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600 頼まれて帝国海軍の潜水艦部隊について調べているのですが
マレー半島にあったというペナン島の潜水艦基地のことについて
教えてください。
友人からは海軍が行った数少ない通商破壊戦の拠点だったということと
ドイツのUボートとの交流があった場所ということしか聞かされて
いないので詳しいことが知りたいのです。

これは戯れ言ですがペナン島のことを調べてほしいと頼んだはとこのハナシでは国立公文書館などにペナン関連の資料はなかったと言っていましたが
そんなことはありえないと思いましてわからないことはこちらに質問
してみようと思い書き込ませていただきました。
本当は自分で調べたほうがいいのですが何分明日から仕事なものでして。

トラバント

  1. 第8潜水戦隊の拠点ですね。司令官は伊崎少将だったか・・・
    井浦詳二郎氏の「潜水艦隊」とかにもペナンの記述があります
    ななし

  2. ペナン(彼南)は、昭和十六年十二月十九日第二十五軍が占領し、馬来部隊(南
    遣艦隊基幹)と第五潜水戦隊(この時点では馬来部隊潜水部隊)の幕僚がペナン
    を視察しています(第五潜水戦隊からは水雷参謀大塚范少佐(兵56)が派遣され
    たとされます)。

    この視察の結果ペナンが潜水艦基地として適切である旨の報告により、第十一
    潜水艦基地隊(司令中島千尋大佐、兵43)により、一月四日より基地の設営が開
    始され、一月二十日には基地としての準備を終了しています。これに伴い、一
    月十六日に第五潜水戦隊司令官(醍醐忠重少将、兵40)は「由良」を指揮してカ
    ムラン湾を出撃、十九日にシンゴラに到着、二十日に陸路ペナンに進出してい
    ます。

    また、潜水艦部隊がペナンを拠点に作戦を実施しておりますが、昭和十七年月
    日以降、第八潜水戦隊が進出し印度洋方面の潜水艦作戦の基地としたことは良
    く知られた通りです。また、年月以降、ドイツ潜水艦もここを拠点として、日
    独協同作戦を行ったことも周知の事実です。

    ペナンにはしばらく第九特別根拠地隊司令部が所在していましたが、第九特別
    根拠地隊がサバンに進出して以降、ペナン方面の防衛態勢の強化には当方面先
    任指揮官たる第八潜水戦隊司令官の陸上部隊に対する指揮権を確立する必要を
    認めた第八潜水戦隊参謀井浦祥二郎中佐(兵51)の提唱により、第八潜水戦隊司
    令官の第十五根拠地隊司令官の兼務(基本的に幕僚も同様)が実現した旨の記述
    が井浦祥二郎「潜水艦隊」に記述がありますが、これはマラッカ海峡の敵潜水
    艦跳梁の防止や海上交通保護などを企図したものであり、また印度洋方面の潜
    水艦作戦の低調化に伴い潜水戦隊司令部業務が減少したことによって根拠地隊
    司令部の兼務が可能と認められたことが背景にあります。

    昭和二十年二月二十日には第八潜水戦隊は解隊となり、同隊司令部職員はその
    まま第十五根拠地隊司令部職員へ転補(辞令上は本務が免じられ、兼務職が本
    務となっているはずです)され、終戦をむかえています。

    当時、第五潜水戦隊参謀、第八潜水戦隊参謀兼第十五根拠地隊参謀、第十五根
    拠地隊参謀兼第十一潜水艦基地隊司令だった酒井進(兵58)の記すところによれ
    ば、「ペナンの長所として、(一)交通便利、(二)港湾良好、(三)水が質量とも
    に優秀、(四)上下水道完備、蚊もおらず、衛生上の心配なし、(五)宿泊施設完
    備、とくにケーブルカーで登れるペナンヒル(海抜八百三十メートル)の高原宿
    舎は、潜水艦乗員の休養所に最適、(六)島であることから治安上も心配が少な
    い、という点である」と記すと同時に、「反対に短所としては、防諜上の弱点
    があげられる」とも記しています。

    参考までに、第八潜水戦隊司令官、第十一潜水艦基地隊司令の変遷を示します。

    第八潜水戦隊司令官
    S17. 3.10-S18. 8.18 石崎 昇(兵42)
    S18. 8.18-S19. 8. 5 市岡 壽(兵42)
    S18. 8.15-S20. 2.20 魚住 治策(兵42)

    第十一潜水艦基地隊司令
    S16.12.25-S18. 4.12 中島 千尋(兵43)
    S18. 4.12-S18.10.10 上野 正雄(兵40)
    S18.10.10-S19. 6.25 高橋 榮吉(兵36)
    S19. 6.25-S19. 8. 6 井浦祥二郎(兵51)
    S19. 8. 6-S20. 2.20 丸山 範三(兵52)
    S20. 2.20- 酒井 進(兵58)

    なお、市岡壽はS19.6.20に第十五根拠地隊司令官の兼務発令、魚住治策は第八
    潜水戦隊司令官補職時に第十五根拠地隊司令官の兼務発令を受け、S20.2.20に
    本務職を免じられ兼務職が本務(第十五根拠地隊司令官)になっています。また、
    S19.6.25以降、第十一潜水艦基地隊司令は、第十五根拠地隊の先任参謀の兼務
    を例としています。

    今泉 淳


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