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初めまして。 三菱の航空機用発動機、「震天」(及び陸軍型のハ−6)系列は何故多用されなかったのでしょうか? 正式採用された機体でこの系列のエンジンを用いたものは九九式飛行艇ぐらいしかありませんし。 金星をストロークアップ化した発動機との事ですが不都合な点があったのでしょうか? 御教授して戴ければ幸いです。 OSCAR |
- 自分なりに考えてみたところ、
1.元になった金星系の生産を阻害する恐れ有り。
2.震天の改良に労力を注ぐなら、より新しい設計の火星の開発に重点をおいた方
が自然(当時の航空関連技術の進歩状況では)。
の二つが思い当たりましたが。
OSCAR
- 手元にある「三菱航空エンジン史」によると、震天が金星と同系統とは書いてありませんね。両者のボアは140mmで同じですけど。生産台数が119台と少なく、三菱にもほとんど記録がないそうです。
震天および震天改は軍主導の発動機なのに対し、金星は深尾淳二氏が軍とは独立して陸軍・海軍双方に売ることを目的として開発させた、三菱の自主開発発動機です。したがって、技術的というより、三菱のCorprate Decisionじゃないでしょうか。
「戦時期航空機工業と生産技術形成」という三菱の発動機部門を描いた本によると「海防会議のA7(震天)、陸軍のA6(震天改造)、また水冷としてB2-B5があり、それぞれ軍の仕様にもとづき、各々の主任設計者が思い思いの構造を設計をしていた。陸海軍に同一エンジンを採用させるためには、会社が中立で独自の仕様を作らねばならない」(ため金星3型の開発を進めた)との記載があります。
富士見町
- 震天がその役割を終えたと判断された最大の理由は火星の完成です。
十二試陸攻の候補発動機に金星と震天が併記されましたが、火星の完成により実機は火星装備で再計画されています。瑞星、金星、火星のラインナップ完成が震天の黄昏をもたらしたといったところです。
BUN
- 富士見町様、BUN様、御回答ありがとうございます。
当方震天と金星が同系統の発動機と誤解しておりました。ご指摘ありがとうございます。
開発の経緯が異なる発動機なのですね。
やはり火星の完成が震天の必要性を無くしたのですね。
ここで一つ疑問に思ったのですが、金星に代わる形で震天が主流になる可能性はあったのでしょうか?
三菱の意向では金星を自主開発し、陸海軍に売った以上無いとは思いますが。
OSCAR
- 海防会議->海防議会
震天改造->震天改
です。
富士見町
- >4
陸軍の側では、自軍が発注したハ六の開発が後手に回され、金星新型に注力されたことを遺憾と思ったという話があり、このためか、金星三型、四〇型、五〇型は陸軍には全く採用されておりません。三型以降の金星は事実上海軍専用発動機となっています。最終的にはハ一一二の水メタ噴射型に至ってようやく陸軍機にも使われるようになりましたが、ハ一一二という名称自体がどうも瑞星ハ一〇二の燃料噴射型としてカモフラージュされていたらしい節も感じられてしまいます。
逆にいえば、A6(ハ六)とA8(金星)の開発順序のバランスがもう少し上手く取られていたならば、あるいはハ六は陸軍でもう少しだけ長く生き残っていたかもしれません。しかし、それを搭載したはずの九七式重爆は二型で火星に換装されて行きますから、全体の寿命としてはそれほど延命出来なかったでしょう。
片
- >5
海防議会も間違い。
海防「義」会です。
BUN
- >7.
訂正ありがとうございます。
富士見町
- 片様回答ありがとうございます。
三型以降の金星が陸軍で用いられてないあたり三菱との確執がありそうですね。
OSCAR
- >9
そう簡単には言えません。海軍があまり重要視しなかった瑞星系発動機は陸軍が早くから多くの機種で採用しています。金星が用いられないから陸軍vs三菱の確執といった単純な図式化はできません。
BUN
- すいません、確かに金星の件だけで三菱Vs陸軍の勘繰りは早計ですね。失礼しました。
OSCAR