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人力機の飛行距離の記録は日本で50km、アメリカで118kmだそうですが、最近海外では鳥人間コンテストのようなイベントとか記録へのチャレンジなどは行われていないのでしょうか。アメリカなどは日本に較べて飛行場の使用など自由な環境にあると思うのですが、ニュースとしてあまり聞こえてきませんが。 Mizo |
- イギリスのボグナー(Bognor)で International Bognor Birdman Rally という例年イベントが 1971 年から開催されています。琵琶湖鳥人間コンテストの基本ルールもボグナーの伝統に倣ったものだそうです。
http://www.birdman.org.uk/
滑空部門の最長記録は 2004 年の 82.5m で、日本のレベルとはだいぶ違います。TV番組やWEBで紹介される内容から察すると、シリアスなコンテストというよりお祭り的なもののようです。
>アメリカなどは日本に較べて飛行場の使用など自由な環境にある
おそらくそれが理由で、あえて日本のようにシリアスな「競技」にしていないのではないかと思います。本気で飛ぼうと思えば比較的気軽に免許が取れ、本格的なグライダー競技への参加もできますし、アメリカでは自作動力機さえ珍しくないのですから。ボグナーはあえて素人くさいお遊びレベルにとどめ、見るも珍妙な自作グライダーがボチャボチャ水に飛び込むのを皆で見て・参加して楽しむ、というお祭りとして存在しているのではないかと思います。
ささき
- すみません、質問は「人力機の記録飛行」でしたね。「鳥人間コンテストのようなイベント」についての質問だと思ってしまいました。
ささき
- はじめまして。
いつもこの掲示板を興味深くROMさせて頂いている鳥人間関係者です。
初めて得意分野(?)の話題が出ましたので、僭越ながら回答させて頂きます。
>最近海外では鳥人間コンテストのようなイベントとか記録へのチャレンジなどは行われていないのでしょうか
ここ数年、アメリカで「フルークターク」という鳥人間コンテスト同様の自作のグライダー(?)で飛行距離を競う大会が開催されているようです。
http://www.redbullflugtagusa.com/
ただ、このイベントもささきさんが書かれているボグナーの大会同様、おもしろおかしい飛行物体で川や湖に飛び込むさまを楽しむお祭り的なもので、鳥人間コンテストのようなシリアスな大会とは趣が異なるようです。
このようになる背景は、ささきさんも書かれている通り、アメリカではその気さえあれば自作動力機を設計・製作、飛行させられる環境があるので、アマチュアの飛行機好きがわざわざ人力飛行機に執念を燃やす必然性があまり無いことがあると思います。
一方、記録へのチャレンジという点では、数年前、シアトルの航空産業関係者を中心に人力飛行機の世界記録更新を狙った"Raven Project"というものがありました。
http://ravenproject.org/
応力外皮構造の主翼等(人力飛行機では珍しい)、技術面でも意欲的な機体を計画して、実際に完成まで漕ぎ着けましたが、想定の性能(強度)が確保できずに試験で様々なトラブルが発生した後、資金難からプロジェクトは解散してしまいました。
>アメリカなどは日本に較べて飛行場の使用など自由な環境にあると思うのですが、ニュースとしてあまり聞こえてきませんが。
人力飛行機は飛行速度が遅く(7〜8m/sec)構造的にも余裕が無いため、10m/sec以下の比較的安定した風の中でしか安全に飛行できません。
そのため長距離を飛ぶには気象条件が安定していて、墜落しても安全な洋上を飛行する必要がありますが、100km以上も洋上を飛ぶためには随伴する船などのサポート体制や付近を航行する船舶の監視、飛行経路上の利権団体(自治体・漁協等)との調整等、非常に大掛かりな準備が必要になってしまい、アマチュアレベルでそのような記録飛行を実施するのは非常に困難です。
※アメリカの118kmという記録は、1988年にNASA/MITによって製作されたDaedalusという機体が地中海(クレタ島-サントリニ島)を飛行して達成したものですが、この時はアメリカ・ギリシャ政府のバックアップのもと、ギリシャ海軍による経路確保、および飛行中の随伴が行われています。
1970〜80年代はカーボンファイバーなどの新素材や、自国の科学技術の高さをアピールする絶好のイベントとして、企業や国家レベルの協力のもと、大規模な記録飛行を実施することが可能でしたが、現在ではそこまで労力を費やして人力飛行機の長距離飛行を行う意義が薄れてしまっているので、技術的には可能でも、Daedalusの記録を破るような飛行を実現するのは、たとえアメリカであっても難しいと思います。
社会人鳥人間
- わたしも学生時代は鳥やってましたけど、「鳥人間コンテスト」を「シリアスな競技」と言い切ってしまうのには抵抗があります。もちろん各参加チームは身を削って真剣にやっているんで、その意味ではシリアスではありますけど、競技とは言えないと思っています。
なぜなら、「鳥人間コンテストの記録」は「人力飛行機の世界記録」には絶対にならないわけだし、あの大会がテレビ局にとって、「視聴率の取れる」コンテンツであるからこそ運営され、存続しているからです。
いろいろ議論はあるでしょうが、わたし自身は、琵琶湖対岸まで飛ぶようになった時点であのイベントは意義を終えたのであり、別のコンセプトを持つ大会に衣替えすべきだったと思っています。
もとまっく
- 皆様、ご回答ありがとうございます。いろいろ意見もございましょうが、夏のイベントとして存続してほしいと思っています。最近は割りに安定的に飛ぶようになってきているので、一定距離のタイムトライアルレース部門を設けるとかすれば機体の形状も少し変わってくるのではないでしょうか。
Mizo
- 4さんが仰っているように、あの番組での規定はあくまでも番組内の規定であり、いくら頑張っても世界記録として公式には認められない物だそうですね。
折角あそこまで飛距離の出せる機体があるのですから、開催場所や規定を改めて公式記録に残せる様にして欲しいと思います。
ゆき