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誠に素人な質問で恐縮なのですが、WWIIの多発機において、欧米機には ナセルが翼後端より突出している機体が多くみられます。翻って日本機には ホンの一部しか見当たりません。 空力理論、構造、技術等、何らかの理由があったのでしょうか? それとも、ただのデザイン上の差異に過ぎなかったのでしょうか? Takeahero |
- 主脚の引き込みスペースがからむ場合が多いようですが、ナセルが主翼後方に突き出ている機体ではフラップが分断される点が損です(構造的にも、空力的にも)
かといってナセルを急激にしぼるのも空気抵抗が大きいので一長一短と言うべきでしょうか。
日本には両者をブレンドしたようなナセル案がありました。フラップ部分を避ける形で斜め下方に枝分かれさせ後方に伸ばす形状です。
また主翼エリア内でナセルをしぼる場合は左右にしぼるよりも、Ju88のように縦にしぼる方が空気抵抗が小さいようです(養賢堂 飛行機設計論 P113、291、292参照)
B29の場合は非常に大型のファウラーフラップを装備しており、これが産み出す強力な揚力を支持する部材としてナセルを活用しているようです。
ガス欠飛行連隊
- 「知られざる軍用機開発」の下巻に、銀河でフラップ面積の確保と、ナセルの抵抗との鬩ぎ合いの苦闘が紹介されていますね。
#1で述べられてるように一長一短があり、日本機は比較的厳しい離着陸性能要求があったので、速度面で有利なナセルの延長による空気抵抗削減を採り難かったようです。
SUDO
- 中島飛行機小泉製作所の性能課ではナセルストールへの改善策として、発動機ナセルの後端を翼後縁より突出させるのがよい(B-29内側ナセルのようにフラップと一体化させてもよい)、という実験結果を得ています。問題は、この研究時期が昭和18年中期だったことでしょう。時期が遅すぎました。
片
- 皆様、明快な回答ありがとうございます。
大まかに言って、速度性能と離着陸性能の優先度の違いによる結果であったと解釈すればいいのですね。
また、空力研究の遅れも一因としてあった、と。
Takeahero
- 1.
>また主翼エリア内でナセルをしぼる場合は左右にしぼるよりも、Ju88のように縦にしぼる方が空気抵抗が小さいようです
特に中翼機の場合、胴体とナセルの間隙が「末広がり」になるとベンチュリ効果で空気が加速され抵抗増加、剥離促進の傾向が助長されるようですね。
ささき
- >5 ささきさんフォローありがとうございます。上掲本では主翼とナセル間の干渉抵抗比較なのですが、すでに抗力係数に差が出ています。胴体が入るとよりいっそう差が出ますね。
>4 ナセルを主翼後方に突き出す場合でも長々と伸ばしたのでは 表面積が増加⇒摩擦抵抗も増加 してしまい一概に速度有利とも言えないようです。前面々積が小さい液冷エンジンは突き出しが短くでき、全体的に有利ですね。
ガス欠飛行連隊
- >6 >長々と伸ばしたのでは
小泉の研究でも、翼後縁に「庇」をつける、という言い方をしています。
片