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以前「哀愁」という映画を見た時、貴族様であるロバート・テイラーの親父がビビアン・リーに「我が家系は代々この連隊の連隊長を勤め、我々はそれを誇りにし云々」などと言っていたのですが、イギリス陸軍には特定の家系の者が特定の部隊に配属になるような制度なり不文律なりが有るのでしょうか。なお時代背景は第二次大戦直前です。 山奥の人 |
- 19世紀半ばまで英陸軍の将校ポストは買官制度をとっており、これに部隊将校團の縁故主義が加わって、代々聯隊長を務める家系が成立し得たのでしょう。
聯隊の中で将校の缺員ができると、序列上位の順にその辞令を買う権利ができて、相応の金銭を積めば進級できる仕組みです。お金がないと進級できません。そのため貴族令息が親爺に辞令を買って貰い、いきなり20歳台で聯隊長になることもあり得たわけです。このへん、ちょうど江戸時代の御家人株のようですね。
また聯隊によっては、貴族・紳士階級でなければ士官候補生として入隊できないと云う由緒正しいのもあり(将校團の社交費に給料以上の莫大なお金がかかる)、親爺が聯隊に昔いたり、聯隊長と友達だったりすると、その縁故で入隊します。
第一次大戦直前までは、そのような仕組で、貴族の勉強が出来ない息子が入隊していたようです。男の子が6人いれば、長男は爵位を世襲して家を継ぎ、次男は聖職者(兼学者)(人格見識ともに優秀で、ラテン語もすらすらでないと駄目)になり、三男は法律家・医者など専門職、四男は海軍(実力主義なので、そこそこ出来ないと万年士官候補生)、五男は陸軍(資金があれば、最低限で少佐まではいける)、一番出来の悪いのは海兵隊(頭を使わなくてよい)、といった相場があったといいます。
あるめ
- 補足:さすがに第一次大戦前あたりには、買官制度はなくなっていましたが、意識は旧態依然だった様子です。なにせ日本でいえば、幕府の旗本組織がそのまま陸軍になっているようなものなので。
あるめ
- あるめ様、懇切な回答有り難うございます。
近代的軍隊にあるまじき事、とは思っていましたが、やはりロバート・テイラーの親父様の言うような立派なものではなかったのですね。
質問者
- >買官制
これで説明すると、この作品がメチャメチャになってしまいますよ。
恐らく本件は「聯隊保有者、名誉聯隊長」の事を指すと思います。
これを一族で維持し続けるというのは、とても名誉なことで、
かつとても立派なことだと思います。。。
ナゾの人