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今朝の新聞でオランダ人の捕虜時の補償に関する裁判の記事がありました。 これに関連して疑問に思ったのですが、ではインドネシア人はオランダに対し、独立戦争時に不当な扱いされた際の補償を請求できるのでしょうか。 山奥の人 |
- 国家間同士で賠償・補償請求権を放棄している、あるいはそうした請求を行わない状況で、個人が相手国の政府や企業、更には個人に対し不法行為や不当利得による賠償・補償請求を行うことができるかという問題でしょう。
これまでの判例の状況から見て、相手国政府による違法行為及び賠償責任を認定したケースは皆無です。理由は請求権者は自国の国家であり、その権利を同国民である個人が代理行使することはできないし、個人による請求にはなじまないという考え方のようです。
ただ、相手国の企業ないしは個人に対する給与未払分の返還請求なら、民事上の時効が切れていない限り、民事訴訟で認められる可能性があります。問題は戦後50年も経って請求権の時効が切れていないということを、どのように主張するか(支払ってくれと要求したのに向こうが応じなかった、ということを証明できる文書が必要になる)、未払い金額の確定、更には企業が倒産、解散等により無くなってしまっている場合、誰に請求するのか?ということでしょう。
アリエフ
- アリエフ様、いつもながら理路整然とした回答有り難うございます。私もこの裁判(オランダ人が大戦中捕虜になっていたときの不当な扱いについて日本政府を相手取って裁判を起こした)については違和感を感じておりましたが、頭の中の整理がつきました。しかし日本のマスコミがこのオランダ人に妙に好意的なのは一体…。
質問者
- いわずもがなのことですが…
時効になった債務は、「払わなくてもいい」というだけで、払っちゃいけないわけではありませんし、「払わない方が正しい」わけでもありません。道徳的には払うべきだが法律的には払う義務がないというだけです。
(国家の個人賠償問題は大分違う点もありますが、「払う義務がない」ことが、「払わない方が正しい」ことを意味するわけではないという点では同様です。)
この質問は法律問題として設定されているので、アリエフさんもこの点は重々ご承知の上で法律的に正しい解答されているのはよく理解しておりますが、つい最近も法的な「正しさ」と道徳的な「正しさ」を混同している学生がいたりしまして(私の教え方が悪かったんだなきっと)、蛇足の書き込みをさせていただきました。
カンタニャック
- 蛇足ですが、私が聞いた話では、インドネシアの方はたいへんプライドが高く、過去の補償を要求したりすることを潔しとしない国民性だそうです。
従軍慰安婦問題の時に、日本の弁護士が、原告団として名を連ねるよう説得したのですが、インドネシア人は「我々は日本に補償を要求したことはない、そのことは既に解決済み」ということで、誰も参加しなかったそうです。その後日本政府はお詫び金を支払ったのですが、「くれるというならもらっておくが」とお金は受け取ったのですが、決して個人には渡さず、福祉事業に使ったそうです。ただ、オランダ相手だとどうなのかは存じません。
MCAS
- ↑従軍慰安婦問題で日本政府が外国に賠償金を払ったと言う話は聞いた事ないのですが?
こんな話なら知ってますけど。↓
http://www.jiyuu-shikan.org/faq/A04.html
戦後の賠償金支払い時にハッタ副大統領が
“日本軍はインドネシア独立の恩人だから、賠償という名称は不適当だ。独立達成を
記念する祝賀金として戴く”と言ってたという話ですが、この事と混同してるのでは?
jas1