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赤外線誘導ミサイルについての質問です。 一般的に赤外線誘導のミサイルは射程が短いですが(R-27のような例外もありますが)、同じ赤外線を使って索敵をするIRSTの視界はかなり広いようです。ワールドエアクラフトの解説にMig-29のIRSTは同機のレーダーよりも探知範囲が広いとありました。スロットバックの詳細データはありませんが大体F-15のと同等だといいます。だいたい戦闘機大で80nmといったところでしょうか。赤外線でそれだけの距離を探知できるのなら何故長射程ミサイルの誘導装置に使わないのでしょうか? とりあえず 1.電源 2.シーカーの空力過熱 3.小型化 4.悪天候といった仮説は立ててみたしたが他に理由があるのでしょうか。 ご指導のほどお願いします。 オルシナス |
- 同じ様に戦闘機用のFCSレーダーを搭載したミサイルを作ったら大射程のレーダー誘導ミサイルを作れますよね?
なぜそれをしないかというとコスト的に引き合わないからです。同様なことがIRSTにも言えるでしょう。ただ現在開発中のXAAM-5の画像赤外線シーカーは開発元の某3佐殿に言わせると下手なIRSTより高性能ということですから、期待してよいでしょう。事実、XAAM-5の最大ロックオンレンジ(最大射程ではない)の目標性能はAAM-3の3倍となっています。
AP1
- 見えるだけでは測距できないから。
SUDO
- IRSTの索敵距離は約50`程度で相対角度のみ情報が得られます。
測距は別にレーザーを使用し、レーザーの使用範囲は約10`程度だそうです。
SC
- >2
たいていのミサイルは比例航法で誘導してるんで距離は必要ないのでは?
長射程ミサイルでは他の航法を使ってるんでしょうか?
taka
- >>taka氏
>たいていのミサイルは比例航法で誘導してるんで距離は必要ないのでは?
「実用射程内で発射」されていたら、そうであるとも言えるでしょう。
では、射程は何をもって計測しているのか。ここに問題の本質があると私は考えます。
>長射程ミサイルでは他の航法を使ってるんでしょうか?
比例航法だけしかないなんて勿体ないです。推力の無駄遣いです。
sorya
- >4
LOBL(発射前ロックオン)の場合、ミサイルの最大射程=シーカーの最大ロックオンレンジとなります。(勿論、最大飛翔距離がロックオンレンジより上回っていることが前提です)この場合、側距の必要はありません。なぜならミサイルのシーカーがLOBLの場合、ミサイルのシーカーがロックオンしないと打てませんから、ミサイルのロックオンは既にミサイルの最大射程内にあることを意味します。携行SAMなんかの場合そうですね。一々兵士は側距なんかしていません。
問題はLOAL(発射後ロックオン、所謂空中ロックオン)の場合で、この場合はミサイルの最大射程はミサイルの最大飛翔距離になります。従ってLOALの場合、ミサイルの発射にあたって事前にロックオンさせるという行為がないので、相手が射程内にいるという距離情報が必要になります。
AP1
- >4
敵機後方からですと、赤外線では遠くでも「見え」ます。逆に前方からだと近距離でないと見えません。
これが最大の問題で、見えたからって撃った場合、後方からだと、偉い遠距離から、しかも最少の相対速度で追うので飛翔距離は更に大になります。
この問題から、赤外線誘導ミサイルは、ミサイルの飛翔距離が赤外線シーカーの有効範囲より大であり、効率の悪い誘導によるロスによるマイナスも加味すると、相当に推進力の余裕のあるミサイルでないと成立しなくなります。
レーダー誘導のシーカーの複雑化や大型化によるマイナスよりも、この効率の悪さのほうが足枷として問題になる分岐点があるわけで、射程とサイズのバランスに於て、近距離では有利だけど遠距離では不利になるという事です。
SUDO
- 成る程。赤外線だと目標との位置関係で見え方が大きく変わるのを忘れてました。納得しました。
ところで「ロックオン」とはどのような状態なのでしょうか。セミアクティブレーダー誘導のミサイルはなんとなく分かるのですが、赤外線誘導ミサイルは熱源に向けて撃てばミサイルが勝手に飛んでくものだと思ってました。
オルシナス
- >5,6,7
回答ありがとうございます。
結局,「距離情報がないとミサイルの射程内にいるかどうかの判定ができない」
という理解でよいでしょうか?
しかしそれであれば,発射母機はレーダーなどで距離情報を得ているので,
母機としてはミサイルの射程内にいるかどうかの判定は可能で,長射程の
IRミサイルの非成立の理由にならないように思うのですが。
>8ロックオン
単純に高温熱源に向かって飛ぶのであれば,フレアなんかで簡単にだませます。
そうされないよう,ミサイルは最初の(または指定された)目標を追いつづける
(追尾する)ように設計されてます。
でロックオンとは,追尾する目標をミサイルが認識した状態で大きな間違いは
ないと思います。
taka
- ズーム赤外線光学系及び超がつくくらいの高感度(天文台並の感度)な赤外線検知素子があれば可能かもしれません。が、それ等は非常に重く、嵩張るため実用的ではないことが即判るものと考えます。
sorya
- >9
レーダー等で目標の凡その移動ベクトル等を取得しておかないと、ミサイルの飛翔距離内であるのかどうかの判断が出来ません。#7で書いたように、前からと後ろからでは、実際にミサイルが飛ばなければならない距離は大きく変るのですから。
以上を可能とするだけのレーダーと指揮装置があり、ミサイルに高度なシーカーが搭載できるのならば(そしてそれが使い捨てできる)ならば、勿論赤外線ミサイルで遠距離発射は可能です。
但し、そのミサイルは
1.発射時に判明した概略目標位置にまで突進してから「発射後ロックオン」する(不確実)
2.発射時から目標をロックオンして、比例航法等で直撃コースを自ら選択する(非効率)
といったマイナス面を甘受しなければなりません。
1の方法の応用発展例として、飛翔中も母機から測距データと概略位置(彼我現在位置及び予想される会敵地点)を更新する等で確実性を増す事は、恐らく可能です。
言うならば、中間慣性誘導or指令誘導+終末赤外線誘導といった形ですが、母機の側は電探誘導弾を用いるのと大差無いようなシステムを必要とします。然しながらミサイルが終末赤外線である以上、最終段での飛翔誘導効率が決して有利ではない事から、例えば事実上同じような誘導で終末アクティブレーダーホーミングのAMRAAM等と比較した場合、誘導に必要なシステムは同等、ミサイルの確実性と有効射程距離で劣る、つまりは優位点の特に無いミサイルになります。
尤も、この場合、ミサイルに用いるシーカーは然程凄いものは要らないので(これが凄くなれば、母機が誘導を放り出せるタイミングが早くなるので有利)例えば地・艦対空ミサイルでは、こういったやり方は一つの方法です。つまり、どうせ発射機は逃げられないし、ミサイルのサイズに対する制限も航空機ほどではないので(搭載能力と打ち上げブースターでどうせ大きくなる)シーカーが安上がりで、比較的早期に誘導を放り出して次ぎにかかれるという面で魅力がある訳です。
但し、他の方式に比して、どの程度優位なのかは、あまり期待出来るというほどでもないと思われます。
SUDO
- >10,11
ありがとうございます。
よくわかりました。
結局,トレードオフやってみるとメリットなしってことなんですね。
taka