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こんにちは、いつも勉強させていただいています 一つ疑問に思ったのですが、ドイツと日本は、ともに侵略国家であり、 ドイツのヒトラーは世界征服をもくろんでいたと聞きます。 両国とも、戦争に負けたのですが、日本は無条件降伏、武装解除、 軍隊を持つことは禁止されました、現在でも自衛隊しかもてません。 それなのに、なぜドイツは、しっかりとした軍隊を持てるのでしょうか? よろしければ、教えてください ナミ |
- NATOとワルシャワ条約機構のことを考えませう。
ヨーロッパとソ連の位置的関係とか・・・。
1945
- 連合国から見ると、日本の連合国への復讐の歯止めは憲法9条。
ドイツの連合国への復讐の歯止めは憲法24条。これはドイツが平和維持のために「集団的安全保障制度(=NATO)」に加入し、その際平和を保障するための主権の制限に同意する(=単独で戦争をおこなう権利を放棄する)とするもの。つまりドイツ独自の判断で戦争を行えないという点で、ドイツ連邦軍もある意味、おかしな軍隊。
カンタニャック
- >両国とも、戦争に負けたのですが、日本は無条件降伏、武装解除、
>軍隊を持つことは禁止されました。
ドイツも無条件降伏し、国土は分割占領され、武装解除も行われています。
1949年の基本法では、軍備に関する項目はありません。ドイツ連邦共和国が
主権を回復するのは1955年ですが、この時には、一定の軍備制限が課せられ
ています。
ところで、自衛隊としっかりした軍隊の違いって何ですか?日本の場合、
いわゆる有事法制がなおざりにされているという点がドイツとの大きな
違いだと思いますが、それ以外の点で、呼称以外に実質的な違いがどれ
くらいあるのでしょうか。
>>2
基本法の条文を読む限りでは、集団保障体制への加入は権利であって義務
ではないように読めます。
Grundgesetz fuer die Bundesrepublik Deutschland
http://www.verfassungsgericht.de/gg.htm
また、独自の判断で戦争を行えないとのことですが、侵略戦争は最近の国際
社会では違法行為ですし、ドイツに限らず、多くの国において憲法で禁止さ
れています。
基本法24条(2)の規定は、防衛戦争すら禁じる規定なのでしょうか。
道すがら
- >3 道すがらさん
憲法(基本法)24条2項は集団的安全保障への参加を権利としていますが、そこでより重要なのは後段の「連邦は、そのさい…主権作用の制限に合意するであろう。」の部分で、現実的には西ドイツの主権回復は戦争に関する主権制限を伴うNATO加入と不可分の関係にありました。(本来は24条2項がいう集団安全保障機構として、NATOとは別個に「ヨーロッパ防衛共同体」をつくる予定でしたが、フランス議会の反対で結局NATOがドイツを含む集団安全保障体制の受け皿になりました)。たしかに後知恵ですが「憲法24条と主権回復の条件であったNATO加入によって…」とでも書いた方がより適切だったと思います。
> また、独自の判断で戦争を行えないとのことですが、侵略戦争は最近の国際社会では違法行為ですし、ドイツに限らず、多くの国において憲法で禁止されています。
基本法24条(2)の規定は、防衛戦争すら禁じる規定なのでしょうか。
ドイツには連邦軍があるが、連邦軍はNATOの指揮系統を離れて戦争行為をおこなうことができなかったのではないでしょうか。ということは、結局単独での自衛戦争も出来ないのでは。
カンタニャック
- >2
自衛戦闘は出来るのでしょうが、自衛戦争は出来ないのが実際です。NATO体制下にあって加盟国単独独自で自衛戦争を遂行する場合はNATOよりの離脱を意味します。
集団安全保障には例外がないのが基本です。
禅問答は実際的ではないと思いますので、ドイツの場合は基本法よりもNATO条約を参照する方が適当と存じます。
ドイツ国家の存在(これは防衛/安全保障問題に限定)はNATOとの不可分の関係ですから。
現在のNATO加盟国の軍とはNATOの枠組み内でしか存在していません。
言うなればドイツはNATOに兵を供出しているわけです。
ドイツ連邦軍とは確かに存在するのですが、指揮統帥に関してはドイツ部隊であってもドイツ軍ではない。そこにあるのはあくまでもNATO軍であると。
独立自尊こそが国軍の有り体というならばドイツもまた違うのかも知れません。
>呼称以外に実質的な違いがどれくらいあるのでしょうか。
これが問いかけや疑問という形か反語という形で為された物かによって回答が違ってきます。
ナゾ〜
- >ドイツ連邦軍とは確かに存在するのですが、指揮統帥に関してはドイツ部隊であ>ってもドイツ軍ではない。そこにあるのはあくまでもNATO軍であると。
そうそう、
だから対テロ部隊のGSG−9も国境警備隊であって
初めてドイツ連邦政府の指揮が受けられるとのこと
Kleist
- 先のユーゴ空襲に関して、ドイツ連邦軍のNATO域外派遣については、国内では大騒ぎしてハードルの高さを改めて認識しましたが、1977年に既に連邦政府はGSG-9をアフリカ・モガジシオへ派遣しハイジャックを解決させていましたね。
昨年のドイツの総選挙に際し旗色の悪かったSPDのシュレーダが、突然「ドイツ国内の基地をイラク攻撃に使わせない」と叫んでそれまでシュトイバーCSU党首が優位に運んでいた支持をひっくり返したのはまだ記憶に新しいと思います。
しかし、これも本件に関して見てみると「ドイツ国内の基地」とは、あくまでも「NATOの基地」であって、それに対する使用権とは連邦政府の掌握の及ばないものでした。
本当にこれを実施するには、例えば「我が意と異なる政策実施のためには基地使用について加盟国政府が裁量を認められる」等と具体的にNATO条約の修正やズバリNATOよりの離脱を匂わすなりの実際的プロセスを示さねばならないのですが、シュレーダーはそれを一切しませんでした。
つまり、選挙に負けそうになったので大衆受けの良い発言をさも政策であると言いたげに、出来もしない主張をのみ展開したのです。
その様な点ではシュレーダーは空手形を切ったわけで、米国が大真面目に対テロ戦争を遂行しようとしているのを非難し攻撃したのです。米側はそもそも出来もしない事(基地の不使用)と知っていますから、国民へミスリードしアジ演説をぶった様に写りました。当然、烈火の如く怒り、「大衆迎合主義者」とレッテルを張り今でも絶交中なのはこの為です。
ナゾ〜
- ナゾ〜さん、>5 では懇切なご回答ありがとうございました。
ところで、>7 ですが、NATO軍が集団的自衛権の行使としてイラク攻撃をおこなうのであれば、仰るとおりだと思いますが、アメリカ単独で、あるいは湾岸戦争型の多国籍軍が、イラクを攻撃するのであれば、それにドイツが協力する義務はないのではないでしょうか。
カンタニャック
- ドイツは参加どころか協力する義務もありません。
先の湾岸戦争ではイラクの侵略に対して協力はしつつも実質参加はしませんでした。時の連邦大統領フォン・ヴァイツゼッカーの言動はまだ記憶に留まっていることかと思います。
今回の対イラク戦(あ、まだ危機か)に際しては事実、アメリカはNATOに軍事作戦の協力を求めていますが、これはいわば義務が生じていないことの裏返しです。アフガンに際しては例のNATO条約第5条が初めて発動されましたから、ある種の義務も生じましたが対イラク戦に関してはNATO各国、ドイツに関してもイラクより脅威を受けていません。
また、これに関連して追記。アメリカはトルコに対して基地使用を求めていますが、ここはイラクに近いから、という単純な理由だけで利用したいと働きかけているわけではありません。
トルコが直接攻撃の基地となっていてもイラクが手を出さないのはトルコがNATO加盟国であり、ここに手を出してしまうと十中八九NATO条約第5条の発動となり、NATOという強大な軍事機構を戦争に巻き込む恐れが非常に高いからに他なりません。
湾岸戦争当時はこれがイラクに対する重圧としてトルコの背後勢力の影というプレッシャーを掛けていましたが、今回はただでなくてもイラク攻撃に懐疑的な欧州を合法的に介入させる要石の様な存在でもあります。恐らく相当な嫌がらせを米軍はトルコを基地とした部隊で実施してくるでしょう。表には出にくい神経戦が戦われることと思います。という訳で、というか、だからというかイスラエルは攻撃を受けてもトルコは受けないでしょうね、きっと。
>米独関係(絶交)
当時(ドイツ総選挙の時点)は対イラク攻撃は継続戦争として認識していましたからアメリカとの認識違いによるもつれという点もあります。
査察も実施されていないグレーゾーンの時点でのある種の意思表示とは「ただの賭け」でしか無くシュレーダーをただの山師の様にあからさまに見下していた、という訳です。
ところが彼は賭けに勝った(のかな?)、のです。
最近ではシュレーダーが上手く外交を運んでいるので選挙当時の選択が
当時に於いても採り得たよい選択であったが如く振る舞っているのが気に食いませんが。
ナゾ〜
- >9 了解いたしました。
ご病気回復されたようで安心いたしました。
当方、憲法・政治系の話には弱いので、今後ともよろしくお願いいたします。
カンタニャック