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104  なんでも「軍艦行進曲」は、「世界の3大行進曲」とかいわれているらしいですが、それが本当なら、他の2つの行進曲は何なのでしょうか?
 それと、「軍艦行進曲」の海外での評価はどのようなものなのでしょうか?
U−2K

  1. 三大行進曲かどうか知りませんが、国産初のトリオ部分つき本格マーチで、音楽として傑作と思います。海上自衛隊の幹部に聞いた話ですが、海外訪問先で軍楽隊が”軍艦マーチ”を始めると、この曲に限ってみんな雑談を止め敬意を表するそうです。個人的にはヨーロッパで何回かの商品展示会(軍事関連は全く関係なし)の自社ブースでかけてみましたが特別な反応はなかったですね。
    SHI

  2. 確かに傑作と思いますが、トリオ部分には英国製行進曲(うう、曲名が出てこない)の一節が使われてますね。
    まあ、あの時代の「軍艦」は英国生まれが多かったですから、ある意味ではとても表題にマッチした行進曲かもしれません。
    まなかじ

  3.  うちにある「海ゆかば:甦る栄光の海軍軍楽隊」の解説によるとタイケの「旧友」、
    スーザの「星条旗よ永遠なれ」、そして「軍艦行進曲」が世界三大行進曲だそうです。

    大塚好古

  4. 国産初のトリオつき本格行進曲?
    トリオに英国製行進曲?
    はて、共に初耳です。
    トリオの曲はエッケルトの『海行かば』で(正確には東儀季芳作曲、F.Eckert編曲)、
    『君が代』の姉妹曲ですね。
    映画『トラトラトラ』冒頭の新聯合艦隊司令長官、
    山本五十六中将の着任に際して本来流れるべき曲でした。(流れたのは『海ゆかば』・・・)
    また、実際は 田中穂積の『黄海海戦行進曲』が当時既に好評を博しておりましたし、
    トリオ部の有無はその曲の「時代様式」に由来するところが多く、
    それで一概に本格的か否かは論じ、かつ判断を下すことは出来ません。
    >英国製行進曲の一節
    大変興味があります。まなかじさん。どうか曲名を思い出して下さい。
    お願い致します。
    かっぱ

  5. ライナーノーツを信じて20年。ご指摘ありがとうございました。
    SHI


  6. 便乗質問です。

    >映画『トラトラトラ』冒頭の新聯合艦隊司令長官、山本五十六中将の着任に際
    >して本来流れるべき曲でした。(流れたのは『海ゆかば』・・・)

    この映画のことや。この映画に数々の嘘(脚本だからとは言いきれない)が
    あることは知っていますが、「本来流れるべき曲」という根拠は何でしょ
    うか? 例えば、「海軍礼式令にそのように書いてある」とか、そんな風な
    感じで結構ですので、是非お教えください。

    今泉 淳

  7. ちくしょー、どうしてもでてこない。
    えーと、海行かばのトリオから主題に戻る部分に、つなぎのファンファーレが入りますよね? そこのメロディが、英国製部品です。
    まなかじ

  8. 典範令で正確にどうなっているかまではわかりませんが、東儀季芳作曲の「海行かば」は将官礼式曲として陸海軍共通に採用されています。
    海軍では階級に関係なく一回、陸軍では星の数だけ(大将三回、中将二回、少将一回)繰り返し演奏して、敬礼・捧げ銃の号令をかけます。
    軍楽隊がついているときにはこれが演奏されるわけですが、喇叭手しかいないときには、また別の楽譜の「海行かば」という曲名の曲が吹奏されます。
    「海ゆかば」または「海行かば」で知られる曲は、三種類ある…と私は理解してます。
    まなかじ

  9. >「英国製」
    まなかじさん。あっ、そうでしたか。成る程!了解しました。
    どうもです。

    「海行かば」
    「将官、司令官タル大佐及朝鮮総督、台湾総督、満州国駐箚特命全権大使当該官ノ管轄区域内(駐箚国内)ニ於テ公式訪問ノトキ並ニ外国駐さつノ我大使又ハ公使ニ対シ敬礼ヲ行フトキ」
    と定められています。
    先任の大佐も海軍では代将、提督将官として栄誉礼を受けるのですね。

    そしてまなかじさんの述べている「海行ば」は確かに東儀季芳作曲のものですが、
    これはラッパ譜の場合でして、行進曲の『海行ば』は(エッケルト編)行進曲による礼式、
    つまり中国語で言う“検閲進行曲”、日本海軍で言う“巡検譜”であり
    ドイツ語で言う「プレゼンティア・マルシュ」 “巡閲行進曲”のことで昔は“閲兵行進曲”
    と呼ばれていたものにあたる軍楽曲です。
    (何でも今は自衛隊では閲兵の「兵」の字が用いられると不味いとかで「巡閲」と呼ぶそうだ・・・)
    また、これ(巡閲行進曲)が何の曲か?と問われた場合、
    その須磨洋朔『巡閲の譜』がスローな行進曲として作られ、
    外国で言う全く“プレゼン”の意味を為さなくなっているように、
    現在の日本の軍事文化(軍隊文化)の理解の中では判りにくい分野かも知れませんね。

    今泉さんの質問の答えは、山本中将着任に際して流れる曲は本来の「海軍将官礼式『海行ば』」ではなく
    今でも有名なS18年に国民歌謡曲となった信時潔作曲の「海ゆかば」(S12年作)を用いてしまい、
    リサーチ不足が露呈したのです。それだけ普段人目に触れない物なのです。 
     しかし、それはそれで「これぞ帝国海軍!(というよりも"The Imperial Navey")」と言う
    スマートな感じをよく演出していて私は好きであったが・・・
    (また、更に余談では映画『山本五十六』で今度は海軍礼式令で定められている通りの曲を再現したらそれが実際と異なっていた、ということもあった。また、日露戦争の映画でこの昭和の『海ゆかば』を堂々と歌ってしまったなんて事もあります・・・)
    かっぱ

  10. おっしゃっていることが氷解しました。確かに「うみゆかば」(敢えてひ
    らがなで書きます)は、いわゆる「トラ・トラ・トラ」の冒頭で流れるも
    の以外にも存在することは知ってましたし、さらに海軍礼式令において、
    将官に対する礼式として、信号兵が喇叭で「海ゆかば」を吹奏する旨規定
    されていることも資料でしっていたので(「トラ・トラ・トラ」の冒頭で
    流れる喇叭の曲は、私は喇叭で演奏する場合の「海ゆかば」と認識してい
    ます)、軍楽隊が乗艦していれば信号兵の喇叭の代わり(というか、信号兵
    の喇叭のほうが本来は「代わり」なんだと思う)に「海ゆかば」を演奏して
    しかるべきかなあと思っていたので(例えば、「君が代」にしても信号兵が
    喇叭で吹奏することがありますから)、「なぜ軍艦マーチ?」と思ったから
    です。そうじゃなくて、「海行かば」の代わりに「海ゆかば」を映画で演
    奏していることに言及していたのですね。ならば納得です。私も「『うみ
    ゆかば』が3種類ある」という理解を元々しておりますので。

    余談ですが「トラ・トラ・トラ」って、ある部分はリサーチに凝っていたり
    する割に、こういう部分で大間抜けやってたりするんですよね。まあ、個
    人的には、長門艦上で新旧GF長官の申し継ぎをやらせていること自体、既
    に許し難いんですが(史実は、東京で申し継ぎをやった後、山本が和歌山で
    着任した)、これは脚本の問題だから仕方ないでしょうねえ(笑)。

    あ、あと質問というか疑問ですが、

    > 先任の大佐も海軍では代将、提督将官として栄誉礼を受けるのですね。

    これは、あくまでも

    >将官、司令官タル大佐

    がそうなのであって、先任かどうかとはまた別の話だと思うのですが、ど
    うでしょう。すなわち、大佐が(戦隊などの)司令官職に補されて指揮を執っ
    ているのと、たまたま戦隊司令官が不在(戦死とか軍隊区分などの都合に
    よって)の場合にその戦隊内における先任者が軍令承行令にしたがって
    指揮を執っているのは、状態としては異なるのではないかと思います(こち
    らの場合は、代将旗を揚げるのではなくて、先任旗を揚げるんじゃないか
    と思うのですが)。ただ、そういう場合で敬礼をうけるとしたらどういう扱
    いになるかに関しては、洞察を得ないというのが現状ですが...

    今泉 淳

  11. 色々誤解を与えてしまったようで申し訳有りません。あまりの長文は敬遠されるのかな?と思ったばかりに
    何だか舌足らずの表現に成ってしまったのですね。

    今泉さんに一寸補足致します。
    >ラッパ譜と軍楽総譜の関係。
    これは「略式と正譜」の関係ではなく両方とも対等なものです。
    ですからラッパ譜の『海行ば』と軍楽曲『海行ば』を同時に(音楽的には「一緒」です)演奏するのです。
    どちらかを演奏するならば、一方を省く、と言うものではないんです。判りにくいのですが、
    強いて言えば“サイドパイプ”が略式になります。

    殊海軍については、このサイドパイプの位置付けが軍事音楽史上一番特異なもので、かつ最大特徴、と言っても過言ではないと私は確信しております。
    余談ですが、「一番“最初”に披露し、サイドパイプ文化を築き上げた人は一体どんな心境であったのか?」などと今でも時々考えている自分があります。(きっと「吊された」んだろうな・・・)

     話を戻しますと艦隊司令部のみに軍楽隊が乗り込むことになっていますから、そこでは軍楽によって奏楽いたしますが、儀制曲として定められている事項とは、例えば『君が代』はラッパ譜、軍楽吹奏に拘わらず「軍艦旗掲揚降下」などに際し奏楽する様に定められているだけですから、他の個艦ではラッパ譜のみで『君が代』を何ら滞り無く吹奏しそれを常としていて、それは軍楽隊吹奏を正とした略の関係ではないのです。
    寧ろ軍楽隊乗り組みの艦は軍楽奏楽が「加わる」というのが妥当な表現なのです。

    (ラッパ譜は航海科、つまり旗艦たる軍艦の乗組員による礼式、一方軍楽吹奏は艦隊司令部付きの軍楽隊員による礼式、と言えばこれのみで今泉さんならもうお解りだと思います。こんな説明で宜しいでしょうか?)

    ラッパ譜の礼式はもともと船員たる乗組員が、外から提督を迎入れるときに吹奏したものです。
    ご存知の通り、信号兵は航海科で、軍楽兵は軍楽科です。そして、それぞれは全く別の業務を行っているに過ぎません。ですから、一方がその業務を行うと、それがもう一方の業務を代行し得ると言うべき性質のものではないのです。

     軍楽隊はペリー提督の浦賀上陸際よろしく司令部に随伴して上陸も致しますし、そこで当然活動します。一方、ラッパ譜の吹奏は信号兵が行うため、たまたま旗艦要員であるから提督に対して吹奏する、と言っても配置を離れ陸上で吹奏されることはありません。ただし配置が陸上になる場合はこの限りではありません。

    因みに行進曲「軍艦」の使用基準は日本海軍に於いては
    帝国海軍の場合、
    「進水式ニ於テ船体滑走又ハ進行ヲ始ムルトキ其ノ外観兵式(分列式、閲兵式)等」
    (海軍儀制曲第10号/「儀制ニ関スル海軍軍楽譜、第十号」)
    海上自衛隊の場合
    「観閲式に於ける観閲行進の場合、自衛艦旗授与式における乗組員乗艦の場合、自衛艦命名式における進水の場合及びその他必要と認められる場合に演奏される」
    (「儀制曲の統一に関する通達」海幕総総(文)第2号)
    と用途が正式に定められています。
    (因みに武道館に於ける「自衛隊音楽祭」に於いては必要と認められていないらしい・・・)

    また、一説にはこの「軍艦」の作曲者が田中穂積である、という説もある。

    こんな所でどうでしょう?

    >後段の下り
    私の「先任」の定義についての思い違いです。単に「大佐提督」を代将と・・・と改めて置いて下さい。
    有り難う御座いました。(これならいいのかな??)
    かっぱ

  12. ↑ありがとうございます。

    >どちらかを演奏するならば、一方を省く、と言うものではないんです。

    これは分かります(そういう理解をしていたつもりだったです)。私の書
    き方にも問題があったようにも思います。すなわち、

    >軍楽隊が乗艦していれば信号兵の喇叭の代わり

    の「喇叭の代わり」は、私の不注意な記述だと思います。「喇叭と共に」
    が書きたかった意図でした。

    要するに軍楽隊が乗っていた場合にのみ「追加」的に「海ゆかば」を演
    奏するものだということですよね。

    また、軍楽隊を「正」、喇叭を「副」とする解釈は、小生の一部誤解で
    あることも了解です。確かに、信号兵の喇叭と軍楽兵の演奏は、ある意
    味で独立した行為というのは、十分納得いきます。なんならば、

    >ラッパ譜は航海科、つまり旗艦たる軍艦の乗組員による礼式、一方軍楽
    >吹奏は艦隊司令部付きの軍楽隊員による礼式

    この一文で十分過ぎる説明です(他の説明は一切不要な位小生にとって
    明確です)。

    ちなみに戻ってしまいますが、「トラ・トラ・トラ」の軍楽隊「海行か
    ば」演奏以外の、長官着任に関する礼式は考証的に正しいものでしょう
    か? あれが「正しい」とするならば、例えば艦側の礼式と司令部として
    の礼式が、上記のような意味で異なるということが、例えば敬礼の挙手
    の手を下ろすタイミングの違いなどに現れているのかなあなどと想像し
    ていたもので。あの映画は、確か黒澤から深作に監督が変わったおかげ
    で、かなりリアリティが損なわれたとする意見を知人から受けたもので、
    考証的に正しいのかどうかが、気になったもので。というか、礼式に関
    してきちんとした記述をしてある文献があれば良いのでしょうけどね(
    「日本海軍史」には、あれを検証できるほど細かいことは書いてなくて)。

    今泉 淳


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