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179 映画「スターリングラード」中に、誤って味方を撃ち、近くの兵士がその兵士に「俺もやった。」と諫めるシーンがありますが、味方兵を過失によって殺害した場合の罰則という物は無かったのでしょうか? また、味方同士の殺害というのはよくあったことなのでしょうか?
紅葉饅頭

  1. 歩兵戦から空中戦に至るまで、同士討ちというのは頻繁に発生しています。湾岸戦争の時もアメリカのM1戦車が誤って自軍の車両を攻撃してしまったことがある位ですから。いざ戦闘となると情報の混乱や命令の伝達ミス、敵味方の誤認は付き物であり、もちろん、どこの軍隊もそうしたミス、ヒューマンエラーを減らす努力はしているのですが、完璧を求めるのは難しい。
    同士討ちをやった兵士の処分については、軍法会議の手続を通じて当事者双方の過失の度合いや、事件発生当時の状況などを調査した上で行うこととなります。その兵士だけでなく、上官に当たる者の管理者責任が問われることもある。また、事件発生の際、悪天候による視界不良等、ミスが発生しやすい状況だったかどうかということも過失責任の判定において考慮される。
    アリエフ

  2. 戰闘中の味方同士の殺害は、やろうと思えば誰にでもできるので、「彈は前から来るとは限らない」と云う有名な脅し文句があるくらいです。日頃、部下を苛めている上官が戦場にくると途端に大人しくなってしまうのは、こういう状況があるからです。同士討は陸軍刑法に罪として明記されていませんので、目撃者や被害者がいて告発すれば、上官殺害など他の罪名で送検になると思います。けれど、戦場でいちいち、そういうことをやっている暇がないため、また仲間同士でかばいあうため、しかも上手く犯行を実行するため(突撃中に背後から射撃するなど)、だれでも知っているけれど表面には浮び上がってこない犯行は無数にあったはずです。
    あるめ

  3. 「戦闘行為中の過失による味方誤射を厳しく罰しすぎると、軍人が工場なんか
    でやっている”無事故・無欠陥運動”みたいなメンタリティに
    なってしまうんだよ。戦争には失敗やミスが多いんだよ。」というコメントが
    米海兵隊の法務部退役大将によりされているそうです。
    事実、国連ヘリを間違って撃墜指示したE3のオペレーター・味方LAVを撃破したM1の乗員・味方ウォリアーを撃破したチャレンジャー乗員のすべては軽微な
    罰則のみで済まされてます。
    こういった見方はある程度各国共通のようです。
    タイ駐在員

  4. >2 戦闘中の味方を過失によってではなく故意で殺害する場合も同士討ちと言うのでしょうか?むしろ、私刑(リンチ)に当たるのでは? こうしたリンチによる軍隊内の治安低下を防止するため、軍隊は厳しい規律を維持すると共に憲兵による監視が行われているのでは? 例えリンチの相手が格上であろうと格下であろうと故意でやったことがわかれば、過失責任が問われない可能性もある同士討ちと異なり、非常に厳しく処罰されるはずですが。
    アリエフ

  5. >3 過失を犯した個人に対する厳しい責任追及よりも、過失発生の原因を探り、その防止策を講じることが重要とする考え方があるからだと思います。軍法会議の基本姿勢はこうしたことではないかな。
    アリエフ

  6. 戰闘中の故意の殺害は私刑(味方同士の殺害)ですが、発覚した場合は豫審で過失と主張(強弁)し得るので、突撃中の如き切迫かつ証拠収集の不完全な曖昧状況では、なかなかラチがあかないのを利用して、旧陸軍では「ぐてぐて云うとると彈は前から飛んでくるとは限らなくなるぞ」式の暗黙の脅迫が行われていたと聞きます。それが史料に現れるのはシベリア出兵のあたりからで、戦地では兵隊の反抗と上記の如き暗黙の脅迫を恐れて幹部(将校下士)は十二分の統率ができなかったようです。帰還部隊の服装の乱れは著しく、上官に対する言葉つき態度も内地の兵営では考えられない程度に低下していた事に軍首脳部はショックを受けています。表面に出た事件では、中隊の兵隊が大勢で幹部を殴打し胴上げして井戸に放り込もうとしたので、中隊長が平謝りに謝ってその場は収まったなんて云うのもあります。職業軍人の将校は自分の隊に憲兵をよぶのを極度に嫌がって、多少の事は内部で処理し、多少でない事も揉み消してしまう傾向にあります。今後の自分の進級に響くし、すぐに憲兵を呼ぶ隊長は兵隊や幹部の信頼を失い、隊の名誉と団結にヒビが入るからです。「うむ、よおく分っておる、わしに任せておけ、決して悪いようにはせん」式が隊長の器量とされて、困ると何とかしてくれると部下は思うようです。たまたま告発する者があって証拠が揃えば、当然に憲兵隊に引渡されて軍法會議の豫審に持っていかれるのですが、そうなると豫審官の裁量ひとつで重罪に問われることになりましょう。しかし軍法會議の審判記録に、そういう事件の記録があまりなく、専ら敵前逃亡だの、抗命だの、從軍免脱目的自傷だの、後方での用兵器上官脅迫暴行傷害だの、詐欺横領だの、窃盗強姦だの、と云うのが多いので、表面にでてこない私刑事件は多くあったと思われます。
    從軍兵士の手記を読むと、戰死者の弾痕を調べると突撃前進中に後ろから来た彈に当ってしまったと思える例が記されており、明らかに味方に射撃されたと判っていても兵隊同士でも深く詮索せず、部隊では頓着なく名誉の戰死と認めてしまうようです。
    本筋の同士討ちは、日露戦争を例にとれば、夜間野営中の聯隊が、近くを通過する他部隊を露軍の来襲と誤認して、数時間に及ぶ銃撃乱射をしたと云うのがあり(闇鉄砲のうえ、みな恐慌して照準が定まらず彼我(?)とも損害なし)、また旅順要塞攻略戦では、敵逆襲を退けるため、味方がまだ残存している堡塁への砲撃命令を実行したと云うのもあります。こうなると過失というより、作戰行動の一部となってしまい、部内での査問と處分はあり得るでしょうが、刑法上の罪とはならないようですね。
    あるめ

  7. >4
    あるめさんの2は、質問の後段の
    >また、味方同士の殺害というのはよくあったことなのでしょうか?に対応したもので、別に味方同士の故意の殺害も同士打ちだとか、発覚しても処罰はされないとは主張していないと思いますが。表には出てこない(すなわち処罰を免れている)が実はたくさんあったのではないかと言われているだけだと思います。

    便利少尉

  8. >7 確かに。わかりました。
    アリエフ

  9. 皆様回答ありがとうございました。戦闘中の味方による死亡事故がそれほど頻繁に起きるとは露程も思わず非常に驚きました、また自分としては日本軍に非常に統制のとれた軍という先入観を持っていたのですが、やくざ紛いの行動があったことに対してさらに驚きました、あるめ三ありがとうございました。
    紅葉饅頭

  10.  航空隊でもありました。 昭和18年4月24日、飛行第六十一戦隊の伊藤四郎中尉機は、東部バンダ海の哨戒任務中、アル諸島北西部のドボ西方100kmふきんの海上で、水上機らしき彼我不明機を発見し、これを識別しようとしたところ、突如としてこの彼我不明機に急襲され、この急襲の銃撃により、その一弾は正繰従者の三木夏雄伍長(少飛9期)の頭部を直撃し、伍長は操縦桿をにぎりしめたまま即死した。機体も片肺となったが、カイ諸島までたどり着き、密林に不時着、大破、しかし残りの搭乗員は無事であった。
     このときの彼我不明機は、当時セラム島の西端アンボン港を基地にしていた我が海軍水上機隊の索敵警戒機の1機であったということを、後日、非公式では有ったが伝え聞いた。

     「呑龍重爆隊ニューギニア戦記」 丸 昭和51年1月号
        元飛行第七・六十一戦隊 新富正清少尉 著

    roht

  11.  1>湾岸戦争関係の本によれば、戦闘時の軍人の判断力は、通常時の平均的な高校生の判断力に劣るとありました。
    ザイドリッツ


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