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2628 模型製作の資料にと学研の「金剛型戦艦」を眺めていたのですが、その中で「金剛型の水平防御は弾火薬庫の天井でさえ19ミリ」という記述がありました。
いくら何でも薄すぎると疑問に思い、自分なりに金剛型の水平装甲について調べた結果、改装前のもので19ミリ、57ミリ、70ミリという、まちまちなデータが見つかりました。いったいどれを信じればいいのでしょうか。
艦船好きの方には初歩的な質問かとは思いますが、回答よろしくお願いします。
ヨハン

  1. 質問者です。ちなみに参考にした資料は書店などでも入手しやすい「世界の艦船・増刊」などです。
    質問を書き込みながらふと思ったのですが、改装前は57ミリが正しく、19ミリとされている資料は「中甲板」と「防御甲板」を取り違えているのでは……と。学研の例の本も舷側に接する部分が傾斜している甲板を「中甲板」としています。
    それで、70ミリとしている資料は、19+57=76という数字を「70」と間違えて書き写してしまい、それが以後も修正されることもなく今に至っているのでは、とも考えるのですが、いかがでしょう。
    ヨハン

  2.  船体中央部だと中甲板になるんじゃないかな?>防御甲板
     つまり、防御甲板の高さはうねうねと上がったり下がったりしてるんです。
     確か機関部上部だと中甲板か主甲板で、弾薬庫だと下甲板か主甲板が「防御甲板」になります(甲板の呼び方は艦の階数で違うのでどっちか判りませんが)
     で、同世代英巡戦で、この部位が40lbsですから、たぶん1インチ前後で19mmで良いんじゃないかと思います。
     弾薬庫等の場合は上・主・下の三段に合計して50mm程度になる筈です。
     薄すぎると思うでしょうけど、当時の巡戦てそんなもんです。理由は厚いバーベットで止められるという見積もりだったからです(このあたりは各艦の断面図や弾丸が如何入るのかを考えれば判ると思います)
    SUDO

  3. 同世代英巡戦のライオン級では、防御甲板の厚さは艦の中央部でSUDOさんが仰る1in(25mm)、X砲塔から後ろが1-1/4in(32mm)、艦首と艦尾(1層)が2-1/2in(64mm)と、部位によって増減してます。ですから金剛型も部位によって3/4in(19mm)、2-1/4in(57mm)、2-3/4in(70mm)と増減していたものと考えられます。
    ちなみにライオン級のA,B,Q砲塔の部位―( )内は日本海軍式の呼称)―では、
     船首楼甲板(露天甲板): 1-1/4in(32mm)
     上甲板(上甲板): 1in(25mm)
     主甲板(中甲板): N/A
     下甲板(防禦甲板): 1in(25mm)
    ・・・で、防禦甲板の上は石炭庫であり、この石炭層も防禦の一部として計画されてました。
    要は、WW1前は低平な弾道で飛来する敵弾に対する防禦で事足れリと考えられてたワケです(舷側甲板は下から9in/6in/1in)。
    駄レス国務長官

  4.  低平な弾道じゃなくて、実際入らないんですよ>弾薬庫上面。
    甲板装甲は、舷側装甲→|_|←バーベットに挟まれた”_”の部分になるんです(実際には上甲板にも板があるのですが)
     勿論艦によって多少変化しますが、弾薬庫上面に砲弾が行くには、落角40〜50度以上にならないと成立しないのです(これは各砲の最大射程級での条件になります)それ以下の落角の場合は舷側装甲かバーベットに当たります。
     浅い弾道で舷側を抜いて、弾薬庫上面を抜くには、かなり低い場所、つまり舷側装甲最厚部を抜かないと成立しません。深い落角でなら比較的薄い舷側上部を抜いてからとなりますが、この場合は砲弾の落角が足枷となって、やはり舷側装甲を抜けるかどうか、更にまだエネルギーが残ってるかが問題となる訳です(舷側を抜いてバーベットというのは近距離なら起こるでしょうが、これはバーベットの分厚い装甲で食い止める)
     鍵は甲板の位置の低さで、この深い場所に花道を成立する条件は事実上存在しなかったのです。必ず砲弾は舷側に当たってからでないと来なかったのです。であるから弾薬庫上面は、舷側や上甲板を抜いた砲弾が炸裂して発生させる弾片に耐えられる程度の防御があれば全然不足していなかったのです。
     航空爆弾の登場までは、これで結構全然平気だったわけです。
     WW1と海軍休日を生き残った艦は装甲を追加してますが、これは舷側装甲の強化が認められていないことと、航空爆弾の影響によるもので、もしもこの2点が無かったら、金剛の防御強化もまた変ったかもしれません(傍証ですがレパルスに対して行われた防御改善工事なんかが参考になるかも知れません)
    SUDO

  5. 駄レス国務長官さん、SUDOさん、ご教授ありがとうございます。
     なるほどと思いもう一度資料を眺めてみると、確かに甲板というものはうねってました。甲板の名称を混同しているわけではないのですね。

    4> ということは、金剛型は改装時にバーベット部をかなり増厚しているようなので、舷側装甲の薄さをのぞけば、よく巷の資料にあるように「金剛型は水平装甲が薄く、36センチ砲弾に対しても防御が充分ではなかった」とは、一概には言えない・・・と理解していいのですね。というか、改装後の装甲厚からすると、金剛型って結構ステキなやつかも、と思い始めました。気合い入れて造らねば。
     イギリス艦の資料なども手に入れて、レパルスの改装についても自分なりに調べてみようと思います。
     溜飲が下がりました。ありがとうございました。
    ヨハン

  6. >>4.
    弾薬庫上面に直接砲弾が届かなくても、弾片で1in程度の防禦甲板が抜かれ、相当の被害を生じた実例が有りますケド。
    (ジャットランド・バンク海戦での英巡戦タイガーQ砲塔横へのモルトケ11in弾の命中など。15:55GMTに撃角5ないし10度で240lb(6in)の舷側甲板を貫徹後に主甲板上方で爆発し、弾片2個以上が40lb(1in)防禦甲板を抜き、死者12名、負傷およびガス中毒数名発生、副砲およびQ砲塔左舷弾火薬庫浸水)

    >>5.
    金剛型は基本性能・容姿・戦歴いずれをとっても本邦主力艦中の白眉と思われます。
    駄レス国務長官

  7. >4
     いや近距離砲戦だから薄くても良いと仰られたので・・・。
     ジュトランドの事例は、つまりは砲戦距離の問題ではなく、絶対的な防御性能・規模の問題ですよね。
    SUDO

  8. >>7.
    >薄くても良い
    ・・・と思ったのは小官ではなくて当時の計画者ですケド。

    >絶対的な防御性能・規模の問題ですよね。
    つーか1inの防禦甲板が「結構全然平気」だったか否かの検証事例ってコトで。
    駄レス国務長官

  9. >8
     おお、失礼。
     そうですね、実際にジュットランドではバーラムも弾薬庫に弾片突っ込んでますから、少し見積もりが甘いのは事実ですね。
     
    SUDO

  10. >>9.
    ご理解有難う御座います。
    駄レス国務長官


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