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日本は海外と比べて人名にちなんだ地名、施設、船などが非常に少ないのはなぜですか? ぱるぱる |
ぱるぱる
ところで、北アルプスの「野口五郎岳」(実際にある)は人名にちなんだものなんだろうか?もちろん、新御三家の歌手の名にちなんだものではないが。
アリエフ
1912(明治45)年1月28日、27名の探検隊と共に南極に赴き、南緯80度5分の地点(現在の大和雪原)に到達した白瀬矗陸軍中尉にちなんだ名前です。
ちなみに、日本が南極オングル島に昭和基地を設営したのは、それから45年後の1957年1月29日(『南極の日』となっている)。奇しくも白瀬中尉らが大和雪原に到達した日の1日後です。
ブラック・タロン
海軍艦艇については元勲の名前を付けようとしたところ明治帝が反対し、それが引き継がれてきたという話を各所で見たことがありますが、事実かそれとも単なる伝説かを判断する材料を持っていません。
けい
逆に日本では、人名を呼ばずに、その人の居住地や建物にちなんだ名前で呼ぶことが昔からよく行われている。言霊信仰と関係あると思うが、過去ログに出ていたように思うので探してみてください。
アリエフ
(N)
アリエフさん説に同意。
欧州には命名に人名を使う伝統があると思います。そして、この伝統はまず聖人の名前を土地につける事から始まったと思います。
聖人から名を頂いたSt.(英;セント、仏;サン、独;ザンクト、など)がつく町、地方、山、峠道などはそれこそうなるほどあります(カトリック地域には特に多いのかな?)。
一辺慣れてしまえば、通りや駅、広場、公園にも気安く人命を付けます。わが町の通り、公園も殆ど人の名前で、何故かJFK通りなんてのもあります。パリのシャンゼリゼの真中の地下鉄駅はフランクリン・ルーズベルトです。
化学の特定の反応(Name Reaction)や体操の大技、物理や数学の公式、機械装置でも欧米では人名が結構使われていますね。
SHI
いや単に塩野七生を読んだばかりの思いつきですが。
便利少尉
個人的に気になって仕方ないのは、大阪と京都の県境にあるポンポン山です。誰だ、こんな名前つけたの。
アナーキャ
ガンヘッド
東京なら、新宿の内藤町、青山、道玄坂、春日通り(春日局)、音羽町(確か桂昌院の侍女音羽にちなむ筈)、有楽町、八重洲、乃木坂、高島平…、大阪なら道頓堀や心斎橋、地方でも江戸期に開発された「○○新田」などの地名の○○に人名が入っているケースはかなりあります。私が上に上げた例のうちくつかはただの俗説かも知れませんが、それでもかなりの人名起源地名はあります。
日本に人名起源地名が少ないように思えるのは、>2 でアリエフさんがおっしゃっているように、人名起源地名と地名起源人名の区別が難しい点と、古くからの地名は起源が不明になりやすい点によると思います。歴史の新しい地名、たとえば米国の「ワシントン特別区」や、「マッキンレー山」、あるいは東京の「乃木坂」や「高島平」などは、人名起源であることが簡単にわかりますが、渋谷長者がいたから「渋谷」なのか、「渋谷」にいた長者だから渋谷長者なのかとなるとなんともいえなくなります。
カンタニャック
干拓等新田開発、都市開発の隆盛に伴っているからだ、と私は推察しています。
京都では「九条通りの藤原さん」が「九条さん」になるパターン。
武士の場合もそうですね。彼らはつまるところ武装化農民ですから、基本的に氏族がその所有地から離れるわけではありません。日本は民族のレベルで国土を細分化されているわけではありませんから、自身の民族の歴史に自らの名の由来を求めることは難しい。また外から見た目等で名をつけることも難しい。
中央から封じられた武将も、「角川姓名大辞典」を見る限り封じられた土地の名を姓とするケースが多いです。個々の由来の真実を確認することが困難なのはもちろんですが、実際にそう伝承されていることに注目すべきでしょう。新参者が土着するにはその土地の人間であることを名乗る必要もあるし、また周囲からは先ほど述べたように地名で呼ばれるようになるでしょう。
結果、地名が姓になるのはごく自然なことと思います。
逆に江戸の地名は「有楽斎さんの屋敷があるとこ」という意味の通称が、地名になったりしますね。
江戸は新興都市でしたから、求める地名の由来がない。それと、有名人の場合はその屋敷に用のある人間も多いから、人名姓名で土地や通りを呼ぶ方がコミュニケーションをとる上で好都合だった。そんな理由からではないでしょうか。
また江戸ではジャーナリズムも発達しましたから、イベントが町民に広まり、通称が普及されやすい。そんな基盤もあったと考えられます。高島平がそうですね。
ましてや新規に干拓したところは元々地名などなかったわけですから、いざ名をつけるとなると、「隣の地名+新田」となったり、(つまり地域の拡張という概念がある)元号に求めたりするしかないでしょう。この場合、開発プロデューサー等の名が候補に上がる機会も当然ありえるのです。
つまるところ、普及している地名があると「地名→人名」、古来の地名がなかったり存続させる意義が薄いとなると「人名→地名」となる傾向があるといえるのではないでしょうか。
欧米との違いについては、あと言語の違いと宗教の違いの理由があると考えられます。
ごるぴゐ
飛行機や船に関して言えば、英語では必ず主語を付けて扱います。例えば日本語で
「あんたの船の調子はどうだい?」「まぁまぁだよ。」という会話も、
「How is your ship?」「She's pretty good」みたいな具合に。
英語の教科書ではフネやヒコーキには代名詞 it を使うことになっていますが、船乗りの伝統なのか乗り物は she と呼称される事が多いようです。
米軍機のノーズアートにやたらと女性が多かったり、恋人や母親や娘の名前を付けた飛行機が多いのが何となく納得できるような。
ささき
私も、人名起源地名は近世江戸期のものが多いなあと思いながら書き込んでいたのですが、考えてみると起源がはっきりわかる地名はどうしても近年つけられたものが多くなります。そうすると人名起源地名に新規開発地の地名や、都市の小地名、あるいは都市内でも遅れて都市化した地域の地名が多くなるのは必然的です。
つまり日本に人名起源地名が少ないのは、古くから人口過疎地が少なく、つけるべき地名は古代中世までにあらかたつけられていたため、古くからの地名の起源が不明になり、人名起源地名が相対的に少なく見えるだけなのではないでしょうか。この点、すべて新開地のアメリカ(そういえばこれも人名)などと単純に比較することはできないと思います。
世界的に見ても人名起源地名は、支配者から見れば新開地である植民地帝国に関連するものに多く見受けられます。無数のアレキサンドリア、ヨーロッパのローマ起源地名、アメリカ大陸の探検家や征服者や王様の地名、それから19世紀からイギリス人が世界中で付けて回ったローデシアやらメルボルンやらエベレストなどなど。
でもこう考えると、戦前の日本政府が北海道や台湾、朝鮮半島などにあまり人名起源地名を付けなかったのは何故か?という問題は残ります。日本でも、開拓者地名は、小笠原諸島、JR鶴見線の安善(安田善次郎)、浅野(たしか武蔵白石や鶴見小野、大川も)などがありますが、政府主導型のものはあまり見あたりませんね。このあたりに、これまで議論された日本人の命名意識が現れているのでしょうね。
蛇足
話は変わりますが、知日派の外国人には日本には特定の人名起源の地名その他の名称が非常に多いと誤解している人が多いようです。問題の人物は「明治」「大正」「昭和」の各天皇です。留学生に「明治大学」って明治天皇の名前を取った大学ですねといわれ、かなり時間をかけて説明したのですが、ハーバード大学やチュラロンコン大学との違いをわかってもらえたかどうか…。
カンタニャック
masaki
この外人さんの頭だと「慶應大学」や「平成国際大学」は何由来だ?と思うでしょうね〜
ごるぴゐ
> 日本の人名由来地名は、比較的近年(江戸時代以降)に目立つようです。
基本的に正しいと思いますが,明治まで姓(かばね)は源平藤橘などに限定され(豊臣ってのもありましたね),いわゆる名字は原則として「名乗り」でした.要するに地名に由来する名字が多いというよりは,もともと名字は地名を名乗ることが普通だった,というべきではないでしょうか.もっとも,名前が地名に転化する例は平安末期くらいからあるそうですし(「徳永」にはファーストネーム→地名→ファミリーネームとなった例があるとか…),移住後も本貫地由来の名を名乗る例も鎌倉時代にはあったようですが(遠方の所領を与えられた御家人など).
近代日本に関しては,国家が肥大したからこそ個人名が忌避される側面もあるのではないかと考えますが,これは調べてみなければわかりませんね.
にゃま
あと、飯山線には「越後田中駅」がありますが、
田中角栄と関係はあるのでしょうか。
NX