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5193  ゼロ戦の機尾の部分とがってますよね。流線型のごく自然な形に思えるのですが当時の主要な戦闘機でこの形状採用している物は「あまり」ありません。(雷電は主要かな?)この形状の長・短所を教えてください。
とろったー

  1. その部分が方向安定上あまり有効な面積になり得ていない、方向舵として使っているわけでもない、というのが欠点ではないでしょうか。


  2. 尾部が点に帰結するという事は、胴体のしぼり方がゆるやかで、比較的後方まで太さを残している事の裏がえしでもあります。

    尾輪の引き込みにあたり、応力外皮構造を傷つけないで済む
    (応力外皮構造が終わった直後の空力的ハリボテ内に収容している)

    水平尾翼のフィレットを後方に長く整形でき、干渉抵抗が少ない

    方向舵の面積重心がプロペラ軸線から離れるので、離陸直後に方向舵を引っかけられやすい
    (ダウンスラストあれば改善)

    キリモミからの脱出で若干不利
    (垂直尾翼が水平尾翼の影に隠れるのでキリモミ離脱の有効面積を稼ぎにくい、ただし一般論、水平尾翼下面の胴体側面積も離脱に効くので零戦は必要充分)


    ガス欠飛行連隊

  3. 便乗です。
    中島が零戦をもとにつくった、二式水上戦闘機はわざわざその部分を改変してますが、当然具体的な理由があったはずですね。フロートによって低下した方向安定性をいくらかでも補うのが目的だったのでしょうか。

    それから、こういう形状の飛行機のきりもみ特性は一般的にどうなんでしょう。興味があるところです。
    Prolog

  4. 二式水戦が方向舵を下端まで伸ばしたのは、水上滑走中の操向性を上げるためでもあると推測されます。
    単回転プロペラの影響による機首の偏向癖は、車輪による陸上滑走より
    グリップの効かない水上滑走で、より強烈に現れるそうですから。

    キリモミ離脱判定については
      飛行機設計論  P100〜104
      飛行力学の実際 P118〜119 P156〜157
    あたりが参考になると思います。

    零戦型の尾部が少数派で、胴体下端まで方向舵とする設計が多数派なのは
    キリモミ離脱特性のためより、むしろ機首偏向癖改善のためであると思われます。(これは低速で大馬力の時に顕著)
    疾風は垂直尾翼の面積重心を思い切り下にさげて対策していますね。
    零戦型の尾部でもマネできなくはありませんが方向舵の上下幅が異常に小さくなってしまいます。
    欧米機はダウンスラストで対策した機体が多いようです。
    ガス欠飛行連隊

  5. >4.ガス欠乏飛行連隊様

     ダウンスラストを検索すると、エンジンを機軸よりも下向きに装着するとありました。

     これだと、その種の飛行機は、水平飛行中は取り付け角の分だけ尻下がりで飛ぶということなのでしょうか?
    NG151/20

  6. 飛行姿勢は推力軸ではなく主翼の迎え角に支配されますね
    従って低速時はそのようにも見えますが、高速時はペラ軸が下向き加減になります。
    プロペラ面を通過する空気の流れは、JETエンジンのようにダクト状のものがないので、流れる方向は固定されません。
    ガス欠乏飛行連隊

  7. >単回転プロペラの影響による機首の偏向癖は、車輪による陸上滑走よりグリップの効かない水上滑走で、より強烈に現れるそうですから。

    ああなるほど、わかります。水上では、フロートのV字断面からヨコ滑りは十分抑えられ、むしろ重心前部分の横向き成分のため、方向安定性が負なのではと勝手にかんがえてました。しかし離水時はむしろフロートが浮いてくる分だけ、反対の考え方が当てはまるということかと想像しています。その辺りの変化を思うと、水上機(飛行艇も)は奥が深そうです。

    おくればせながら、飛行中に関しても、尻尾部分を動翼に置き換えたところで方向安定性に変わりないはずでありました。
    Prolog

  8. 飛行特性については理解できないのですが、零戦タイプは単発の艦上戦闘機として設計されたものがほとんどで、単発の陸上戦闘機としては雷電、マッキ戦闘機、Iー16(方向蛇が下までないという意味で)ぐらいしか思い浮かびません。これは単なる偶然でしょうか。それとも設計者の好みの問題でしょうか。
    ビギナー

  9. ラダーの延長は、単純にフロートによる側面積の増加に対するヨーモーメントの確保とも受取れますね。
    APOC

  10.  三菱が十試水観で初めて水上機に挑戦した時、方向安定の不足に苦しみぬき、結局垂直尾翼を当初設計の2倍に増積しています。

     逆に、強風を陸に上げて紫電や紫電改にした時、垂直尾翼を減積しています。晴嵐もフロートを外して飛ぶ時は、垂直尾翼の一部を取り外すことになっていました。

     それらを考えると、ゼロ戦にゲタを履かせて水に浮かせる=二式水戦にする過程では、垂直尾翼の増積は不可欠の改造だったと考えます。

     素人考えですが、この問題をごく単純化すると、基本的には飛行機の舵面は機軸に対して_|_の配置にするよりは、魚雷のように十字の形に近づけた方が都合がいいということなのでしょうか?
    NG151/20

  11. 実用機であれば一般に十分なロール安定を持っているため、地上での不便や水上機化に際してアレンジの手間を掛けてまで十字配置に拘る意義は無いのでしょうね。飛行機に限らず、類型的に性状を捉えるのは危険な面があります。夫々をよく見ないと何も分からないと思ったほうが良いと思います。
    APOC

  12. >9.10.
    陸上機にフロートを追加した時の垂直尾翼の増積は常識ですね
    レス4.ではレス3.を否定したつもりはないんです。
     >二式水戦が方向舵を下端まで伸ばしたのは、水上滑走中の操向性を上げるため『でも』あると推測されます。

    >11
    回転しているプロペラ後流が、上方にオフセットされた垂直尾翼に当たった時、機体の挙動はロールではなくヨーです。
    ガス欠飛行連隊

  13.  みなさま、ありがとうございます。よく分かりました。 特別大きなメリットがあったわけではなく、ゼロ戦の形状からもっとも無難な方式を採用したということですね。
    ガス欠様のご回答を読むまで、子供の頃からプラモなどで立体的な形にも馴染んでいたつもりのゼロ戦の胴体が円錐に近いことに気づきませんでした。
     
     

    トロッター


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