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4091 何処に質問しようか悩みましたが、こちらにさせていただきます。
現代の航空機が空から艦船を探す合、主にレーダーを使用しているのでしょうが、反射波を探知する特性上、艦船で無いもの(島や地上の建造物)を標的と誤認してしまう事もあるように思うのですが、どのようにして区別しているのでしょうか?
また、板違いですが、艦船のレーダーも同じように標的を誤認してしまう事があるのでしょうか?
稚拙な質問でしょうが、どなたかご教授願います。

  1. センサシステムの素人ですが、SAR等でその辺りの立体的なイメジを得て、さらにIRやMMWセンサーからのデータを組み合わせ、総合的に判断するというやり方がひとつあるのではないでしょうか。

    たとえば、艦船の場合あらかじめ関心の対象となるモデルをデータベスにとっておいて、それらの特性(外形や温度分布、およびダイナミクスなど)と比べれば高い確度でターゲットを識別・追跡できるはずですね。

    “総合的”の部分にどんなアルゴリズムが来るかで千差万別になると思います。「人間」というのも立派な答えだと思います。今はどの辺をいっているのでしょうか。
    Prolog

  2. SARの場合、動かない陸地ははっきりと見えます。逆に艦船は動いているために、
    (航跡も含めて)存在は見つけやすいですが、艦種の判別は難しいです。
    [焦点があわずにぼけてしまう]
    大抵は地図情報も持っていますので、普通のレーダでも島と艦船との区別は
    できるでしょう。
    ただし、港湾に停泊中の艦船の場合、識別は難しいでしょう。
    ハプーンのような対艦ミサイルが地上目標を攻撃できないのは、まさに区別できないからです。
    キック

  3. 普通、SARではなくISARで探します。
    sorya

  4. ISARは捜索結果の艦船の識別用で、広域捜索には向かないと思いますが。
    キック

  5. 誤認というのが、どういう事を言うのかはっきりしませんが、レーダーから得られる情報は、電波を反射する物標の存在と、その距離、方位だけです。それが船なのか、岩礁なのか、レーダー画面からだけでは判別できません。(島や陸地は判ります。)

     レーダーで捉えた物標の識別は、継続監視による物標の動き、海図などとの照合などにより、「状況証拠」的に行うものです。『画面上で』このくらいの動きだから、この物標は船だろう、とか、自船現在位置からこの方位、この距離に海図に記載された岩礁があるから、この物標は岩礁、あるいはブイだ、といった判断がなされるわけです。また、距離による判別もあります。船のレーダーなら、100浬の距離で見えるのは高い山だけです。他の船は見えません。

     ですから、レーダー画面を一瞥しただけでは、表示されているものが何であるかは判りませんし、ある程度継続監視した後に、岩礁を船と間違えるなら、
    それは人間のスキルの問題です。

     レーダーでの物標誤認はそういう形では起きません。レーダー測位の原理から起きる顕著な例としては、海峡や水路などを自船針路と角度をもって横断交差する送電線などの例でしょうか。
     送電線などのように、細い、乱反射の起きにくい形状の物体からの反射は、それに直交する方位だけに反射が現れます。この反射は自船の動きに一致して移動するため、あたかも衝突コースにある他の船舶のような動きになり、他の情報(灯火など)が無い状態(濃霧など)では、衝突回避の操船を強いられる事になります。

     こういったものがレーダーによる物標の誤認であって、岩礁などが一緒に見える事が誤認を生む、というのは単なる「使い方が悪い、知らない」というレベルの話になります。

     現代のレーダーでは、このような事を避けるため、GPS、ジャイロ、対水速度計などのデーターをレーダーに取込み、自船の動きをキャンセルして、画面上に物標の真の動きを表示できます。(ツルーモーション表示)また、ARPAと呼ばれる装置、今は一定以上の大きさの船舶には義務付けられていますが、これをレーダーに組み込む事で、画面上の物標をマークすると、その真速度、真針路、真方位、距離、衝突予測時間などを計算、数値で画面の一部に表示してくれます。船か岩礁か疑わしい場合、これを使えば速度、進行方向が判りますから、動いているならば船ですし、動かない(速度表示がゼロに近い)ものならば、岩礁や停泊中の船という事が判ります。マーク後、スキャナー13回転もしくは30秒でこれが表示されます。
     さらに、ECDISと呼ばれる電子海図表示システムでは、レーダー画像をオーバレイできるものがあり、この場合は岩礁などは普通海図に記載されていますので、画面を見ただけで船なのか、岩礁なのかが判別できる事になります。
     港の近くなど、多くの船が錯綜する海域では、AISと呼ばれる船舶識別装置も、一定の大きさ以上の船では義務付けられており、この情報もやはりレーダースクリーンやECDISスクリーンに表示可能です。船舶名、MMSI番号、針路、速度、現在位置、はては乗員の数までやりとりする情報に含まれます。これと連動するシステム(統合航海情報システムなどと呼ばれますが・・)ならば、レーダー映像にオーバーラップして、その位置に船名、針路、速度などが表示できますし、詳細な情報は別窓を開いて参照することができます。

     またレーダー単体としての機能も、デジタル画像処理の手法を用いて、動いている物標の軌跡を表示する、動かない物標を表示しない、逆に動く物標を表示しない、など海面反射処理(アンチクラッター)と同様に処理する事が可能になっています。(ただし安全上ユーザーがこのような処理を簡単に実行させる事はできませんが・・・・)

     レーダーによる物標の識別と誤識別について理解いただければ幸いです。
    elebras

  6. 再びセンサ素人の立場から。

    大きく分けて、協力的か非協力的かでまずアプローチは違ってくるのではないでしょうか。質問者はどういう問題を想定されているのか、それによるのでは?

    船舶ではなく「艦船」という言い回しから、漠然と軍用を想定していましたが、レーダを当てるということから少なくとも隠密性は考えなくていいということなのでしょう。

    たとえば偵察・監視・救助などによっても条件・要求は違ってきますね。戦略的か戦術的かという枠もあるいは方法論てきには、先決事項かもしれません。

    手っ取り早い表し方として、質問者が想定している典型的ケースをひとつ提示されるという方法もありです。どうでしょう。
    Prolog

  7. 質問者の意図が、特定の艦船を探し出すという意味でしたら、soryaさんのいうISARを使います。(SH60Kに採用されてます)
    ISARでは、艦船の揺れによるドップラー効果で、中心軸から遠いものほど早く動く事を利用して、艦橋やマストの形を見ます。
    ただし、揺れの状況が瞬間瞬間で異なるため、実際に艦のクラスを識別するのは難しいです。
    キック

  8. どうも、質問者です。
    どうやら自分の質問の仕方が悪かったようで、すみません。
    自分が考えていたのは、岩礁や小島が多く存在するような海域にひっそりと停泊している艦船を、航空機から探知し攻撃しようとするような場合で、目標を識別できないのでは?という疑問からです。
    紛らわしい書き方で申し訳ありませんでした。


  9. 余談(「艦船」という用語について)
    アサヒ・コムの大辞林によれば

    >かんせん 0 1 【艦船】
    >(1)軍艦と船舶。
    >(2)旧海軍で、艦艇(かんてい)および特務艦艇の総称。

    ということだそうですが、最近のマスコミでは(1)でなく(2)に近い意味で使われてるように感じます。
    でも、「自衛艦」を「海自艦」や「自隊艦」などと呼ぶマスコミには旧海軍での総称なんて知識はないような気が・・・
    外国通信社の記事を「誤訳」でもしたのが、結果的には旧海軍用語に近かったということなのでしょうか。



    SAW

  10. >岩礁や小島が多く存在するような海域にひっそりと停泊している艦船を、航空機から探知し攻撃しようとするような場合

    これは非協力的な部類でもきわめて困難な問題ではないでしょうか。今の技術でこれを高度に自動化するのは、かなり難しいのではという印象です。理由を挙げると;

    1)沿岸部は潮の干満で見かけ上の海岸線が変動し、静的な地形データでは稠密なものであっても、(稠密であればなおさら)一致させることが難しい。

    2)動いていないので運動モデルからの絞込みが出来ない。また「冷め」ていると温度分布も取れない。

    3)類似オーダーのサイズの岩礁や小島から疑わしい艦船らしきものをより出すことからして、難しい。

    4)迷彩・保護色を施されていたら(軍用艦では一般的)、赤−紫センサ(人間またはカメラ)でも難しい。

    こんなところです。熟練したセンサオペレイタの技量にかかる部分が、まだまだ大きいのでなかろうか、というのが、大雑把な感じです。

    誰か実際に詳しい人がいれば聞きたいところですが、同じ理由から、それはさらに難しいことかと、おもいます。



    Prolog

  11. 航空機搭載レーダーには詳しくありませんので、一般論としてのレーダーでの話ですが・・・・

     質問の主旨として、島影など、レーダー波の届かない処に存在する物標は除外します。識別が出来ないのではないか?という事ですので、この場合当てはまる条件は、物標もレーダー反射を返す位置ではあるが、それが島や岩礁に非常に近い位置であるため、角度、距離分解能の限界距離以内になり、分離が出来ないため識別が不能、という事になります。それ以外の条件では単純に海図データーと比較すれば、簡単に存在は暴露できます。また、上記以外の条件ならば、FCSによるロックオンが可能という事になります。海図データーの検索が自動でできるならば、ロックオンも自動で可能です。

     さて上記条件に合致した場合ですが、IRやミリ波センサーで発見できたとしても、一般に使われる周波数のレーダーでロックオンするのは難しいでしょう。ですから攻撃できるかは、兵器によるとも言えます。少なくともエクゾセでは無理ですし、ハープーンもだめですね。赤外画像と言われるASM3?なら可能かも??

     ともかくも、漫然と岩礁の点在する水路に身を置くだけではだめ、という事です。少なくとも切り立った地形から100m程度まで近づけるなら、距離にもよりますが(っても、分離できる距離なら目で見えますから・・・)、10浬の距離があれば普通の捜索レーダーでは分離できないと思います。

     ただですね、そういうような条件なら、島なんかより、漁船の集団なんかに入り込まれた方がはるかに厄介だと思います。5浬も離れたら、分離なんか夢です。レーダー画面の一角に塊が現われますからね・・・・・
    elebras

  12. 質問者です。少々返事が遅れました・・・
    細かな回答ありがとうございました。



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