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4625 既出ならすいません。
何故推進式プロペラ戦闘機は一般的ではないのでしょうか?エンジン位置の問題ならP-55のようにシャフトで動力を伝えればいいと思います。プロペラ後流や、機銃の装備に制限があるなどの欠点がありながら牽引式が多用される理由はどこにあるのですか?
それと全く関係ありませんが、大戦中の戦闘機のエンジンの排気量はどのくらいだったのですか?とりあえず栄21をお願いします。
オルシナス

  1.  栄21型は、ボア130mm×ストローク150mmの14気筒なので、計算すると27874ccになります
    セミララ

  2. 長い前脚柱や双胴などの尾翼支持構造、延長軸に時として肝心なプロペラ効率を台無しにする冷却システムや翼構成、さらには不可欠にも拘らず決め手のない搭乗員の脱出手段等々と引き換えに、得られるものが余りに少ないのが推進式プロペラの実態です。有利不利ではなく、基礎検討の段階で考慮すべき数字が得られなければ当然の如く一般的に採用されることは無いでしょう。
    APOC

  3.  戦闘機と言うか当時のプロペラ機で牽引式が主流なのは、
    牽引式にする方が設計上 安定性を確保するのが楽なためです。
    重量物であるエンジン・プロペラを後方に置くと空力中心に対し重心が後方に下がりがちになります、
    (大馬力をシャフトで伝達するのは振動等問題が発生しやすいです)
    また尾翼容積を稼ぐテールブームを長くするのに色々不都合が出ます。
    結局推進式のメリットを生かすには、閃電とか震電とか見れば判るとおりかなりの工夫が必要になります。

    グリーネマイヤ智久

  4.  APDCさんがあげられた点に加えて、主脚が長くなるってことも大きいのではないでしょうか。離着陸時に機首あげしても大丈夫なクリアランスを得ようとすると、エンテにしろ双ビームにしろ主脚をかなり長くしなければなりません。この理屈だと双発推進式の機体が実用化されなかった理由も説明出来るでしょう。
    カンタニャック

  5. 本質的な欠点とまでは言えませんが、不利な点としては地上でエンジンぶんぶん回すとオーバーヒートしますね。
    空冷ならもちろんのこと、液冷でもラジエターに風が当たりませんから。
    まなかじ

  6. ありがとうございます。大変参考になりました。
    やはり推進式であることを前提とした、震電のようなカナードで前輪式でないと現実的ではないということですね。特に脱出方法には考えが及びませんでした。
    ところで推進式の計画機は海外にはなかったのですか?
    オルシナス

  7. もちろん海外には多数あります。実際に配備された例では、スウェーデンのSAAB J21A が有名です。Web検索で簡単に出てくるでしょう。
    APOC

  8. >ところで推進式の計画機は海外にはなかったのですか?
    米陸軍では実機試作に至った R40C 3兄弟(バルティ XP-54/68, カーチス XP-55, ノースロップ XP-56)のほか、計画だけに終わった機体としてベル XP-52/59(単発ブーム双胴), カーチス XP-71(双発)があります。
    ささき

  9. >7
    "Web検索"の前に"画像や諸元は"が抜けていました。大変失礼しました。
    APOC

  10. またもや米陸軍になりますが、アリソン双発推進の「重援護戦闘機」ベル XFM-1 エアラクーダ、胴体に内蔵したアリソン双発で機体後尾の二重反転プロペラを駆動する「高速爆撃機」マーチン XB-42 ミックスマスター、翼内埋め込みエンジンの「超重爆機」コンベア B-36 ピースメイカーという例もありますね。

    ドイツの計画機については Luft'46 http://www.luft46.com/ に沢山収録されています(胴体の真ん中にプロペラが付いているダイムラーベンツの DB609 戦闘機案など、どこまで本気なのか判らないのも多いですが)。


    ささき

  11. >10
     なるほど、エアラクーダまでは考えてましたが、B-36って成功作がありましたね。XB-35といい、大型になるとプッシャーのマイナスよりプラスが増えるのか。それとも40年代後半の技術によってプッシャーの問題の多くが解決されたのか、どっちでしょうか。

    揚げ足> マーチンXB-42。
    カンタニャック

  12. >11
    主に前者でしょうね。ノーズギヤ方式の大型多発機では、プッシャープロペラの持つデメリットの多くは、ナセルストールと共にキャンセルできたりします。ただ戦闘機として使えるサイズに落とそうとすると、XP-71を見ても笑えなくなります。オーバーヒートも依然、手強い相手です。
    APOC

  13. >11.
    XB-42 はダグラスでした…_| ̄|○

    書き込みついでに紹介。リノの 100hp エンジン級自作機レース「フォーミュラワン」で 1970〜80 年代に活躍した「ミラー JM 型」プッシャー・レーサーです。
    http://www.if1airracing.com/Planes/14bio.shtml
    http://www.if1airracing.com/Planes/89.bio.shtml

    垂直尾翼をプロペラをまたいで延長し水平尾翼を取り付けることで、長い機首と重心後退に対応した設計に見えます。おそらくピッチ安定性はレース機として最低限必要量だけを確保し、パイロットの体重に合わせてバラストを積み換えトリムを合わせているのでしょう。

    ここまでやるならカナードにしたらどうかと思いますが、カナードにすると垂直尾翼の取り付け場所に困ることになりそうです(震電の垂直尾翼取り付け方式も苦しげですし、プロペラトルクに対して面積過少ではないかという気がします)。
    ささき

  14. どこで読んだかわすれましたが(たぶんwarbird?)
    Do335の片発停止時の速度は推進式の方が牽引式より
    速かったそうです。


    wittmann

  15. 重ね重ねありがとうございます。とてもいい勉強になります。
    >14 Do335の推進プロペラを回すエンジンはコクピットの後ろですよね?
    それと最初の質問と直接関係ありませんが、前輪式を最初に採用した戦闘機は何ですか?
    オルシナス

  16. >前輪式を最初に採用した戦闘機

    ロッキード XP-38(初飛行 1939/1)
    ベル XP-39(初飛行 1939/4)
    フォッカー D-23(初飛行 1939/7)

    この三機種が数ヶ月違いに初飛行を迎えています。

    ささき

  17. >15
    「爆撃機」ですと第一次大戦機にも、前輪(おもに4輪)推進式はかなりありますが、「戦闘機」だと、RAF FE2b の一部かなあ。「前輪式」といっていいか極めて微妙ですが。http://www.greatwarflyingmuseum.com/aircraft/commonwealth/raf_fe2b.html

    カンタニャック

  18. >14 デルタ出版のミリタリーエアクラフトNo27(1996/7月号)P11にも
    その記述があります。リヤエンジンだけで560km/h、フロントエンジンだけだと少し落ちると。
    プロペラ後流を頭からかぶって飛ぶのはそれなりに抵抗が大きいのでしょう、(プロペラ効率だけで見ると乱されていないピュアな空気を吸える牽引ペラの方が良いとされています)
    この本には色々面白い事が書いてあります。推進式ペラの直前に十字翼を置くと高速化に特別な効果を発揮するそうで実際にドルニエは特許を申請しているそうです(1937/8/3)
    また離着陸の困難さも良く承知していて主翼の取り付け角を可変化する事で胴体は水平姿勢を保つ計画でした、実現こそしませんでしたが。

    ガス欠飛行連隊

  19. Do335のデータはよく引き合いに出されますが、あくまで双発機であり、あの機体規模と質量配分を前提とした上でのプロペラ位置比較ですね。そのまま単純にプッシャー単発化すれば高性能戦闘機になるという根拠にはならないでしょう。もちろん、取付角変更機構や余計な前脚の追加に見合うだけの推力増加が計上できれば別です。また一般に偏向乱流を伴う主翼を整流十字翼として充分機能させると肝心の揚力メンバとしての性能に無駄が生じ、動翼付き尾翼では整流効果自体が怪しくなります。得失の理論的なせめぎ合いの結果は、史実の通りということでしょう。
    APOC

  20. >19 別に推進式プロペラに幻想を抱いて書いたわけではありません。
    牽引式戦闘機と推進式戦闘機の得失は前半の回答ですでに出ていると判断したので、推進式ペラが研究された背景を書いたまでですのであしからず。


    ガス欠飛行連隊

  21. 飛行連隊さん、少し刺々しい書き方になってしまいました。平にご容赦を。
    APOC

  22. >17
     英F.E.2b、仏ファルマン・ボアザン、独AGO C.I、伊カプロニ等に見られる前車輪は、地上滑走時につんのめるのを防ぐための補助輪で、機体自体は「後輪」と尾橇で支えられるテイルドラッガーです。
     戦闘機として使われた機体の中には、前輪による重量と抵抗の増加を嫌ってこれを外してしまっていたものもあります。
     戦闘機ではありませんが、ある程度数が出たはじめての前輪式の機体、ということになると、カーチスが1910年ごろから作った機体ということになるでしょうか。
    http://airpower.callihan.cc/images/Early/CurtissPusher/02nasm-curtisspusher.jpg
    http://www.pearsonairmuseum.org/images/rooftop2.jpg
    Schump

  23. 皆さん的確にお答えされていますが、戦闘機が具合が悪い理由の見逃せないもう1つの理由があります。

    戦闘機ですので、多少のダメージを受けることを前提に設計されているわけですが、脱出パイロットを巻き込む以前の問題として、リベット1本でも胴体から抜け落ちるとプロペラに当たってしまうという点があります。
    どんなに小さな破片であっても、たとえそのキズが小さくとも高速回転するプロペラにより振動が発生し、照準することはできず、よりひどければまともに飛ぶことすらできなくなるでしょう。
    そうした理由から震電も排莢させずに薬莢タンクみたいなのに貯める方式でした。

    私自身、プッシャーペラのお世話になってるので、外れたビスでプロペラを損傷してイタい目に遭遇してます(^^;
    シンクレア


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