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662 長篠の戦いで信長軍が陣地を構築する前に又は構築中になぜ武田勢は攻撃を仕掛けなかったのですか?また長篠の戦いに関わらず同様のケースは他の戦史例にもあったでしょうが…

富士通BIBLO

  1. 陣地というのは、敵が接近する前に構築し終えておくものです。
    むしろ、野戦築陣を施した正面に、武田方を誘導した得たことの方が、
    この合戦のミソといえるのではないでしょうか。


  2.  長篠戦では陣城の構築地点より前方にてまず前哨戦がありそこで時間を稼いでいる間に構築がなされたとの説があります。
     また、そもそも勝頼は陣城に攻撃を仕掛ける気は無かったとも。
     いわゆる無謀な突撃に至るまで武田勢後方で長篠城(徳川方)は重囲の中で陥落していません。勝頼は手心を加えて落とさなかったこの城を「徳川軍の後詰野戦決戦の誘引」の餌として、もし陥落した場合も結果、撤退する織田・徳川軍を追撃して撃破するつもりだったと考えられます(なぜ、落城→撤退となるかは前年天正2年の明智城及び高天神城戦例からの武田方判断)。
     結果として、織田徳川軍が一隊を持って長篠城を救援し後方連絡戦の遮断をされた武田軍が撤退のため前方の陣城に拠る織田徳川軍を離隔すべく(これをしないと撤退に入るなり追撃をくらう)交戦状態に入った、という事です。

    以上については歴史群像第50号の長篠戦分析記事の説を採りました。この分析記事は長篠敗戦の原因を信玄時代まで遡り分析されており大変興味深い内容ですので長篠戦に興味がおありならこちらをご覧になる事をお勧めします。
    ジョン・ウェイン

  3. 回答いただき恐縮であります。前哨戦で時間を稼いでる間に構築したとの説はなるほどうなずけるものです。しかし、その前哨戦で武田軍の攻勢を支え続けるのは容易なことではないように思えるのですが…するとご指摘のように武田に陣地攻撃の意思は無かったということになるのでしょうか。
    長篠の戦い以外のケースでは陣地構築側はどのようにして敵の攻撃を排除しつつ陣地を築くのかご存知でしたらご指南願います。
    富士通BIBLO

  4. >長篠の戦い以外のケース
    専門で無いので知ってる限りの知識ですが…
     野戦決戦を重視する当時の戦闘で陣地戦になるには攻撃側がどうしても(困難を承知で)攻撃をかけねばならない理由が必要だと考えられます。つまり敵の進行上無視できない地点にあらかじめ造っておくモノだと思います。
     ある程度の規模の軍勢ともなれば幹線道路を外れての行動は不可能です。ですから敵の侵攻ルートの想定は比較的簡単ですのでそのルートにおいて、それを阻害するような位置にあらかじめ陣地を構築しておけば嫌でも敵は攻撃せざるを得ない…といったところでしょうか。(これが恒久化したものが「城」)
     野営地などもある程度の陣地化はなされているでしょうがこれは敵にとっても味方にとっても奇襲防御以上の目的は無いと考えて良いでしょう。野営するような軍勢=野戦機動戦力が自らの武器とも言うべき機動力を放棄してまで野営地にこもる事は食料物資の無駄遣いでしかありません。敵もこの程度なら無視したと思われます。
     もちろん、敵の勢力圏への橋頭堡的な野営陣地の設営は妨害が予想されます。墨俣一夜城の逸話において、その前段階で織田軍が幾度と無く砦の建設を試み斎藤軍の妨害で失敗に終わったことからも理解できると思います。(つまるところ、このような場面で陣地を造れるか否かが武将の器量というモノなのでしょう…)

     最後に陣地戦について、陣地はあくまで戦闘の副次的要素となっても決定的要素にはなり得ない事を理解しておく事が必要だと思います。
     長篠を例にとっても陣地で敵の攻勢限界を誘い、その上で機動戦力による撃滅が行われています(これと同様の戦術で失敗例が関が原の西軍)。また、その他の陣地戦においても陣地が敵を拘束している隙に機動戦力による後方連絡戦の遮断なり決定打が打ち込まれます。
     陣地は野戦機動軍による野戦決戦というメインの戦術を補完するオプションの一つであるというのが私の見解です。
    ジョン・ウェイン

  5. >4について
    3への回答のつもりが途中から脱線しているような…(汗)
    つまり知る限りにおいては想定進行ルート上にあらかじめ造っておくことが多かったと、そういう事です。

    >その前哨戦で武田軍の攻勢を支え続けるのは容易なことではない
    ご推察の通り先行した家康他の諸隊は武田軍の逆撃をこうむり大敗したそうですが、敵本隊の捕捉撃滅を考えていた勝頼が前哨戦だけで撤退されてはかなわん、という事で追撃を中止したそうです。(あくまで通説ではなく歴史群像の分析記事をもとにした話です)
    ジョン・ウェイン

  6. 満足できます回答をいただき感謝いたします。
    >敵本隊の捕捉撃滅を考えていた勝頼が前哨戦だけで撤退されてはかなわん、という事で追撃を中止したそうです
    この説は理に適っており納得できるものであります。陣地戦の解り易い説明をいただきとても参考になりました。今後も宜しく願います。
      
    富士通BIBLO


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