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我々がよく目にする第二次世界大戦当時の日本軍の航空機のカタログスペックは、 どのような装備で調査し、出されたものなのでしょうか。 よく米軍機のカタログスペックは燃料等は最小限にして出していたが、 日本軍の場合は違ったようなことをよく聞きます。 WEPは使用していたのか、爆弾や増槽は搭載していたか等、詳細はどのようなもの だったのでしょうか。 また、陸軍と海軍とでテストの方法に違いはあったのでしょうか? 山猫 |
- 少なくとも海軍機は基本的に正規全備状態で計測しているはずです。
堀越・奥宮著の「零戦」には零戦や烈風は正規全備状態(軽荷状態のときもある)で最大速度を計測したとありますし、雷電の米軍調査を見ると正規全備に近い状態の最大速度が日本海軍の公式スペックに近い数値になっていますし、紫電改の操縦参考書には正規全備状態の重量で推算した最大速度が載っています。
型式によって異なりますが、一式陸攻は偵察過荷または爆撃過荷で最大速度を計測しているようです。
因みに日本軍と米軍では使うエンジン運転の条件も異なります。
T216
- 正規、過荷重など各状態で計測し、その状態を記してあるのが本来の姿です。
各状態とは、例えば増槽装備の場合、高度ごとに最大水平速度何km/hといった形で計測されています。性能要目の一覧表などで一般に使われる計測値は正規全備状態、公称馬力で計測されたもので、陸海軍で統一されています。
ただ、その計測は主に試作機で行われ、量産機では割り引いて考えるようにとの注意書きのある例もありますが、試作機よりも量産機が改良されている場合もあり、実力より低く計測されている場合が多数あります。また各機が戦争後期に公認された戦闘馬力でどれだけの性能を発揮したかについては計測値が残されていません。
BUN
- > 2.
フォローありがとうございます。
「一般に知られている最大速度」と言うべきでした。
T216
- >1
>>雷電の米軍調査を見ると正規全備に近い状態の最大速度が日本海軍の公式スペックに近い数値
学研「雷電」に記載されているものを見ると、重量は7080lb(3211kg)と8045lb(3649kg)で、
Military出力での最高速度は、7080lbで400Mph+α、8045lbで365Mph+αと読めます。
雷電11型の全装重量は3210kgと認識していたのですが、違っていたのでしょうか?
mikey
- > 4.
申し訳ありません、色々勘違いしていたようです。
雷電一一型の公式スペックが596q/h/5,450mで、米軍計測が約645q/h/6,000m+αですから、米軍計測の方がかなり速いことになりますね。
ただ雷電一一型は最高速度を計測したと思われる試作時代から量産初期に振動やエンジンの不調に悩まされていますし、火力と防御力を強化した二一型のスペックに611q/h/6,000mというのがありますから、正規全備で二一型より200s前後軽い一一型なら米軍計測に近い速度が出る可能性も否定できないのではないかと思います(エンジンが好調なら、ですが)。
T216
- 322kt/5450mはJ2M2量産標準型を使った空技廠での実測値としての最高値です。
ただし、もう一代古い形式のJ2M2ならばもうちょっとだけ速い速度も出してます。
かくの如く、雷電はなかなか形状が定まらず、色々内容の違う機体がありますからもう何がなんだか。
J2M3の19年中期における「最近生産機」の値としては二速全開310.5kt/5350m。これも米軍が比島で鹵獲して性能計測に使った機体とは若干内容が異なります。
米軍の識別帳に記載されたデータは必ずしも「米軍計測値」とは限らず、日本側の文書資料からの推定が含まれています。J2M2は実機が鹵獲されていないのですから、その点は明らかでしょう。
片
- それでもって、実際に「349節/5700米」は「十四試局戦改一」のものとして日本海軍の文書に記載がありました。やっぱり「米軍計測値」じゃないですね。こうしたものを米軍が鹵獲して、とりあえずデータブックに載せていたのです。
しかも「349節/5700米」は「5700米で1510馬力出ると仮定して」の「性能推算値」です。しかし、このベースとなった高空馬力算定法は正しくなかったとして、のちには「二速全開4800米1410馬力」に修正されています。雷電は発動機の高度馬力の計算が実態と合わず、そのために機体設計上期待されていた性能がでなかった、という機体なのであります。
片
- T216さん、片さん、ありがとうございます。
> 5
私も8045lbの時の値を見て、日本側のデータと同じ位と言っていた口なのですが、
今回偶々、電卓をたたいてみたら重量が違っていたので、アレっ?と思ってお尋ねした次第です。
> 6-7
そう言えば、テストされたのは21型で、「雷電」にグラフが載っていたのは11型ですね。
見落としていました。
ちなみに、掲載されているデータブックは、DATE:December 1944 となっています。
どのような経緯で「十四試局戦改一」の修正前の日本海軍文書を入手したのでしょう?
もし御存知でしたら、教えて頂けないでしょうか。
mikey
- あと、雷電は発動機の高度馬力の計算が実態と合わなかったと言うことですが、
これは雷電、或いは、火星固有の問題だったのでしょうか?
二速過給器を装備した発動機に関して、馬力が出ていないといった旨のコメントを堀越氏が残していたと思うので、火星以外にも言えるのかな?と思った次第です。
mikey
- >8 米軍は、マーシャルやマリアナなどの要地を占領した際に、航空廠などの施設に残置されていた文書・写真類を相当数入手しています。雷電一一型の場合はマリアナなのかもしれませんが、あくまでそれも推測です。
片
- >10
「十四試局戦改一」の情報に接する機会は十分あった訳ですね。
了解しました。
ありがとうございます。
mikey