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660 お世話になります。
 最後通牒と呼ばれる事柄があります。最後通牒を出し、その要求が受け入れられ
ない場合に宣戦布告をし、戦争となる。これがフォーマルな戦争の始め方だと理解
しています。
 ここで、最後通牒を出される側は、出した時点で戦争の準備を終わっていると解
釈しても良いのでしょうか。それとも、最後通牒は平和的外交の一部とであり、戦
争の準備はしていないと解釈するのでしょうか。
 よろしくお願いしいたします。

零式水観が好き

  1.  後から考えてみると結果的に「ある提案」を出したために交渉が決裂しちゃった場合とかに、「これが最後通牒となった」とか歴史の本に書かれてしまったり、確信犯的に「これ出したら向こうは追い詰められるだろうなぁ」などと考えながら出されるもので、つまり「最後」通牒とは比喩的な表現だと思います。
     どのみち交渉決裂を予想しながら出されるものですから、それなりの事態への対処はあってしかるべきだと思います。相手にとっては交渉打ち切り(これが戦争につながるかは別の話)か屈服しか選択肢は無いでしょうし。とにかく、国際法上はそんな言葉はありません。
    ジョン・ウェイン

  2. ジョン・ウエインさま。レスありがとうございます。
     国際法上、そういう言葉は無いのですか。つまり「最後通牒」なんて言葉は、マスコミ用語とか、思い出の中にほのぼのと
    浮かび上がってくるような、そんな軽々しい言葉ですか。(と言うとマスコミが怒るけど)
     第一次湾岸戦争の時に、あと2週間(?)でクエートから撤退しないと侵攻するぞと言ったのが最後通牒だったのだと思い
    ますが、米国が戦争の準備をしている最中にイラクが逆ギレして多国籍軍を攻撃しはじめると。これは正式の戦争になるのか
    な思いました。今回もイラクが始めるとアメリカの思うツボなので当然始めないと思いますが、万が一始めると手続き上どう
    なるかと思いました。

    零式水観が好き

  3.  外交/国際法用語としての ultimatum(最後通告; 最後通牒)は、「条約, 契約等の交渉において行われる最後の提案. 重大な外交問題においては, 最後通牒の拒否は, 直ちに国交断絶, 戦争開始につながる」(東京大学出版会 英米法辞典)ものです。
     具体的には「相手国が通告の内容に同意しない場合、通告国は問題を解決するために今後あらゆる手段を取る」ことを示す内容の通告であれば、具体的に宣戦布告することを明記していなくとも、ultimatum になります。
     ultimatumhは、平和な国交の終了を意味しますから、最後通告の発効と同時に相手国から戦争を仕掛けても戦時国際法違反とはなりません。
     また、最後通告に期限がある場合に、相手国が最後通告を拒否すれば、期限前でもその時点から、両当事国は戦争を開始することができます。
    カンタニャック

  4. カンタニャックさま、ありがとうございます。
     最後通牒は国際法上存在する。
     そうなると、質問が元に戻ってしまうのですが、これを出した国は、常識として戦争の準備が整って出す
    ものと考えるのでしょうか。それともまだ、平和な解決法があると信じて出すのでしょうか。 期限付き通牒の
    場合には、期限切れ近くなると切迫した状態になり、双方とも準備OKの状態であると考えるのが国際政治的
    常識として普通なのでしょうか。
     

    零式水観が好き

  5. >4
    > これを出した国は、常識として戦争の準備が整って出すものと考えるのでしょうか。それともまだ、平和な解決法があると信じて出すのでしょうか。
     一般論として言えば、戦争を覚悟してだすものでしょう。ただし、相手が要求に応じると思えば、自国の戦争準備が不十分でも、ブラフ(実体のないおどし)で最後通牒を出す国もあるでしょう。たとえば、初期のヒトラーの領土拡張などはドイツ軍の戦争準備が不十分なうちにおこなわれているようです。

    > 期限付き通牒の場合には、期限切れ近くなると切迫した状態になり、双方とも準備OKの状態であると考えるのが国際政治的常識として普通なのでしょうか。
     OKもなにも、当事国に戦争準備ができていようと出来てなかろうと、期限がくれば戦争になるというのが国際常識でしょう。
     ただし、どちらも準備が不十分ならば、期限を過ぎても戦闘は始まらないという事態は充分考えられます。

    カンタニャック

  6. はわわ…、不明を恥じるばかりです。
    ジョン・ウェイン

  7.  今回の湾岸緊張では、
     1.最後通牒のようなコメントがアメリカから出ているが、期限が非常に不明確である。よって、
       「期限切れ戦争」にはならない。
     2.国際的には明確な違反があるとは確定していない。よって、「最後通牒拒否戦争」にならない。
     3.イラクとしてはアメリカの要求を明確に拒否する気はない。同上。
     よって、この状態でアメリカが侵攻した場合には、これは国際慣習上フォーマルな形の戦争とは言えないと
    いうことになると理解しましたが、大筋で間違いないでしょうか

     それにしても、
      ーー期限がくれば戦争になるが、双方の準備が整っていない時には戦闘は始まらない可能性がある。ーー
     これは普通、外視には突然始まる戦闘と、成し崩しの宣戦布告で始まる戦争をみている私としては、なかなか
    カルチャーショックでした。

     ジョン・ウェインさん、この件は分かっている人は少ないと思います。特に、この件について、何故か国際法辞典
    ではなく、英米法辞典に書いてあるなんて普通には思わないです。

    零式水観が好き

  8. >戦闘開始の時期について
    18世紀、19世紀の戦争ですと、最後通牒→宣戦布告→動員開始というパターンが普通なので、戦争は始まっても一向に戦闘は始まらないということはしょっちゅうでした。
     比較的最近の例としては、第一次世界大戦はオーストリアのセルビアへの宣戦布告(1914年7月28日)で始まりましたが、オーストリア軍の動員計画は混乱を極め、動員を完了させたのは9月第1週。それまでにタンネンベルグの戦いもフロンティアの戦いも終了しているという状態でした。
     第一次大戦時の、総動員・最後通告・宣戦布告等の具体的関係については、
    http://www3.kiwi-us.com/~ingle/honbun/schlieffen%20plan.html#anchor350080
    が参考になります。

    >英米法辞典
     す、すみません。国際法辞典はガッコに置いてあるので、手元にある英米法辞典で代用しました。
    >ジョン・ウエイン様 
     お互い様です。こんど私が先走ったときには、お手柔らかにお願いいたします。
    カンタニャック

  9. > 7 いかん大事なレスを書き落としてしまった。連続投稿御免。
    > 3.イラクとしてはアメリカの要求を明確に拒否する気はない。同上。
     おそらくアメリカはイラクはアメリカの(あるいは国連安保理の)要求を拒否したとして開戦するでしょう。
    イラクが、アメリカ側の要求を無条件で100%受け入れない限り、要求を拒否したとして、開戦理由にするでしょう。100%受け入れると、イラクが宣言しても、要求の実現が一部でも先延ばしされなければ、それを理由に攻撃する可能性は大です。
    カンタニャック

  10. >9 文章があまりにひどいので訂正します。すみません。いいたいことは同じです。

     おそらくアメリカは、イラクは(アメリカあるいは国連安保理の)要求を拒否したとして開戦するつもりでしょう。
     イラクが、アメリカ側の要求受け入れに何らかの条件を付ければ、アメリカはそれを要求拒否とみなすでしょう。たとえイラクが要求をすべて無条件で受け入れると宣言しても、要求の実現が一部でも先延ばしされなければ、それを事実上の要求拒否として攻撃理由とする可能性は大です。

    カンタニャック

  11. 私の勘違いは3番目なんですね。それと私にとってキーワードは当事国でした。
     甲と乙の両国がある。この二国間に解決すべき問題があり、甲が乙に対して最後通牒を出したとする。この二国が
    戦争状態になるかどうかは二国間の問題である。また、乙が明確な形で最後通牒を拒否していないと思っていても、
    甲が拒否であると解釈すればそれで十分フォーマルな戦争の形になる。他の国がどうのように思うかは基本的に関係
    ない。
     前回の湾岸戦争の時にはイラクと戦争したのは国連軍ではなく多国籍軍であった。当然、停戦条約もイラクと複数
    の国の間の二国間条約だった(!?)。停戦には大量破壊兵器に関する条件を含む条約があり、これをアメリカは最
    後通牒と同等の物であると解釈する。そして、その当事国の一つのアメリカが条件不履行=条約拒否と判断すれば
    フォーマルな形の戦争になる。

     これで、頭の中でモヤモヤしていたものがまとまったような気がします。

    ありがとうございました。

    零式水観が好き

  12. 「前回の湾岸戦争」とおっしゃっておられますが、正確にはまだ終わっておりません。
    「停戦合意」ができて、戦闘は終わりました。
    しかし、それには条件があって、たとえばイラクは大量破壊兵器を破棄してその証拠を提出せねばなりません。
    それを何年間も実行せずに引き延ばしているため、
    「ならば、停戦合意は反故になる」というのがアメリカの主張です。
    (すなわち、安保理決議を再度行わなくても良い)

    ですから、新たな宣戦とかそういったセレモニーは原則的にはなく、単にいったん停戦していたものが再開されるかもしれない、ということだと思います。
    (あくまで、米国側の理解では)

    クリスティー

  13.  終わっていないという理屈は良く分かっているのです。ですが、気分的には終わってしまったような気分です。戦争も停戦
    期間が長いと妙なことになります。
     例えば、朝鮮戦争。朝鮮民主主義人民共和国は国連軍と戦い停戦。それから、あしびきの山鳥の尾のしだり尾の長々しき
    時間が経ち、朝鮮民主主義人民共和国も国連に正式加盟し、戦争しているはずの国連のメンバーです。今度戦争になったら、
    朝鮮民主主義人民共和国は国連軍として戦うのか朝鮮民主主義人民共和国として戦うのか。
     湾岸戦争も、停戦してずいぶん経つので、もう一度最後通牒か宣戦布告を出さないと、始めるに際してケジメがつかないよ
    うな気がしているです。

    零式水観が好き


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