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イタリアの高速軽戦闘機アンブロジーニSAI403。 これを当時の日本(1943年頃)が量産するとして、技術的に大きな問題になることはあったでしょうか? 一見するとエンジンはさほど高性能ではありませんし、機体も低コストで量産できるように思えるのですが。 カーフ |
- 全木製セミモノコックは他の機種でかなり苦労しているところを見ると、日本で作るのに「低コスト」「量産」は無理かと思います。
また、もともと木製機というのは割高になるものです。
イタリアの場合、陸攻クラスの中大型機さえも全木製構造で作れるだけの技術的蓄積を有するメーカが複数あり、この分野においてはある意味世界でトップクラスの技術力を持っています。
更に、イタリアの全金属製機は全体に過剰に頑丈で構造複雑なきらいがありました。
この2つの条件が合わさって、イタリアにおいては金属製機と木製機の価格差が詰まっており、SAI.207/403にあってはエンジンが軽量のため「セリエ・チンクェ」の各戦闘機よりも相対的に安価になっているわけです。
つまり、SAI.207/403は決して安物の戦闘機というわけではないのです。
日本の場合、木製構造は機体も割高、維持コストも割高ということで早々に見切りをつけられ、蓄積が途切れてしまっています。
よって、木材の工作技術と加工ノウハウ、接着剤などの材料技術の面でイタリアよりぐっと劣っており、イタリア並みの工作を実現するには木の選び方や使い方の学習から始まるような抜本的大規模な技術導入を要するものと思われます。
また、イソッタ=フラスキーニ・デルタは元来ワルター・サジッタのコピーから発展したエンジンですが、日本には同級のエンジンがありません。
よって、デルタもライセンス導入の必要がありますが、倒立V型12気筒のクランク軸が無事に済むものなのかどうか?
まなかじ
- 日本では立川、富士、日国のように全木製機のノウハウを持ったメーカーはありました。
立川は、むしろ陸軍の要請によって全金属機生産に切り替えられてしまったようなところがあり、社内ではせっかくここまで蓄積していた木製機技術を惜しむ声もありました。大戦末期、キ106や、キ43、キ84の胴体後半木製化でこの技術が復活、生かされています。
富士、日国の技術は、実は東航キ107を生んだそれと一体のものです。木製機技術のエキスパートが当時の日本の一部には存在しており、各社を回っては、ときに桜花を作り、ときにキ107を作り、終戦間際にはシンガポールで自活的木製機を生み出すなどしています。
片
- やっべえ・・・最近ボケが進行中なような気がする。
なんで立川忘れちゃったんだろう・・・。
機体ドンガラの製作は>1 で考えているほど難しくはなさそうですね。
まなかじ
- 戦時中の『航空朝日』とかを見ていると、立川の中川守之さんがモスキートの機体解説をしたりしてるんですよね。木製機なら立川。
片
- 倒立空冷V型航空エンジンということなら、デルタの 1/3 程度の規模ですが、神戸製作所がアルグス As.10 V8 250hp を製造しています。
ささき