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Mig-31についてなんですが、Mig-31は、西側の巡航ミサイルや爆撃機や攻撃の迎撃を主任務にしてるそうですが、何故このような専用の機体ができたのでしょうか?私的には、他の戦闘機でもできるのではないかと思うのですが。 夜行性 |
- この様な防空を主任務する機体を迎撃機と呼びますが、(旧)ソ連はその性格上この任務を重視しており、防空軍(PVO)という軍種を持っていました。
当時は戦略爆撃機による攻撃が大きな脅威とされ、それに対処する為 運動性よりも強力な全天候FCSと武装(出来るだけ多数の長距離AAM)大きな行動半径(ソビエトの防空正面は広いのです)敵機を凌駕する速度と上昇限度といった点を重視するYak-28P・MiG-25Pといった迎撃機が作られたのです。
適当なプラットフォームが無い為 爆撃機をベースとした機体が作られた事も有りました(Tu-28P)。
アメリカにおいても80年代まで防空コマンド(ADC)が存在し、F-89・F-102・F-106といった迎撃機が使われてました。(それの末裔がF-16ADF)
脅威対象の性格が高空・高速、低空侵攻、巡航ミサイル、ステルスと移り変わるに従い、迎撃機側もそれに合わせて変化してきたのです。
しかし戦略爆撃機の脅威の相対的低下と強力なFCSの普及などから「迎撃」専用機は今では珍しい存在になりつつあります。
(組織としても、ロシアは防空軍を前線航空軍(FA)と統合、アメリカのADCは発展的解消しF-16ADFはANGへ)
グリーネマイヤ智久
- >私的には、他の戦闘機でもできるのではないかと思うのですが
できる、できないで言えば「できる」でしょう。しかし、任務に失敗した場合のコストは非常に高くつきます。それは前回の湾岸戦争を見ればお判りになるのではないでしょうか。緒戦でステルス機と巡航ミサイルによってレーダーと式・通信系統をズタズタにされたイラク空軍は、大きな戦力を残していながらもそれを活用することができず嬲り殺しにされました。
MiG-31 はこのような先制攻撃の可能性に対抗するため用意された機体です。そのために強力なレーダー、僚機や地上局とのデータリンク機能、長射程のミサイル多数、長い滞空時間を実現するため大量の燃料を積む必要があり、その代償として高速性能や運動性を諦めた結果「専用機」となったものだと思います。
ささき
- 米海軍空母艦載機として何故F-14が配備されてきたのか?艦隊防空任務についてF-14導入せずに他の機体で間に合わせる(F4そしてF-18)ことを何故やらなかったのか、この問題と対比して調べて考えてみると面白いと思います。
アリエフ
- 1,2で記されてますが「迎撃」とは、敵機(爆撃機等)の進入察知から戦闘機急行、搭載ミサイル等の発射という流れで進みます。
これに対処するには、広い国境線(警戒すべき線)をくまなくカバーする電探網の構築と、発見から戦闘機を急行させるための連絡網、そして高速な戦闘機というのが、一番簡単なものです。
ですが、超低空進入では発見距離が小さく、超高速進入では相手が速い事から、対処時間が制限され、戦闘機の急行が間に合わなくなります。
こうなると発見から直ぐに戦闘機が突っ込める事、つまり予め国境線附近に戦闘機を飛ばしておくのが対処手段の一つになります。で、こうなると燃料が切れたら戦闘機は交代しないといけないので、一機あたりの航続力(航続時間)が欲しくなります。
また発見から時間の余裕が無いので、出来れば高速であって欲しい訳です(但しこの場合の速度は戦闘機数を増して、一機あたりの担当防衛線広さを小さくすることでもある程度補えます)
次に、電探等で早期に発見できても、戦闘機をその見つけた目標に誘導するのが難しいという問題があります(普通の電探は敵機の高度が判らないし)
電探も戦闘機の航法装置も誤差が多少あるし、天候や時間等の関係もあって、戦闘機が警戒電探が見つけて通報してきた目標を確実に見つける保証は無く、戦闘機にも強力なレーダーを積むとか、警戒電探と密接なデータリンクが出来ないと、言われた場所近くまで行っても獲物を見つけられないという問題を生じます。つまり迎撃機には高性能なレーダーを搭載していて欲しいのです。
更に、迎撃機は上述したような特性上、多数侵入するかもしれない敵機に対して十分な数を差し向けられる保証がありません。よって一撃必殺の強力な火力を、出来れば同時多数の敵機に差し向けられる事も望まれます。
更に進入に対処すべき広い防御範囲を考えると、その火力の射程は長ければ長いほど良い。そうすれば追いつけないような位置からでも敵機にも射撃できるかもしれないからです。
よって、最終的にはF-14みたいな、長時間飛べて、強力な電探と、調射程ミサイルを多数搭載した戦闘機が迎撃機に望まれる訳です。
これに足りない分を数等で補えるならば、普通の(といっても、戦闘機の殆どは色んな意味で迎撃機でもあるんですが)戦闘機でも許されますが、それには#1で記されたように強力なFCS(及レーダーやデータリンク等)の進歩と、それなりに射程の長いミサイル等の普及、さらには戦闘機の捜索能力のかなりを肩代わりして密接な誘導を行えるAWACS等の補助が必要になる訳です。
また#2で記されたように、大概の戦闘機では、根幹たる迎撃管制システムを失うと烏合の衆になりますが、F-14やMIG-31級になると、ある程度は独立して、まだ抗戦することすら可能になります。
艦隊やソ連の辺境等にまで、縦深と数量のある整った迎撃システム網を構築するのは非常に難しく、そういった場合は、こうした豪華極まりない何でも一人で殆どやっちゃえるバケモノを開発配備するほうが効果的なこともあった訳です。
SUDO
- まず、MIG-31は基本的にはSu-27系が実戦配備になるまでのつなぎになる予定の戦闘機だったのです。
こうした任務に必要とされるのは陸上においてルックダウン・シュートダウンを確実にこなし、かつ多目標同時追尾・同時攻撃が可能なレーダーシステムです。
ロシアの迎撃戦は大部分が陸上で行なわれるのですから、地面からの電波反射ノイズの中から目標を確実に拾い出せる必要があります。目標は超低空を飛んでいるのですから。
しかし、ソ連はMIG-31が搭載したザスロン(フラッシュ・ダンス)以前にそれが可能な機載電探を持っていなかったことに注意せねばなりますまい。
つまり、それ以前のソ連製戦闘機でこの種の任務を果たすには、レーダーに頼らず自らも低空を飛んで目視で目標を見つけなければならないことになりますから恐ろしく効率が悪く、従って非常に確率の良くないものになります。
もし、侵入機や巡航ミサイルが核弾頭を持ち込んでいたら、その多数を取り逃すことは許されません。できれば完封したい。
だというのに、ソ連にはそれができる見込みがなかったのです。
ザスロンに「これで完全である」という承認が出たのは1999年のことですが、MIG-31の実戦配備はそれより10年近くも早いものでした。未完成でもそれを使う以外になかったソ連の焦りの深さが窺えます。
また、多目標同時追尾・同時攻撃という機能を生かすには、多数のミサイルを搭載できなければ意味がありません。これは考えるまでもないことですね。
更に、やはりその機能を生かすために、長大な航続距離、またそれは同時に長大な航続時間に置き換えることもできますが、それを達成するために大量の燃料を搭載しなければなりません。これも考えるまでもないことです。
そして、当時ソ連には大出力で同時に燃費の良いターボファンには小型のものが存在しませんでした。
つまり、大型のエンジンを積んで、なお多量の燃料と多数のミサイル、そして当時のかさばる電子装置と、それを扱うRIOを含む乗員2名をひとつの機体パッケージとしてまとめきり、しかもそれを一刻も早く完成して実用化せねばならないのです。
これらの条件に適するだけのエアフレームとしてMIG設計局は手持ちにMIG-25を持っており、その改造によって対巡航ミサイル&対低空侵攻機用迎撃機を可能な限り迅速に完成させるべし、と。
つまり、これまで陸上低空を飛ぶ目標が狙えなかったのが、それが可能なザスロンというレーダーFCSがとりあえずは使えるまでになったから、とにかくそれを積んだ戦闘機を突貫工事で作った、それがMIG-31という戦闘機です。
まなかじ
- おまけ。MiG-31を設計した当時、ソ連は殆ど早期警戒機を持っていなかったので、MiG-31は自機のレーダーで秀でた探知能力を能力を持つとともに、僚機とのデータリンクを介して情報を統合して活用することを含めて、編隊運用で簡易なAWACSとしても機能できるように設計されています。
大塚好古
- 皆さん!!わかりやすい説明どうもありがとうございます!!
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