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昨年、フィジーでクーデターがあったり、ソロモン諸島で民族紛争が勃発したりしましたが、オセアニアでも民族対立が深刻なのでしょうか?(僕自身はこの地域は、民族紛争とは無縁な地域だと思っていたので、けっこう衝撃を受けました) 豆腐ヨーカン |
- >フィジー
フィジーは1874年にイギリスの属国になりましたが、原住フィジー人は人口が少なく、プランテーションのサトウキビ農園の労働力不足を埋めるためにインドからの移民を導入、1931年の移民停止までに人口の約半数がインド系で占められるまでになったばかりでなく、フィジー経済における重要な地位を独占するに至りました。その反動で1970年の独立後はフィジー民族主義が台頭、インド系国民は土地所有、公職就任等に大きな制限を受けることになりました。しかし、原住フィジー系国民の中でも(英連邦残留vs共和制以降等の)内部対立があるなどして政治は安定せず、1987年にはインド系政党が大きな役割を占める連立政権下での英連邦脱退を果たすも、クーデターで政権崩壊、インド系への迫害が強まったためにインド系住民の海外流出が続出、1997年の英連邦再加入の頃にはインド系の比率は約4割に下がり、しかも多くの財界人が抜けたために経済状態が悪くなり、余計に政情が不安になっています。ただし政界のインド系優位の状態は続き、昨年のクーデターはインド系支配に対するフィジー系の反攻だとされています(黒幕のスペイト氏は原住フィジー系にはめずらしい財界の大物だったりする)。
Schump
- >ソロモン
ソロモン諸島では、英国統治時代に目端が利くマライタ島出身の者を登用したことなどあって、政治経済をマライタ系住民が占めることになり、これに首都ホニアラのあるガダルカナル島の住民がずっと反発を持っていて、今回の暴発が起こりました。
>オセアニアの民族対立
パプア・ニューギニアは民族対立のメッかです。無数の部族が古来対立と闘争を繰り返してきたところに銃器が入ってきて、しかも政府の統制が弱いですから。おそらく、PNGやソロモンなどのメラネシアに限ったことではないでしょうが、メラネシアの人は特に自分の出身部族(言葉が同じ、という意味でワントークと呼ばれる)を何よりも大事にし、これがプラスに出ると美しい相互扶助の制度になりますが、マイナス面で発現すると、他の部族の者に誰かが傷つけられたり殺されたりした場合に果てしない復讐合戦になる訳です。ブーゲンビル島ではニューギニア本島からブ島の鉱山に働きに来た労務者とブ島の現地人との対立が武装闘争に発展し、もう10年以上もドンパチやってます。ちなみに、私も11年前に山本長官機を見にブインに行って、空港、警察、商店が焼き討ちに遭うのを目の当たりにしました。
Sampon
- >2 そういえば、当時の新聞に「(騒乱鎮圧のために)警官が出動していて、通常の警察活動が困難な状態になっている」とか、書いてありました。
豆腐ヨーカン
- >2 そういえば、当時の新聞に「(騒乱鎮圧のために)警官が出動していて、通常の警察活動が困難な状態になっている」とか、書いてありました。
オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア、フィジー、それにトンガぐらいしか軍備を持つ国が無く、他は警察や治安部隊が取り仕切っている状態の国家が多く、第二次大戦後は冷戦ともほとんど縁遠い存在だったので(あと、テレビや旅行雑誌の影響で)「戦争や紛争とは縁遠い地域」だと思っていました。しかし、実態はかなり酷いものだったんですね(兵器や武器が無い分、より凄惨な争いになる可能性もある訳だ)。
豆腐ヨーカン
- 間違って二重に投稿してしまいました。申し訳ありません。
豆腐ヨーカン
- オセアニアというとオーストラリアとニュージーランドというイメージが強いが、オーストラリアの場合70年代まで白豪主義を取り、非西欧系移民を受け入れるとしても自国社会への同化(英語をしゃべり西欧文化になじむ)を必要条件として規制してきた。しかし労働力不足を補うため多文化主義に転換し、アジア系の移民、難民を積極的に受け入れるようになったが、最近、ワン・ネーション党という白豪主義への復帰を求めるような政党が出てきて、移民受入れ削減、原住民に対する支援削減を主張している。また、ニュージーランドでも、原住民のマオリ族による土地返還請求の動きがあったりして、紛争にはほど遠いが民族対立が激化する要因はある。今後、両国とも原住民に対する優遇措置、アファマーティブ・アクションの見直しが重大な政治問題になるかもしれない。
アリエフ