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ドイツの航空機エンジンについて質問です。 DB603やDB605では左右のバンクで圧縮比が違うのですが、コレは一体なぜなのでしょうか? DB601の後期型からも採用されているみたいですし、こうしたほうが性能が向上するorなんらかの不具合に対応できるのでしょうか? また、日本で作られたDB601の出力向上型には見られない特長ですが、日本にはこうしたDB605などの情報は入って来なかったのでしょうか? 諏拿糊麩津 |
- DB600系の場合、副コンロッドにつながるピストンが受け止めた圧は続けて正コンロッドが受け止めないといけません。正コンロッド側は別に副側には影響しません。
大出力化の流れの中で、正副双方のコンロッドでクランクピン側への圧力が変わってくるわけです。おそらくコレを是正するために、片側の圧縮を若干下げることで、クランクピンと正コンロッドの接触面にかかる負担を緩和しようとしたのであろうと想像します。
SUDO
- 過給機が左にあるので、右バンクへのダクト損失を補正?する為(雑誌名は忘れました)と読んだ記憶があります。
右バンク側のビッグエンドは、二またになり、左バンク側のビッグエンドをはさむ形になりますから、主副の影響はあまり無いかと。
<冷や汗を流しながら書き込んでいます、お察し下さい。>
109 の? 拝
109 の?
- >2.回答ではなく、参考程度の補足レス
右バンク側のコンロッド(主コンロッド)は確かに二股に別れ、その間に左バンクのコンロッドが差し込まれ、両者のクランク軸受けの中心が同心になるようになっています。
しかし、主コンロッドのクランク軸受けはコンロッドが二股に分かれているのにもかかわらず、二組にわけずに一組構成となっています。二股に分かれた主コンロッドの間に挿し込まれた副コンロッドを取り外したとしても、そこから顔を出すのは主コンロッドのクランク軸受けでありクランクピンを目にすることはできません。
副コンロッドのクランク軸受けはクランクピンには直接あたらず、主コンロッドのクランク軸受けの上から取り付けられるようになってます。
つまり右バンクの場合の出力はピストン→主コンロッド→主コンロッドのクランク軸受け→クランクシャフトという手順で伝達されますが、左バンクの場合はピストン→副コンロッド→副コンロッドのクランク軸受け→主コンロッドのクランク軸受け→クランクシャフトという手順で伝達されます。
主コンロッドのクランク軸受けは主コンロッドと副コンロッドの両方の力を受けねばなりません。また、構造上、副コンロッド側のクランク軸受けは潤滑不良になりやすいという問題を抱えており、主コンロッド側がニードルベアリングを使ったのに副コンロッド側はプレーンブッシュのままだったのはこのためだという話もあるようです(たしかDB601の話)。
当時のドイツはアメリカが実用化していたような高負荷対応の薄メタルブッシュは作られておらず、ニードルベアリングがもっとも高い負荷に耐える軸受けでした。副コンロッド側に使われるプレーンブッシュとニードルベアリングでは負荷の許容量が違いますし、主副で影響があった可能性はあると思います。
おうる
- おうる様へ
現在、丸メカの図面を見ているのですが、図では、小さなローラーを、3列一組にしたローラー(ニードル)ベアリングとプレーンブッシュが使われています。
主副どちらも、
クランクシャフト→ローラー(ニードル)ベアリング→プレーンブッシュ→ビッグエンドの形になります。
雑誌名を忘れましたが、ダクトロスの事とDB601だけが、ローラーベアリングを使われたとの記憶はあります。
109 の? 拝
109 の?
- >3
プレーンブッシュとはアウターリングのことと察しますが、私にもこのベアリング構造はリテーナー、アウターリング双方、主副コンロッドに共用に見えます。
また副コンロッドのプレーンブッシュとはメタルベアリングのことでしょうか?
DDかず
- プレーンブッシュではなくメタルと、書かなければいけませんでした。ゴメンナサイ。
ところで図を見ていて、この構造はクランクシャフトへの力を均等にする為かと考えたのですが、まずいでしょうか。
109 の? 拝
109 の?
- えーっと・・・プレーンブッシュとはプレーンベアリングとかメタルベアリングとかとも言いますね。私の会社ではプレーンブッシュかメタルブッシュと呼ぶことが多いんですが、メタルベアリングのほうが世間ではとおりがいいんでしょうか?・・・まぁ、それはさておき
主コンロッドのニードルベアリングは三列一組ですが>3でも述べてるように二股に分かれた主コンロッドを跨ぐような幅の広いものです。
このニードルベアリングの上には当然ながらアウターレース(ケージと呼んだほうがいいですか?多分、>4で言ってる主副両方に使われてるプレーンブッシュというのはアウターレースのことじゃないかと思ってるんですが・・・
)が被りますが、これも同じようにニードル三列分をカバーする幅広のものです。
アウターレースの外側は二股に分かれた主コンロッドと副コンロッドが嵌るよう、円周方向の三列の溝状が刻まれています。3列の溝のうち外側の2列には主コンロッドが直接はまり込みますが、中央の溝には副コンロッド用プレーンベアリングが嵌り、その上から副コンロッドが組みつけられるようになっています。そうでないと、主副両コンロッドが交差する角度が固定されてしまうことになります。主副両コンロッドの交差角はクランクシャフトの位相によって変化するものですから、それぞれ独立した軸受けを設けて潤滑する必要があるのです。
もし、写真なりイラストなりあるのでしたら、主コンロッドと副コンロッドではクランクシャフト側の径が少し違うので注意して見てみてください。(できれば転載なりリンクを貼るなりできればいいんですが、ネット上で利用可能な図面等を見つけることができませんでした。)
ただ、不鮮明な解説図しかなくっていまいち確認できないのですが、主コンロッド・副コンロッドとも軸受けがプレーンベアリングになったDB605については主副コンロッド共用の一体型のプレーンベアリングかもしれません。
ちなみにDB605ではベアリングケージの生産能力不足のため、コンロッドベアリングはニードルベアリングからプレーンベアリングに変更になってますが、DB603では再びニードルベアリングが復活してます。
おうる
- 蛇足レス
DB6系でクランクシャフトおよびコンロッドにニードルローラーベアリングが採用された理由では以下の3つが挙げられるそうです。
1.潤滑性
もともとコンロッドベアリングの潤滑はクランクシャフトの油穴を通して行われるため、遠心力などの影響を受けやすく設計が難しい(今でも設計時の重要な検討課題)
さらに高空では潤滑油が発泡しやすく、プレーンベアリングだと泡立った潤滑油では潤滑不良を起こしやすいが、転がり軸受けならば発泡した潤滑油であっても性能を維持できる。
2.プレーンベアリングより高負荷に対応できる
当時のドイツではアメリカで実用化されていたような厚さ2mmをきるような薄メタルを開発できておらず、もっとも高負荷に対応できる軸受けが転がり軸受けだった。
3.エンジン起動トルクの減少
一般に転がり軸受けはプレーンベアリングに比べ起動トルクが小さい。このため、ニードルローラーベアリングの採用によってエンジン始動に必要な起動力を減少させることができた。
>3.と>7.のレスはあくまでも軸受けについての参考程度のゴミレスであって、左右のバンクで圧縮比が違う理由と直結するかどうかは私には確信がもてません。
おうる
- おうる様が、アウターレースと呼ぶ物を私はアウターケースと憶えていました。
コンロッドに付くプレーンベアリングは、俗にメタルと言われます。
丸メカの図面で判断しているだけなのですが、アウターレースがメタルと兼用の形に成っています。そして直径の変化は無く、その上に追加される物は見当たりません。
もっとも、この図では何か書き忘れられていたとしたら、お手上げという事でしょうが。
109 の?
- >7、8
ああ、意味がわかりました。
つまり主コンロッドはアウターリングと嵌合していて、副コンロッドはアウターリングの外側とビッグエンド内側に設けられたベアリングで滑っているということですね。
ありがとうございます。
DDかず
- あ、ちょっと違うな。
アウターリング外側は平滑に加工されているだけで、メタルベアリングが入っているのは副コンロッドのエンドだけですね。
DDかず
- みなさま、回答ありがとうございました。
ダクトロス対策か、コンロッドの負荷軽減か、といったところのようですね。
しかしダクトロス対策なら同じように横置きしたDB601の頃から問題になったりしなかったのか、
負荷軽減ならほぼおなじ圧縮比ながら、左右バンクの圧縮比変更をしてない601後期型などはどうなるんだろう? と興味が尽きません。
回答を頂いてますます気になってきました。これからも何か情報があれば、よろしくお願いします。
諏拿糊麩津
- 手持ちの数字ですが、圧縮比だけ。(ミリエアから)
<600A,601A--6.5:1><601N--8.2:1>
<601E--7.0/7.2:1><605A--7.3/7.5:1><605DCM--8.3/8.5:1>
出力の向上で必要になってきたと言えると思います。
私も知りたいのですが、ダクトロスが無いとした時でも、左右の圧縮比を変えたほうが良いのか、どなたかご教示戴ければ幸いですが。
109 の?
- >13
実際にDBの過給器と吸気管配置を見れば、左右バンクのダクトロス差は事実上存在しないというが判るかと思います。どちらかというと、発動機前後気筒間でのダクト屈曲度合いのほうがより大きな違いになるかと思われます。
またコンロッドとクランクの繋げ方が異なれば(もしくは#3でおうるさんが述べられたように、燃焼圧に比して軸受側耐力の余裕があるならば)左右で圧縮比を変えなくても問題は無いでしょう。
SUDO
- SUDO様 ご教示有難う御座います。
ベアリングが一番大きな原因で、圧縮比を変える事になったと考えればよろしいですね。
109 の? 拝
109 の?
- >15
それは、間違ってるとはいいませんが、正確でもないんじゃないかと。
つまり、左右で圧縮比が違うのは、叉状式の持つ本質的な弱点が大出力化の中で顕在化してしまい、真っ先に問題が出そうなのはベアリングではないかということで、コンロッドが折れるとかも可能性としては捨てがたいものがあるような気がします。
SUDO
- SUDO様 いろいろ有難う御座います。
考えが単純すぎました。いくつかの要素に気をつけなければいけないのですね。
109 の? 拝
109 の?