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海軍の指揮官は「提督」、 陸軍では「閣下」と呼ばれているようですが、 区別、というかいわれのようなものはあるのでしょうか? 勝井 |
デスラー
陸軍将官概念の“ジェネラル”を示す呼称として「将軍」と区別しました。
出典は漢籍です。明治の新軍で規定されましたが、時期はハッキリしません。
(私は明治14年の参謀本部編『五国対照兵語字書』かな?と思っていますが間違っていたら教えて下さい)
それは海軍の将官を示す場合でもかなり後期まで「将軍」の呼称を用いていたからです。
日露戦争後でも『秋山将軍』(陸軍の秋山好古ではありません)と
軍歌でも第二艦隊司令長官の上村提督を『上村将軍』と称していたり、
中でも面白いのは、遙か遠く東欧にて子供を諭す文句として
「カミムラ・将軍がやって来て叱られるゾ!」という表現が広く流布されていました(実話)
知っての通り陸軍では「カミムラ」という将官はいないのです。
ロシアの脅威、支配を受けていた当地にあっては、その露国を破った将帥の一人として
更に恐ろしげな存在(余り知名度が無くよく分からないことも手伝って)とされたのですね。
あと、(今はいませんが・・・)上級大将に対して「将軍」と呼びかけてはいけません。
上級大将は将官ではありません。
かっぱ
SHI
ベックメッサー
“閣下”とは、確か
「身分の高い人が住む御殿(ごてん)の下」の意味で、「私如き身分の卑しい者
が直接お目通りするのは恐れ多いので、お住まいになっている御殿の下に向けて
申し上げます」
との意味だったと記憶しています。
“陛下”も同様で、“御殿”を、“宮殿へと上る陛(きざはし)”に置き換えた
ものだったかと。
雪風2
をここに投稿します。
これは「敬称」というやつで、「閣下」は将官以上に使われる言葉であると認
識します。よって、陸軍であろうが海軍であろうが、将官なら一応「閣下」で
す。ただし、これを常用したかと言われたら、海軍の場合は多少頻度が陸軍に
比べたら低いかな、とも思っていますが、定量的に分析したわけではありませ
ん(文官でも位が高い人(勅任官以上とか?)ら「閣下」だと思います)。
# 「天皇」なら「陛下」、「皇族」なら「殿下」とつけるのとある意味で同じ
# です。
「将軍」と「堤督」ですが、これはやはり将官に対して使われる言葉であると
思われますが、言えることは「堤督を陸軍将官には使わない」ということにな
ると思います。
つまり、陸軍の将官は「将軍」としか呼ばれ得ませんが、海軍の将官は、一般
には「堤督」と呼ばれることが多いですが、「将軍」と呼ばれることがないか
といわれたら絶対そうではない、ということです。
ただし、(海軍に限って言えば)「将軍」とか「堤督」という言葉が公用的に使
われることはあんまり無かったように思います(あんまり使っている例を思い
出すことができないもので)。そういう意味では、文学的表現にも思われます。
また、「堤督」というのは、いわゆる「指揮官」といいますか、兵科将校のこ
とを指すように思われます。軍医中将とかを「堤督」とか呼ぶ例は、あんまり
見たことがないように思います。
今泉 淳
tk
にしても、叛乱部隊が押し入って「閣下」と呼ばれていたような記述を
どこかで読んだ記憶があります。
今泉 淳
Alphabeta
というのは、既に書いたように、文官でも勅任官以上だと「閣下」と呼ぶ例が
あるらしいのです(秦「日本陸海軍総合事典」による)。
総理大臣は親任官ですから、その意味では当然「閣下」と呼ばれておかしくな
いです。無論、将官だからそれだけでも「閣下」と呼ぶ理由はあります。
# ちなみに法律上は、例えば海軍大臣とか海軍次官も「文官」扱いです。
だから、陸軍の叛乱将校が、総理大臣として呼んだのか、それとも予備役の海
軍大将として「閣下」と呼んだのかという問題は残ると思います。でも、いく
ら律義な陸軍といえども、その状況で法的意味を熟慮したとは考えられにくく、
総理大臣というよりも、海軍の将官として呼んだと考えるのが自然なような気
はしますね。確かに。
そもそも、頭に血がのぼっている連中がそこまで考えているとは思えないです
し、首相を「閣下」と呼ぶ例をきちんと調べないとなんとも言えない気もしま
すしね。
今泉 淳