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4637  もう20年以上も前の事になりますが、模型雑誌の記事でツインムスタングという戦闘機の解説を読んだことがあります。
 ご存知の方も多いと思いますが、P−51戦闘機の機体を平行に2機繋げた、“双発・復座・双胴”の戦闘機です。
 記事によると(うろ覚えですが)ツインムスタングは、P-51の運動性能を保持したまま、火力が1.5倍に増強し、航続性能や爆弾搭載量も増した高性能機だったそうです。
 それに、往路では副操縦士が操縦を担当し、戦闘空域では主操縦士が交代。副操縦士は戦闘中の後方警戒などを担うことによって、パイロット披露を軽減することができた、とありました。
 ツインムスタングはWW2に出現した数多い双発復座戦闘機中ので、最高傑作であった、というような結論であったと思います。

 それを読んだときには、あまりにできすぎていて、なんだか講談に出てくる忍者の活躍のような話だと思ったのですが、現実にそのような事はあったのでしょうか?

 
 それと、現用の単発ジェット戦闘機、例えば自衛隊のF2のような機体を2機繋げて“双発・復座”にすることなどは、可能でしょうか?
(なんかF86とかF100くらいの時代までなら実現しそうな気もするのですが)
ハルビンの雨

  1.  ツインムスタングの運動性についての考察が、4342番(質問欄の下の「他ページを選択できます」をご利用あれ)にあります。
     P-51の運動性をそのまま保持していたとは考えにくいですが、「双発複座レシプロ戦闘機」として優秀だったことは確かでしょう。

     単発戦闘機のツイン化にはあまり意味がないでしょう。双発ジェット戦闘機が単発機に対して運動性で不利にならないのは、エンジン同士を接近させて重量を軸周りに集中できるおかげなので、これを放棄するのは下策です。
     さらに、航法・索敵・照準の自動化・電子化が進んだことにより、長距離低空侵攻や電子偵察のような特殊な任務をメインに据えるのでもない限り、戦闘機サイズ(〜飛行時間)の機体を複座にする意義も薄れています。
     また、ツイン化により左右の空力的干渉や電波反射の複雑化といった問題が起こるため、空力的にシビアな超音速飛行やステルスといった面ではかなりの不利を抱えることになるでしょう。
    Schump

  2. >P−51戦闘機の機体を平行に2機繋げた
    実はこれが違うんです。まず後部胴体が延長されていて寸法からして違います。水平尾翼取り付け位置が変わったので尾部は丸ごと新設計です。脚の引き込み方式や機銃搭載位置も変わったので主翼(外翼部)は形状こそ相似ですが内部構造は別物です。更にマーリン搭載の P-82B はわずか 20 機の生産にとどまり、主生産型の P-82C 以降(253 機)はアリソンを積んだので機首前方が別物になっており、結局 P-51D や H と同じパーツは殆ど残っていません。

    確かに当初の予定では「P-51 の胴体を2つ繋げて応急長距離戦闘機を作る」ことになっていましたが、実際に設計してみるとアチコチ都合の悪い部分が出て、それを直したら結局「P-51 の基本レイアウトを流用した別の飛行機」になってしまった、と言うべきでしょうか。


    ささき

  3.  なるほど……、単純に、単発戦闘機を二機繋げれば、強力な双発復座戦闘機が生まれる……、という訳では無いのですね。

     Schumpさん、ささきさん、詳しい説明をしてくださいまして、ありがとうございます。
     おかげさまで、20数年来の疑問が解けました(笑)。
    ハルビンの雨


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