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日本陸軍が海軍機を(部分的に)導入する計画はありましたが、その逆は 検討されたことはあるのでしょうか? Zossen |
- 陸軍機を海軍で使う場合、艦載機か陸上機かで求められる仕様も
違うと思います。艦載機なら発着のための失速特性や脚類の強化と
着艦フックの増設もあるでしょうし、陸上機として使う場合でも
備砲弾薬に陸海軍で互換性がなければ陸軍からの供給になりますよね。
そういった問題があるにせよ、陸海軍共用基地や、局地防空など
用途を限定すれば検討課題の可能性ぐらいは、あったと思うのですが。
もっとも、この問題を突き詰めていくと、仮想戦記のように
「日本に帝国空軍が設立されていた場合の装備機」
の話に脱線してしまう可能性があるので留意が必要ですね。
Zossen
- 98式陸偵という陸軍機ベースで海軍仕様の艤装を備えた機材が戦前に既に実在します。100式司偵や4式重爆撃機といった例もあります。
SUDO
- 陸軍機を海軍が制式とした例に九八陸偵があり、その名の通り海軍の制式兵器です。一〇〇式司偵もその延長上で制式兵器として手続きが採られてもおかしく無い機体でしたが、本機以降は陸海軍の協定下で融通され一〇〇式司偵は零式水偵との交換で供給されることと取り決められています。また陸軍雷撃隊の為に天山を供給する代りに一式戦闘機の海軍への引渡が検討された時期もあり、両軍間での機体融通が段々と簡単に実施できるように変っています。18年11月以降の軍需省体制スタート後には益々その傾向が強まりますが、実施例はあまり増えません。19年度の決戦体制下、機体の共用は短期的に利点が少なかったからです。
また四式重は陸軍重爆戦隊に雷撃教育を施すことが目的ですから海軍が使用した訳ではありません。
BUN
- 本格的な例としてはキ一一五がありますね。
片
- 日本陸軍軍用機パーフェクトガイドに「天山」の陸軍供与の交換条件で、用途、規模はわかりませんが、1式戦「隼」の海軍供与が検討されている。とありました。
哲
- 横合いからすいません。実は私も驚きました。零戦がある海軍が何故「隼」なのだろうと思いました。特攻機専用と考えたのでしょうか。その背景に興味があります。
元GTII
- > 5.
神野正美氏の「台湾沖航空戦」によると、陸軍側は取り敢えず天山100機の譲渡を望んだようです。
用途はこの頃編成の話が進められつつあった陸軍雷撃隊の機材とする為です。
> 6.
同じく「台湾沖航空戦」によると、昭和18年暮れに天山の陸軍への供与は無理と海軍から陸軍に伝えられたようです。
陸軍が天山の供与を望んだのはそれより前ですので、組織的な特攻が開始されるレイテ戦(それ以前から下地となるものはあったようですが)の一年近く前から専用機材を用意するとは考えにくい様に思います。
想像になりますが、海軍でも配備が始まったばかりの最新鋭艦攻を陸軍にタダで譲ってくれるのは幾ら何でも虫が良すぎるので、見返りとして海軍に譲渡できそうな機材が「一式戦」だった、と言う話だったのではないでしょうか。
T216
- 「台湾沖航空戦」は主に下の史料を下敷きにしています。
昭和19年1月11日
昭和19年度飛行機及滑空機31000機整備計画
機種 戦闘(襲撃)機 一式戦闘機 整備数 3650 適用 「十四試艦攻200機トノ関係ハ別途考慮ス」
他にも
機種 偵察機 一〇〇式司令部偵察機 整備数 2000 「水偵150機交換用150機ヲ含ム」
といったものがあります。
この計画表自体、海軍との折衝(生産数の振り分け問題が主体 ただし陸軍は本計画を最後まで堅持)に用いられたものですから海軍からの供与を受ける水偵等の部分についての交換レート(のようなものがあるとすれば)はかなり誠実な内容ではないかと思います。
一〇〇式司偵の海軍向け生産そのものはそれより約一年前に決定されています。
海軍側が機体製作に協力するという条件です。
九八陸偵制式採用の頃よりも本格的なのですが手続き的に簡略化されているところがこの件の面白い点です。
BUN
- アメリカ軍の場合、空母ホーネットからのB-25の例にかぎらず、
戦後も結構、「こりゃぁ空母のエレベーターどころか、飛行甲板からはみだすだろう」
というような大型機まで発艦テストしているのが面白いですよね。
Zossen