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53 中央アジアの国のトルクメニスタンは永世中立国と書かれていますが
なぜにイスラム教国のトルクメニスタンが永世中立国にする必要があったのでしょうか?
ワシレフスキー

  1. イスラム教国が中立政策を取ってはいけないと考える理由はありません。
    トルクメニスタンの場合、以下の動機があるでしょう。

    1)北のカザフスタン、ロシア等は国内のイスラム原理主義者がイラン国内のイスラム原理主義者からの支援を受けることが怖く、南のイラン政府は旧ソ連邦内のイスラム原理主義者の政治的成功が国内に波及するのが怖い。よって両原理主義者の交流を立つ意味でトルクメニスタンは「中立」を宣言し、南北両方に恩を売る。

    2)カスピ海対岸のザカフカース地方の紛争に対して中立であることでロシア及びイスラム教諸国(特にイラン)双方からの干渉を拒み、内政を安定化する。

    3)現在、日米中の支援によって天然ガス(埋蔵量世界第3位!)の輸出ルートを構築しようとしているが、そうすると、ロシアからは「東側を裏切った」と、イスラム圏からは「異教徒に魂を売った」と思われて、安全保証上よろしくないので「中立」宣言でそういう疑念を緩和する。
    Schump

  2. まず、トルクメニスタンは本当にイスラム教国でしょうか?
    イスラム教国とはイスラム教を国教に定めた国のことです。
    トルクメニスタンは単に「イスラム教徒が多い国」ではないでしょうか?

    トルクメニスタンが永世中立国となった背景としては、推測になりますが

    ・地下資源のおかげで経済的にロシアに依存する必要がない。
    外交政策など見てもロシアと国同士対等の立場で何かを行う活動には積極的ですが
    ロシア主導によるCIS諸国の云々といった活動には目もくれていません。

    ・ロシアから見ても中東諸国との間に安定した緩衝地帯が存在することは望ましい。
    これは上でSchumpさんが述べているイスラム原理主義者云々の話と一緒です。
    ただ、私はイランよりもアフガニスタンの方を強く意識しているのではないかなと思います。

    永世中立国の義務は「自ら戦争を起こさない」「他国間の戦争に参加しない」ことであり、
    自国を防衛するための戦争及びそのための軍備は許されます。
    永世中立において重要な点はその宣言ではなく、他国からそれを承認されることにあります。
    (トルクメニスタンは国連(=国連加盟国)から永世中立国と認められています)
    承認国はトルクメニスタンに戦争を仕掛けてはいけないというのは当然として
    トルクメニスタンが侵略された場合にはその権利を守り、侵略を排除する義務も負っています。
    PT

  3. 便乗で申し訳ないのですが、中立国への侵略を排除する義務がある、というのは国連憲章か何かに書いてあるのですか?
    kabukou

  4. 3>
    永世中立国は国際法にて認められているのですが、この国際法というのが結構難物でして、
    法典のようなものがきちんと明文化されたものがあるかというとそうでもないんですよね。
    (明文化されているものは**条約などといった形で国際条約になっている)

    私は法学家ではないので詳しいことはよくわからないのですが
    侵略排除の義務の話などはおそらく永世中立に関する条約を取り交わす文書の中に条件として
    盛り込まれているのではないでしょうか?
    「永世中立国だからそうする」のではなくて、
    「そういった条件に基づく条約を締結したことで永世中立国と呼ばれるようになる」
    のではないかと思っています。
    PT

  5. スイスは条約により、トルクメニスタンは国連総会での決定により、永世中立国の地位になっています。この地位を承認した国は、他の承認国が永世中立国に対し宣戦布告を行ったときは、その国に対し永世中立国への侵略を防止、排除するための行動をとる法的義務を負うことになっています。とは言っても、当の永世中立国自体が他国の侵略を防止するために全力で取り組まねばならないのであり、他の承認国は永世中立国の軍隊を物質的に援助する、又は共同で軍事行動を取る義務までは明確に定められていないようです。要するに、永世中立国が守りきれない、あるいは侵略国に屈服しかけたような場合、他の承認国が永世中立国を見殺しにし、同国が草刈り場になる危険もある。
    永世中立というのは、多くの国と駐留なしの片務的安全保障条約(自分が第三国に戦争を仕掛けられたら、その第三国にプレッシャーをかけてくれという約束、ただし、自分が相手国の防衛に協力する義務はない)を結ぶことによる総合安全保障政策のようなもの、と考えるべきかも。ただ、北大西洋条約(NATO)のような相互安全保障防衛条約でないため、本当に承認国が効果的なプレッシャーをかけてくれるのか、信頼性に欠けるでしょう。
    トルクメニスタンの場合、独裁政権による独自路線が取られており、ロシア主導による相互安全保障体制に入りたくないこと、かといって、ロシアを敵に回してまでアメリカ、中国など他の主要国に近づくわけにもいかない、といった事情も関係していると思います。

    アリエフ

  6. なるほど、中立国防衛義務の有無は承認時に結ばれた条約によるわけですね。有難うございます、勉強になりました。
    kabukou


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