5031 |
思いっきり「火葬」な質問なので、お叱りを受けそうですが・・・。 日本がDBー601では無く、RRマーリンをライセンス生産した場合、やはり 「ハー40」等と同じ轍を踏む羽目になったでしょうか? それとも、案外「なんとかなった」でしょうか? 当時の国際情勢なんかは一切無視で、単に技術的・工業的な部分でご教示 願います。 Takeahero |
- 当時マーリンエンジンを調査された技術者の感想文を読んでみると、27Lで1,145馬力も出せる条件として、高回転数及び高ブーストの実現にある、としています。特にこのエンジンの過給器の高圧力比は他に例をみないと驚いています(後にこの高圧力比を利用して2段の過給器を重ねて、ダート系ターボプロップエンジンを作ったほどです)
DB601と比べた場合、マーリンはシリンダー容積を少なくし、回転数と過給圧力を上げて性能を上げているのに対し、DB601はシリンダー容積を大きくし、回転数を落としてることが判ります。つまりマーリンは小型で高性能であるがこれ以上の性能向上は限界であり、その時代の極限のエンジンだったと書いておられます。これに対しDB601はまだ多少の余裕がありDB603~605と発展性があったと若干の扱い易さを匂わせておられます。
これらの違いからどちらが当時の日本の技術力として対応が可能か窺い知れるかもしれません。(筆者の文中にはいたるところで「見事だ」と感嘆されています)
点火栓
- 1. と重なりますが、マーリン・エンジンは常識外れの高ブースト高回転に耐えるため、シリンダライナーやバルブスプリングに超強靭窒化鋼やボールショット表面鍛造など高度な冶金・加工技術がふんだんに取り入れられています。DB601 のクランクシャフト表面焼入れやローラーベアリング加工精度で悲鳴を上げるような工業力では、とてもモノにできなかったと思います。
ささき
- >2
いや、その・・・別に、それって同時代の一線級エンジンならみんなやってることでして、殊更マーリンが物凄いわけではないです。
#1で触れられてるように、マーリンの肝は空恐ろしいほどの高ブーストを可能とする燃料と過給機にあるんです。エンジン本体は別に駄作ではないけど超絶別世界の代物でもありません。
また高回転っていっても別に当時の水準から外れた回転数でもないし、ピストン速度も普通です(ドイツの大戦末期のユニットのほうが基地外レベルです)
まあこれも#1で触れられてるようにDB600/601が、当時の水準からみても低回転低ピストン速度だったというだけです。
マーリンは基本設計としては1920年代のカーチスD12に源流を辿る事の出来る、当時としては凄く常識的な平凡な設計のユニットです。加工精度や素材の良さでいうならアリソンのほうがずっと上ですし、努力の度合いでいうならイスパノのほうが上でしょう。何と言うか当時無理をせずにマトモにV12高出力エンジンを作るとどうなるかというお手本みたいなユニットで、その凄さは数字に出ないところ、つまり細かい部品の来合わせ方やレイアウトや形状といった、いわゆるノウハウになります。
ですから「見事」なんです。同じ文献、同じような素材や部品があっても、マーリンを設計することは日本には無理なんです。
日本でも「マーリンみたいなもの」は比較的容易に作れますが(作れない要素は作れるレベルに落としてごまかすことが可能)マーリンそのものになると、かなりの困難が予想されます。
これはDB生産の困難さとは、違う難しさなのではないかと。
SUDO
- 皆様、ご教示有難うございます。
やっぱり、当時の日本のレベルでは、一流のエンジン作るのは無理だったん
ですね・・・。
国産エンジンでも、一流のは無いですし。
Takeahero