の子艇」を搭載する、という設定が魅力だったのかと考えます。
以上を踏まえて、ご質問に対する答え(と言うか私個人の見解)ですが。
1.母艦よりも高速な小型潜水艦を可能にする方法があるのでしょうか?
搭載される子艇が、水中での高速航行と最微速航行の安定性が両立できていれば可能ではないかと考えます。
2.707ジュニアの通信方法
現時点では、あのような状況を実現させるのに一番有効なのは、「有線通信」ではないかと・・・。
それですと、常時ケーブルを曳航している事になり、水中での機動性とは相反する要因となりますので実用性は皆無だと思います。
元むらくも乗員
- ジュニア(で良いです)は、実に昭和30年代後半、707Rの元となった連載漫画「サブマリン707」に登場します、それがいまだに古さを感じさせないというところがすごいですね。
この漫画には、当時の最新技術や未来技術を下敷きとした架空兵器や架空艦が、実在艦にまじって登場し、当時の子供を熱狂させたものです。
ジュニアもその中で出てきたもので、船というより航空機のイメージの強い(プロペラ、プラス翼)小型有翼潜水艇(繰り返しますが昭和30年代です)ですが、実はより潜水艦のイメージが強い初代ジュニアと言うものが存在し、搭載方法は旧海軍の、回天または甲標的に近いイメージのものです。
現代に登場可能か?と言えば、切り離し、再収容の問題はクリアされているでしょう、高速性能も航続時間を度外視すれば魚雷技術の転用でどうにか、ただ目視操縦というのが現実的にはどうか?それと通信の問題はやはり解決困難でしょうね、音波にしても有線にしても、母艦近辺で使うのではない限り、このへんは「漫画のお約束」程度に見ていたほうが無難では。
最後に、甲標的は、当時の母艦の倍以上の水中速度を出せます(元々は水上艦より洋上発進する小型潜水艦です)また可潜深度も母艦なみにありますよ、また母艦では不可能な港湾進入攻撃に使用されています。
707関連のサイトでは http://www.takinoya.com/ozawa/ozawa.htm 等ありますよ
わんために
- 元むらくも乗員様、わんために様のおっしゃるとおりであります。スーパー99や青の6号、707、冒険日本号など、当時のワンダーランドはまだ宇宙ではなく海でした。大体707なんかブラジルへの移民船の上から話が始まっているくらいのもんですから、年代がわかるってなもんです。
戦場まんがシリーズや宇宙戦艦ヤマトに突っ込めないのと同じですな。
WISH
- 漫画と言うかフィクションである為に話の面白さを優先して一部リアルさが犠牲にされているのはよくある事で、ことさらサブマリン707Rや小澤さとる氏がそうだと言う程の事ではありません、これは誰もが仰るとおり。
それを踏まえた上で。
>小型潜水艇の可能性
母艦より高速かどうかはともかくとして、現実、将来的に沿岸戦での使用等を前提としたUUV(Unmanned Undersea Vehicle)の概念設計や実用化に向けた努力は払われています、また特殊部隊揚陸用のSDV(Swimmer Delivery Vehicle)やASDS(Advanced SEAL Delivery System)等実用化された小型潜水艇も存在します、航続時間については、ある程度の割り切りと高出力を必要時間維持出来るものさえあればなんとかなるでしょう。
>水中での無線のような会話は可能か
音波等を使用した水中電話があります、また、海中での通話を可能にするものとしてはこんなものもあります。
<スキューバフォン>
http://www.media-pj.co.jp/SENSUI1.htm
劇中程便利かつ有効に使えるかと言う点で疑問はありますが、そこはフィクションとしてのお約束程度と考えて差し支えないかと思います。
ooi
- >漫画と言うかフィクションである為に話の面白さを優先して一部リアルさが犠牲にされているのはよくある事で
犠牲にしているのでは断じてありません。われわれの生きる現実世界の「リアル」と物語中で語られる「リアル」は違うものなのです。それがフィクションを語る上での大前提です。物語内でそれらが「リアル」に機能していないとしたらそれは世界構築そのものが失敗しているのです。以上、余談。
707の作中に置いては水中での通話は超音波を使った音声伝達手段であること、また、ジュニアの存在については水上での大艦巨砲主義に対する航空機のように水中でもそのようなパラダイムシフトが起こるかもしれないということが作者によって作中のコラムで語られています。
とは言え、これらの設定が作られたのも当時の漫画の文法として遠隔地において互いに会話が成立しなければストーリーが進展しないし、読者対象である少年に近似のキャラクターを活躍させなければならないという作劇上の都合が第一であることは間違いないところでしょうが。
らくだ
- 水中での無線通信:
海水中での無線通信実験をしたことがあります。一辺50Cmくらいの銅版を、
プラスチックコーティングして、2枚絶縁体で約70Cmくらいの間隔で平行さ
せて取り付けたものをアンテナにします。
これでトンツーですが、3.5MHzの周波数で約2Kmくらいの実用通信距離が
あります。
アンテナからの輻射方向は極板方向に8の字型、到達距離は海面に近い方が大
きくなりますが、あまり近いと空中への放射が起きて、アンテナ整合が崩れま
す。海面の全反射現象を利用した、一種の誘電体伝送として扱えるようです。
出力は50Wでした。
elebras
- >たとえば大戦中の甲標的は、母艦となる伊号潜より速度も遅い可潜深度も浅いですから、とても偵察には使えませんね?
甲標的が伊号より速度が遅い?反対ですよ。伊号が甲標的より速度(水中)が遅いんです。ただ、速力を出すと航続時間が極端に少なくなりますが。
それと河潜深度も普通の潜水艦と変わりません。ガダルカナルで記録された最高深度は130mです。
GO
- をを、高性能なのですね特殊潜航艇。
つい終戦間際の海龍とかのイメージがあったもんで・・・
バット隊
- 海龍だって当時の普通の潜水艦より水中速度は速いんじゃないかと・・・。
SUDO
- 確かに海龍も性能は潜水艦よりは上です。
水中最高速力は9.8ノット、魚雷を装備すると4ノット、安全河潜深度100m、最高河潜深度200mです。
ちなみに甲標的は甲型の19ノットから丁型(蛟龍)の18ノットです。
GO
- ある意味で海竜こそが、ジュニアの祖先では?
海竜はタンクの注排水により潜航するのではなく、大きな翼を持ち、飛行機のように水中を機動するというアイデアにより生まれたものです、諸般の事情により性能的にはかなり低いものになってしまいましたが、発想的にはジュニアにつながるものがあります。
わんために
- >GOさま。
海龍の「魚雷搭載時の最大速度4ノット」は、
学研の歴史群像でも拝見いたしました。
これ、水中最大速度とみなしてよろしいのでしょうか。
では、魚雷搭載時の水上最大速力に興味あります。
なお、
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ohgai/7414/
に、魚雷搭載時には2ノット低下とあり、海龍の変則的な出自や
小学生の頃、、駄菓子屋で買った海龍のプラモ(お風呂で遊べるやつ)
を作ったら、小学生でも見抜けるほど、
てんでデタラメな外形だった個人体験と合わせて、
ドシロウトには
「ああ、海龍、調査は大変だなあ!」と思います。
無頼庵
- >10. GOさん
新たな疑問が。
「魚雷を装備すると4ノット、安全河潜深度100m」というのは、海龍本体ではなく魚雷側の制限なんでしょうか?
じゃむ猫
- 海龍の魚雷発射管は外装式なので、その抵抗により速力が半減します。
発射管自体は抵抗を少なくするため流線型にされていますが、19tしかない海龍に1tもあるものを2本もつり下げるんですから、多少無理があったのかもしれません。モーターも90馬力2基ですから、はっきり言って馬力不足と言えます。
安全河潜深度も、発射管の強度によって左右され、海龍自体は200m潜れるように設計されていたのですが、発射管は100mを超えると圧壊してしまいます。こればっかりは発明家の佐野五郎氏でもどうにもならなかったようです。
>11
実は海龍も海水を入れるタンクがあります。
と言っても、これは出航後に満水にし、入港前に排水します。
GO
- >14. GOさん
発射管の制限でしたか。ありがとうございます。
じゃむ猫
- 皆さん、ありがとうございました。
バット隊